東京商工リサーチ(TSR)が1月9日に発表した「2025年『休廃業・解散企業』動向調査」によると、2025年に休廃業・解散した企業は前年比7.2%増の6万7210件となり、3年連続で過去最多を更新した。小売業は同9.7%増の7903件。なかでも、ネット通販などの「無店舗小売業」は同56.3%増の408件と大幅に増加した。
TSRによると、2025年の企業倒産は1万件を超える見通しという。倒産と休廃業・解散を合わせた「市場からの退出企業」は7万7000件台に達する見込みで、過去最多となる。倒産は金融支援や私的整理の拡充で増加が抑えられている一方、休廃業・解散は増加が止まらない状況が続いている。
代表者の高齢化が加速
2025年に休廃業・解散した企業の代表者年齢を見ると、60代以上が90.6%と初めて9割を超えた。80代以上も34.0%となり、初めて3割を突破した。代表者の平均年齢は74.9歳(前年72.6歳)、中央値は76歳(同74歳)といずれも上昇。後継者不在のまま事業を続け、高齢化により限界を迎えて退出するケースが本格化している。
TSRはこうした傾向から、休廃業・解散は2026年以降も増える可能性が高いと見ている。事業承継に向けた取り組みが推進されているが、代表者が承継を望んでいないケースや支援する側のマンパワーの問題もある。そのため、休廃業・解散の件数を抑え込むのは難しい状況と指摘している。
一方、20代以下は0.1%、30代は0.4%にとどまり、若い世代の退出はごくわずかだった。
業歴5年未満の退出も増加
業歴別では、「30年以上40年未満」が最多だったが、前年比では1.8ポイント減少した。一方、「5年未満」は14.4%と同2.1ポイント増加。創業間もない企業の休廃業・解散が目立っている。コロナ禍からポストコロナ期に創業した企業の淘汰も進んでおり、TSRは創業支援だけでなく、事業計画の妥当性や創業後の継続支援を改めて検証する必要があると指摘している。
無店舗小売業の休廃業・解散の増加率が突出
産業別では、10産業のうち8産業で休廃業・解散が増加した。件数が最も多かったのは、飲食業や娯楽業を含む「サービス業他」で、前年比9.2%増の2万1961件(構成比32.7%)。次いで建設業が同9.5%増の1万283件(構成比15.3%)、小売業が同9.7%増の7903件(構成比11.8%)となった。増加率が最も高かったのは情報通信業で、前年比15.2%増の4189件。
業種を細かく見ると、ネット通販などの「無店舗小売業」が前年比56.3%増の408件、ミニスーパーなどの「各種商品小売業」が同30.7%増の217件と、増加が際立っている。
赤字企業が約半数に
休廃業・解散直前期の決算を見ると、2025年の黒字企業率は52.8%で、前年比1.3ポイント改善した。一方、赤字企業率は47.2%と、ほぼ半数が赤字のまま市場から退出している。
黒字率は、2000年の調査開始以降70%前後を維持してきたが、コロナ禍の2021年に60%を割り込み、2022年以降は50%台前半が続く。TSRは、賃上げ、原材料価格の高騰、金利上昇などを背景に、2026年には黒字率が初めて50%を下回る可能性もあると指摘している。
株式会社が最多、合同会社は10年で約6倍に
法人格別では、株式会社が3万5685件(構成比53.0%)と最多で、初めて3万5000件を超えた。次いで有限会社が1万4085件(構成比20.9%)、合同会社が6135件(構成比9.1%)だった。合同会社は2015年の1092件から約6倍に増え、初めて6000件を超えた。
「円滑な廃業」も重要に
TSRでは、休廃業・解散が増え続ける背景として、経営者の高齢化と外部環境の急変を挙げる。賃上げや最低賃金の引き上げ、原材料価格の高騰、円安、金利上昇などにより、従来の低金利前提のビジネスモデルが通用しにくくなっている。
業歴が長く高齢の経営者ほど、大胆な事業転換に踏み切れず、事業価値が低下するケースも多いという。事業承継を望んでも買い手が見つからない、財務内容の悪化が承継の壁になるといった課題も指摘している。
また、代表者が80代以上の企業が3割を超えたことで、事業承継や市場変化への対応が後回しとなり、退出が一気に進んでいる実態が浮き彫りになった。TSRは、「円滑な廃業」を支える制度整備とともに、業績が停滞し高齢化が進む企業への早期対応が重要だと強調している。