鳥栖 剛[執筆] 9:30

博報堂のEC領域に特化した組織横断型プロジェクト「HAKUHODO EC+」と博報堂買物研究所は9月17日、オンラインとオフラインを行き来する購買行動の利用実態・意識を聴取した「ECと実店舗のハイブリッド消費者調査」の結果を発表した。

「ECと実店舗で月1回以上の頻度で買い物をし、かつECと実店舗で1年以内に同じカテゴリーの買い物をした生活者」を「ハイブリッド消費者」と定義。購買金額やボリュームは購買パネルを活用したWeb調査、買物意識やECと実店舗の横断体験は通常のWeb調査を実施、2つの調査からハイブリッド消費者の実態を探った。

「ハイブリッド消費者」は5割

ECと実店舗で月1回以上の頻度で買い物をし、ECと実店舗で1年以内に同じカテゴリーの買い物をした生活者「ハイブリッド消費者」は男女20~69歳全体の52.3%。男女20~69歳全体のECでの日用品購入金額のうち81.8%を占めた。

生活者の半数が「ハイブリッド消費者」に該当する一方で、オンラインとオフラインを横断する際の体験には多くの不満を抱えている。

ECと実店舗で買い物するハイブリッド消費者は5割超、不満は「欠品商品の入荷情報が不明」「ポイントの非連携」「価格差」
「ハイブリッド消費者」は5割強

オンラインとオフラインの横断体験に多くの不満

「ハイブリッド消費者」にECと実店舗で不満を感じた経験の有無を聞いたところ、不満ありが50.2%。不満は特に女性の40代・60代に集中していた。

ECと実店舗で買い物するハイブリッド消費者は5割超、不満は「欠品商品の入荷情報が不明」「ポイントの非連携」「価格差」
「不満あり」は全体で5割を超えた

不満の内容は「欠品商品の入荷情報が不明」(54.4%)がトップ。「ポイントがEC/実店舗で非連携」(52.5%)」「ECと実店舗の価格差」(50.6%)が続いた。

ECと実店舗で買い物するハイブリッド消費者は5割超、不満は「欠品商品の入荷情報が不明」「ポイントの非連携」「価格差」
不満内容は「欠品商品の入荷情報が不明」がトップ

「ハイブリッド消費者」が求める顧客体験とは

魅力が高い体験についても聞いた。これによると「店舗受取/配送など受取方法を選べる」が69.7%とトップ。次いで「欠品商品の入荷通知」(67.4%)、「ECと実店舗のポイント連携」(67.3%)といったOMO・オムニチャネル体験が求められていることがわかった。

ECと実店舗で買い物するハイブリッド消費者は5割超、不満は「欠品商品の入荷情報が不明」「ポイントの非連携」「価格差」
OMO・オムニチャネル体験が求められている

「ハイブリッド消費者」のニーズが高いのは、オンラインとオフラインの垣根をなくすこと。「特定流通のハイブリッド消費者」は、顧客体験の向上をめざすOMO体験の実現によるパーソナライズされた体験を求めていることもわかった。

あらゆるタッチポイントで得られた顧客情報をリアルタイムで統合し、パーソナライズされた購買体験「ユニファイドコマース」への対応も重要になることが示唆されたという。

特定流通のハイブリッド消費者(ECと実店舗で月1回以上の頻度で買い物し、ECと実店舗がある流通大手15社の実店舗とECで1か月以内に買い物をした生活者)は、さらに先のユニファイドコマース体験に期待を寄せている。「ECサイトでのお試し予約」「AR機能を活用した自宅での試着」のようなOMO体験だけではなく、「パーソナライズされた提案」「ECと実店舗での商談内容の情報連携」など、ECと実店舗が完全に統合された体験を求めている。

調査概要:ECと実店舗のハイブリッド消費者調査①

  • 調査エリア:全国(沖縄を除く)
  • サンプルサイズ:購買パネル調査 2万8691s
  • 調査対象者:14~79歳男女かつマクロミル社QPR協力者
  • 調査時期:2025年3~4月
  • 調査手法:インターネット調査
  • 回収・集計方法:マクロミル社QPR協力者全数にアンケートを配信、回答協力者に対して、総務省統計局「令和2年国勢調査」掲載の人口構成に合わせて、性×年代でウェイトバック補正を実施
  • 調査委託先:QO
  • 購買データソース:マクロミル社QPR(消費者購買履歴データ)
  • 購買データ集計期間:2024年4月~2025年3月

調査概要:ECと実店舗のハイブリッド消費者調査②

  • 調査エリア:全国
  • サンプルサイズ:3000ss
  • 調査対象者:
  • ・共通条件:20~69歳男女かつECで月1回以上かつ実店舗で月1回以上の頻度で買物をしている人
  • 分析対象者①:ハイブリッド消費者・ECと実店舗で月1回以上の頻度で買い物をし、かつECと実店舗で1年以内に同じカテゴリーの買い物をした生活者(1131ss)
  • 分析対象者②:特定流通のハイブリッド消費者・ECと実店舗で月1回以上の頻度で買い物を、かつECと実店舗がある流通大手15社の実店舗とECで1か月以内に買い物をした生活者(500ss)
  • 調査時期:2025年3月
  • 調査手法:インターネット調査
  • 回収・集計方法:マクロミルモニタに対してアンケートを配信、回答協力者に対して、総務省統計局「令和2年国勢調査」掲載の人口構成×スクリーニング調査での調査対象者出現率に合わせて、性×年代でウェイトバック補正を実施
  • 調査委託先:QO
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