瀧川 正実 2022/10/4 9:00

朝日新聞はネット通販の強化に乗り出す。既存ECサイト「朝日新聞SHOP」を刷新し、グループ企業が出店しさまざまな商品を販売する「朝日新聞モール」としてリニューアルすることがわかった。

約450万部の朝日新聞読者、朝日新聞会員約300万人などに向けて、継続的なプロモーションを実施。ネットと紙・Web媒体などを通じて、通販サービスの利用者を開拓する。

既存の通信販売サービス「朝日新聞SHOP」で扱っている商品に加え、朝日新聞が運営するグルメ通販サイトを新たに立ち上げる。グルメ通販サイトは、「朝日新聞モール」のなかのグルメに特化したテナントとしてオープンする。

人気の「デパ地下ブランド」から家事楽を助ける「デイリーフーズ」、「おせち料理」などを扱う。10月のスタート時は300SKU、2023年度中に1000SKUまで拡大する。「朝日新聞モール」は2022年11月以降、新規サイトを順次オープンしていくとしている。

朝日新聞はネット通販の強化に乗り出す。既存ECサイト「朝日新聞SHOP」を刷新し、グループ企業が出店しさまざまな商品を販売する「朝日新聞モール」としてリニューアルする
「朝日新聞モール」の仕組み

朝日新聞社は9月、ECサイト「にっぽん津々浦々」を運営しているスペースアイランドを買収しており、「朝日新聞モール」と連携していくと見られる。

スペースアイランドは2010年9月の設立。「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」「Amazon」などの大手ECモールを中心に食品や飲料、酒、調味料、キッチン雑貨などを扱っており、「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2021」で惣菜・食材ジャンル賞を受賞している。2021年8月期の売上高は17億900万円。

なお、グループ以外の企業出店について「現時点では、予定していない」(朝日新聞)と回答したものの、将来的な外部解放に含みを持たせた。

「朝日新聞モール」の利用には、朝日新聞社が提供するサービスを便利に使うことができるオンライン共通ID「朝日ID」への登録が必要。8月には朝日新聞デジタルの「無料会員」を「朝日ID」会員に統合している。

朝日新聞はネット通販の強化に乗り出す。既存ECサイト「朝日新聞SHOP」を刷新し、グループ企業が出店しさまざまな商品を販売する「朝日新聞モール」としてリニューアルする
「朝日新聞SHOP」は10月4日現在、リニューアル準備を進めている(画像は編集部がキャプチャ)

朝日新聞のモール事業、期待の声

あるEC事業者は朝日新聞のネット通販ビジネス強化に期待を寄せる。それは、新聞販売所(ASA)といった自社構築の配送インフラを抱えており、規模拡大のポテンシャルを秘めていると見ているためだ。

「朝日新聞モール」のプライバシーポリシーには、「朝日新聞モール」利用者の個人情報を、朝日新聞グループ(グループ企業およびASAなど朝日新聞を取り扱う新聞販売所)において、「商品・サービスの配送・提供」などの目的で共同利用する旨が記載されている。

倉庫から販売店への配送といった課題はあるものの、対読者というラストワンマイルのインフラを持つ朝日新聞社のネット通販強化は、他の新聞社のEC参入、業界の活性化などに影響を与える可能性がある。

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