会員300万人を超えた三井ショッピングパークのECモール「&mall」のオムニチャネル戦略とICT活用施策とは
三井不動産と三井不動産商業マネジメントが運営する三井ショッピングパークの公式ECモール「Mitsui Shopping Park &mall(アンドモール)」の会員数が2017年11月のオープンから、約3か月で会員数が300万人を突破。RFID(Radio Frequency Identification)を在庫管理、ライブコマースのスタートなど、機能拡充も進めている。
「&mall」はサービス開始当初から、リアル店舗における欠品対策、ECサイトからリアル店舗への送客支援、店舗在庫のEC販売、店舗スタッフの情報発信によるリアル店舗活性化支援など、リアル施設との相互連携に力を入れてきた。出店者に新たな販売機会の創出を目指す「リアル施設共生型ECサイト」としての特長を持つ。
「&mall」はICT技術を活用したオムニチャネル施策の強化を進めている。
ライブコマースもスタート
三井ショッピングパーク初となる「ライブコマース」を、12月14日から計6施設・約25店舗で配信をスタート。「ライブコマース」動画内で“欲しい”と思った商品は、ライブ動画内のリンクから「&mall」にアクセスして購入できる。
「&mall」を活用したリアル施設のオムニチャネル化の一環として、実際に商品を見てからECで買い物をしたいという顧客に向け、各施設でショールーミングの催しを実施。「&mall」ローンチ以降、約30回のショールーミングに関する催しを行っている。
店頭受け取りの強化
全国の三井ショッピングパークのリアル施設で購入商品の受け取りができるサービス拠点「&mall DESK(アンドモールデスク)」を現在、計19拠点で展開している。基本的な機能は、「&mall」購入商品の受け取り(送料無料)、「&mall」購入商品のフィッテイングルームでの試着、「&mall購入商品の試着後の返品」(返品無料)。
その場で試着できることなどが評価され、「&mall DESK」での受け取り比率も増加しており、「リアル施設共生型ECサイト」ならではの特長を生かしたサービスとなっているという。
顧客対応にチャットボットを導入
顧客からの問い合わせに対し、従来の電話、メール、FAQ掲載での対応に加え、新たに機械学習型AIエンジンを搭載したチャットボットを導入。顧客の疑問に24時間365日自動で対応している。
顧客からの問い合わせメッセージに対し、その内容をシステム側で判別、チャットのやり取りのように自動返答するシステム。よくある質問やその返答パターンをAIが学習し、精度の高い顧客サポートの実現をめざしている。
在庫管理にRFIDを活用
RFID(Radio Frequency Identification)活用による店舗在庫商品の「&mall」でのオムニチャネル販売にも対応している。
RFIDは読み取りアンテナから発する電波により、非接触でRFIDタグに入力されている情報を読み書きする技術。店舗内に設置した複数のRFID読み取りアンテナが、商品に取り付けられたRFIDタグの情報を自動読み取りし、店舗内の商品在庫情報を自動的にデータ化している。
店舗内の商品在庫情報を自動的に「&mall」で表示、販売することで、顧客は店舗以外の場所でも店舗商品を閲覧、購入できる。店舗側も新しい販売チャネルが増えることにより、店舗の在庫商品をより効率的に販売することが可能になっている。
決済面の拡充
リアル施設においてもICT活用による取り組みを進めている。2019年4月にららぽーと海老名でサービスを開始したフードコートモバイルオーダー機能「スマホde注文」を、2020年9月からラゾーナ川崎プラザとアーバンドックららぽーと豊洲の2施設にも拡大した。
「スマホde注文」は、施設公式アプリ「三井ショッピングパークアプリ」の画面から、フードコートの商品を選択、注文、決済することが可能で、店に並ばなくても席から注文できるという決済手段。
12月1日からは、三井ショッピングパークでの買い物の際に使用できるQRコード決済が新たに3サービス増え、計8決済サービスでの支払いを可能にした。全国のららぽーとや三井アウトレットパークなど約70の三井ショッピングパーク施設の全店舗で利用できる。