アスクルは11月28日、ランサムウェア攻撃に伴うシステム障害に関する第11報を公表、法人向けEC「ASKUL」の注文受付は12月第1週中に再開する。ECサイト上では「12月3日から一部商品の注文再開に向けた準備を進めている」としている。
WMS(倉庫管理システム)を使用した在庫商品の出荷は、一部物流センターで12月中旬以降に再開する見通し。取扱商品および出荷センターは順次拡大する。なお、安定稼働が確認できるまでは通常より配達に時間を要する場合があるとしている。
11月28日時点では、「ASKUL」は一部顧客を対象にWMSを利用しないFAX注文による手動運用で対応。「ソロエルアリーナ」は全顧客に対してFAXおよびWebで注文を受け付けている。対象商品は、ケース単位の紙類・ゴミ袋・介護用品・飲料・洗剤など約230アイテム。単品(バラ)単位の対象商品は、医療機器・衛生材料などのメディカル品約500アイテム。また、「ソロエルアリーナ」で扱う直送品は約200万アイテム超。
BtoC向けサービス「LOHACO」は、「ASKUL」の本格復旧後に順次再開する。印刷サービス「パブリ」は11月11日から一部顧客向けにFAX注文を再開。「ビズらく」「SOLOEL(ソロエル)」は通常通りサービスを提供している。一方、「SOLOEL」のサプライヤーとしての出荷を停止中。アスクル外部カタログ連携は試験運用の対象外で、再開時期は確定次第公表するとしている。
システム障害の対応と経緯
アスクルは10月19日、ランサムウェア攻撃によるシステム障害を確認し、第1報を公表。「ASKUL」「ソロエルアリーナ」「LOHACO」での受注停止が続いていた。10月22日には障害の主な範囲が物流システムにあると発表。10月29日には37アイテムのFAX受注による手運用トライアルを開始した。
10月31日にはハッカー集団による犯行声明に関する報道を確認しているとし、事実関係の調査を進めていることを明らかにした。同日、「ASKUL」「ソロエルアリーナ」「LOHACO」において一部個人情報が流出した可能性を公表。その後11月11日に、顧客からの問い合わせ情報の一部について新たな流出が確認されたと発表した。
11月14日には、良品計画など取引先企業が3PLを展開するASKUL LOGISTで受託した物流業務に関する出荷・配送データの一部で、配送先住所・氏名・電話番号・注文商品情報が外部流出した可能性があることを明らかにしている。
サービス再開に向けて11月6日にスケジュールを公表、11月12日からFAX受注の対象を拡大。11月中旬以降は対象顧客範囲をさらに広げた。またFAXに加えて「ソロエルアリーナ」サイトでの注文も再開している。12月上旬以降は本格復旧フェーズに移行し、「ASKUL」Webサイトでの注文および一部物流センターからの通常出荷を再開する予定としていた。
なおASKUL LOGISTを利用していた良品計画では12月1日から「無印良品ネットストア」の一部商品の受注および出荷業務を再開している。