アスクルは12月3日、ランサムウェア攻撃に伴うシステム障害に関する第12報を公表し、法人向けEC「ASKUL」での注文を同日午前9時から再開したと発表した。
ただ、現在も倉庫管理システム(WMS)を利用しない暫定運用で対応している。WMSを使用した在庫商品の出荷は一部物流センターで12月中旬以降に再開する予定という。
アスクルは安定稼働が確認できるまでは通常よりも配達に時間を要する可能性があると説明。取扱商品や出荷センターは順次拡大していく方針を示している。
12月3日時点では「ASKUL」が全顧客を対象にFAXとECで注文を受け付けており、「ソロエルアリーナ」はすでにFAXとWebによる受注に対応している。ただ、対象商品は拡大。ケース単位の商品は紙類やゴミ袋、介護用品、飲料、洗剤など約596アイテム、単品(バラ)単位では医療機器や衛生材料など約500アイテムを販売している。直送品は全品となる約1450万アイテム超で受注を再開した。
BtoC向けサービス「LOHACO」は「ASKUL」の本格復旧後に順次再開予定。印刷サービス「パブリ」は11月11日から一部顧客向けにFAX注文を再開している。「ビズらく」「SOLOEL」は通常通りサービスを提供しているが、「SOLOEL」のサプライヤーとしての出荷は停止中。外部カタログ連携は試験運用の対象外で、再開時期は確定次第公表するとしている。
システム障害の対応と経緯
アスクルは10月19日にランサムウェア攻撃によるシステム障害を確認し、第1報を公表。「ASKUL」「ソロエルアリーナ」「LOHACO」での受注停止が続いていた。
10月22日には障害の主な範囲が物流システムにあると発表し、10月29日には37アイテムのFAX受注による手運用トライアルを開始。10月31日にはハッカー集団による犯行声明に関する報道を確認したとし、事実関係の調査を進めていることを明らかにした。
同日、一部個人情報の流出可能性を公表し、11月11日には顧客問い合わせ情報の一部について新たな流出を確認。さらに11月14日には、良品計画など取引先企業が展開するASKUL LOGISTで受託した物流業務に関する出荷・配送データの一部が外部流出した可能性を発表している。
アスクルは11月6日にサービス再開に向けたスケジュールを公表し、11月12日からFAX受注の対象を拡大。11月中旬以降は対象顧客範囲を広げ、FAXに加えて「ソロエルアリーナ」サイトでの注文も再開した。12月上旬以降は本格復旧フェーズに移行し、「ASKUL」Webサイトでの注文や一部物流センターからの通常出荷を再開する予定としていた。今回の発表は、その計画に沿ったものとなる。
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