米ガジェットメーカー「Anker」の海外展開を支えるアマゾン物流サービス(FBA)活用術
モバイルバッテリーやPC周辺機器メーカーのAnker(本社米国)が日本のAmazonを利用した販売をスタートしたのは2012年。販売が好調なことから、2013年に日本法人を設立、事業を本格化させている。もともと、米国では米Amazonの物流サービス「フルフィルメントby Amazon(FBA)」を活用して売り上げを伸ばし、欧州でもECを展開。日本のメーカーがAmazonを使って海外進出する際の参考事例にもなりそうだ。海外展開を積極的に進めるAnkerの日本法人、アンカー・ジャパンの取り組みを井戸義経社長に聞いた。
FBAのシステムはどこの国でも同じなのでスムーズに利用できた
――日本ではアマゾンで商品販売を始めたということですが、どうしてアマゾンから売り始めたのでしょうか。
アメリカのAmazon.comでも最初から「フルフィルメントby Amazon(FBA)」を利用して売り上げを伸ばすことができました。FBAのシステムは基本的には、どこの国でも同じ。言語を切り替えるだけで、スムーズに事業が展開できます。国が異なってもFBAは同じ感覚で利用できるため、日本でもFBAを使って売り上げを伸ばすことができました。イギリスやドイツなどのヨーロッパにも展開できています。日本にFBAが導入されていなかったら、本格進出することはなかったかもしれません。
――実際にFBAを利用して感じるメリットは。
在庫管理、代金回収、出荷・発送、お届け、カスタマーサポートまでを、まとめてアウトソーシングできることが一番のメリットです。他のECサイトでは、こうしたサービスを統一したプラットフォームで提供していません。販売者が自社で体制を構築する必要があるので、新たにインターネット販売を始める企業にとっては負担になっていると思います。
当社の商品の場合、FBAを使うことで配送料金も自社で発送するよりも安くなっており、とても便利だと感じています。他のチャネルで販売した商品も、Amazonの倉庫から出荷できる「FBAマルチチャネルサービス」を利用しています。自社が手配する倉庫から発送できなかった分や、商品交換が発生した時などに利用しています。24時間365日対応なので、お客さまが商品を受け取るまでのリードタイムを短くできるので便利です。Amazonのロゴが印刷されていない、無地の段ボールが利用できるのもいいですね。
――Amazonユーザーの特徴は。
Amazonは情報感度が高い消費者が多いように感じます。また、当社が販売しているデジタルガジェットは、すぐに使いたいというニーズが高い商品。すぐに届くということが認識されているAmazonの配送と親和性が高いため、Amazonで購入するお客さまがとても多いです。たとえば、急な出張が決まってモバイルバッテリーが必要になったとしても、Amazonなら、今日注文すれば明日届くというイメージをお客様さまは持っているのではないでしょうか。FBAを利用することで、そうしたお客さまのニーズを捉えることができていると思います。
――販売開始から2年半になりますが、ユーザーの変化はありますか。
2014年に比べて、シリーズで購入したり、何度も購入するお客さまが多くなってきています。Amazonのベストセラーで1位を獲得したことで注目度が上昇しました。これからはもっと多くのお客さまに利用してもらうためにも、当社のブランドや利用シーンなどを訴求していきたいですね。
事業者概要
- 販売サイト名:AnkerDirect(アンカー・ダイレクト) http://amzn.to/1u0Jo8g
- 本社所在地:東京都中央区
- Amazonでの販売開始時期: 2012年5月
- 販売カテゴリー:PC周辺機器
- 利用サービス:Amazon出品サービス/フルフィルメントby Amazon(FBA)/FBAマルチチャネルサービス