ランサムウェア攻撃によるシステム障害で物流システム(WMS)が停止しているアスクルは現在、サービスの復旧作業を進めている。先行してBtoB向けECサイト「ASKUL(アスクル)」のサービスでは一部手作業で商品出荷に対応。12月の全面復旧をめざしている。11月19日、メディア向けに公開したアスクルの物流現場を取材した。
手作業による検品、出荷ラベル貼り付けなどで一部商品の出荷を実施
10月19日に発生したランサムウェア攻撃によるシステム障害でり、BtoB向けECサイト「ASKUL」「ソロエルアリーナ」、BtoC向けECサイト「LOHACO(ロハコ)」における受注・出荷業務を停止。10月29日から、一部のユーザー・商品を対象にFAX注文・手運用による出荷を始めた。その後も段階的に対象商品を拡大。「ソロエルアリーナ」でのWeb注文再開などを進めている。
今回取材したのは、11月10日から出荷を再開した「ASKUL 横浜 DC」で実施している現場。従来は端末「ハンディターミナル」を活用して商品情報、個数、商品の保管場所など出荷に必要な情報を確認していたが、現在はシステム障害によりWMSが停止しているため、必要な情報を紙に印刷し、目検と手作業でフルフィルメント業務にあたっている。



集荷した商品への配送ラベルの貼り付けも、紙と見比べながらの作業。通常時は、全体の7割ほどをロボット「オートラベラー」とを活用して自動で貼り付けている。


自動倉庫などのマテハンも稼働停止中
通常時は稼働しているマテリアルハンドリング(マテハン)も停止中。コンテナがローラーコンベアの途中で止まり、自動倉庫でピッキングするロボットも停止している。

アスクルは物流業務を12月上旬に本格復旧する予定。本格復旧では、「ASKUL」での注文、一部物流センターからの通常出荷(箱単位ではなく、単品での注文受付、物流センター在庫全商品の出荷)、順次稼働センターの拡大を実施する。「LOHACO」のサービス再開時期は未定だが、「ASKUL」本格復旧開始後に再開する予定という。
アスクルは10月19日に「ランサムウェア感染によるシステム障害発生のお知らせとお詫び」の公表して以降、サービスの普及状況を逐次公開。11月19日までに第10報の進捗(しんちょく)状況を公開している。
手運用による一部サービス再開、普及状況の透明性、情報システム部門などが不眠不休の対応に追われているであろう状況を踏まえ、X(旧Twitter)では、「アスクル頑張れぇ!」「アスクルの進捗報告って誠実でいいお手本になっている」「(アスクルのサービスが停止して)なくなってわかるありがたみ」といった声があがっている。