ハンドメイドアプリ最大手「minne」で売り方とコツを聞いてきました!
もしかしたら男性の中には、いまひとつピンとこない方もいらっしゃるかもしれませんが、いまハンドメイドのCtoCビジネスがアツいんですよ! アプリやサービスが次々と生まれ、これまで家族や友人にしか作品を見せることのなかった人でも、今や世界に向けて作品を発表できるようになりました。
特にminneでは2016年4月から食品の取り扱いも始まり、日本中の手作り名人や料理上手が、次々と作家(minneでは出品者をこう呼びます)としてデビューしているのです。その数なんと28万人! 実は私も友人とアクセサリー作りをしているので興味津々。ハンドメイドアプリ最大手のminneさんに、販売のコツを聞いてきちゃいました!写真◎吉田 浩章
minneアプリは640万ダウンロード!
本日の先生はGMOペパボ minne事業部 作家支援チームの和田まおさん。もともとはWebデザイナーだった和田さんですが、現在は作家活動アドバイザーとして、「minneのアトリエ」で多くのハンドメイド作家に向けて勉強会を開催しています。
minneは2012年の1月にサービスが誕生。同年10月にスタートしたアプリは4年間で640万ダウンロードのメジャーアプリに急成長しました。スタート時には3人だったスタッフも今は約80人に。東京と福岡支社との連携で運営しています。
ちなみに「minne」という名前は、福岡弁で「〜してみない?」という意味の「みんね」から来ているそうですよ。知ってましたか?
「minneでの出店はすごく簡単にできるんです。お店の名前(ブランド名)、メールアドレス、お金を受け取る銀行口座、この3つがあればその日のうちに販売を開始できます」(和田さん)
お店の名前は後から変えられるけど、お店のURLは変えられないので要注意とのこと。
登録が完了すると点数に上限なく作品を登録できます。ユーザーからお気に入りを示すハートマークが付けられたり、購入した作品にはレビューが付けられたりします。
また、お気に入りの作家をフォローする機能があって、新作をアップするとフォロワーに通知が届きます。メッセージ機能を使って購入者と直接やりとりもできます。
撮影テクニックを教えてもらいました
minneにはアクセサリーや衣類、家具や食品など、さまざまなカテゴリーがありますが、中でもアクセサリーは人気で、100万点近くの作品が販売されています。
その中でどうしたらお客さんに目をとめてもらえるか。それはやっぱり写真。作品の魅力を最大限伝えるために、和田さんにテクニックを教えてもらいました。
まず、スマホカバーを外す
撮影はスマホでじゅうぶんですが、カバーを外した方が良いそうです。革製の厚い物や手帳タイプなど、レンズの周りに厚みがあると影が出るからという理由です。知らなかった〜。
その他の前提条件としては、①撮影は天気が良い午前中がベスト ②部屋の照明は消して自然光で撮影する(撮影してから写真を明るく加工したほうがきれい) ③作品の右下に影が出るような位置でセッティングする(物が自然に見えるから)といったことを教えてもらいました。
100円ショップで買えるもので撮影ブースを作る
和田さんが持っているのは、100円ショップで売られているA3のファイルケースをひっくり返してテグスで固定したもの。そこに画用紙か薄いプラスチック板をクリップで止めます。
アクセサリーなら机に平らに置いて撮ってもいいけど、立体的な物は床と壁との境界線を消すために、緩やかなカーブの背景があるといいそうです。 確かに、ここで撮っただけで、すでになんだかきれいに見えます!
レフ板も100円ショップで調達!
光を反射させるレフ板は、100円ショップで売られているホットカーペットの下に敷くもので代用。
「撮るものの色味によりますが、銀色のほうが強く反射するので、室内が暗いときは銀色がいいです。天ぷらガードでもOKです。天ぷらガードは自立するから便利なんです。アルミホイルでも代用できますが、ある程度シワがないと一定方向に反射するからムラが出るので、シワシワにするといいですね」(和田さん)
近寄りたいならスマホを逆に!?
「作品をもっとアップにしたいな」と思ったら、スマホの上下を逆にするともっと近寄れるそうです。目からウロコ!
撮れた写真がこちらです。
確かに近寄ってる! でも操作がいつもと逆になるのでやりにくいです(笑)。
とにかくキャッチーな1枚を
たくさんある写真の中で「もっとよく見たい!」って思ってクリックしてもらえる写真を撮らなければなりません。
でもやってみるとセッティングが難しい! 上達法を聞いてみたら、雑誌などで見た「これは良い」と思う写真を、小物などを使ってまねしてみるという、練習方法のアイデアをいただきました。練習することで自分なりの写真の撮り方も習得できちゃいます。それ、やってみよう!
あれこれ苦労した結果、見違えるようなきれいな写真が撮れましたよ!
着画(ちゃくが)は大事
1つの作品について登録できる写真は5枚。アクセサリーやバッグなどは、身に付けた写真があった方が大きさのイメージがつかみやすいので、1枚は着画を入れましょう。
明るい窓辺に立ち、遠すぎず近すぎない距離で撮ります。
和田さんがiPhoneで撮った写真がこちらです。
背面も忘れずに
正面だけに気を取られがちですが、作品の背面もお忘れなく。インターネットでの販売なので、背面の写真があると購入者も安心です。
そんなこんなで必要な写真を撮り終え、和田さんに手伝ってもらってminneへの出品を完了しました!
そのほかの疑問にも答えてもらいました
Q. 作品のタイトルはどう付ける?
「今回の作品だったら“ラピスラズリ”とか“チェコビーズ”のような素材名を入れるといいと思います。あとはイメージしたこととか。見た人が“なんだろう?”って思うような凝った名前を付ける方もいらっしゃいますね。
大手モールと違って“再販”とか“送料無料”とかは作品名に入れないですね。そういう情報は本文に入れればいいので、作品の特徴を入れた方がいいと思います」(和田さん)
Q. 価格の決め方は?
材料費やかかった時間とか労力を考えたり、他店の価格を参考にしたりするのはもちろんですが、「自分の作品をどんな人に買ってもらいたいかを考えて設定するといい」と和田さん。
「はじめは作るのがただ楽しくて、“試しに販売してみたら売れたと”いう人も多いんです。そこからもうちょっと先に進んで、毎月一定数販売したいとか、ファンを増やしたいとか、作家としてどうなりたいのかを考えることもすごく大事になってきます。
もちろん、とにかくたくさん作ってたくさん売るっていう道もあります」(和田さん)
Q. 作品の発送はどうしたら?
入金確認が済んだらお客さんの配送先などの個人情報がminneから伝えられます。配送方法については作品の価格とのバランスを出店者が自分で決めます。送料込みで出品している人もいるそうです。
minneではヤマト運輸とのコラボで「ネコポス」と「宅急便コンパクト」が利用できます。箱はminneオリジナルデザイン。これなら可愛いし手間がかからないから良さそう。緩衝材がいらない「クイックフィット エコノ」もあります。
Q.人気作家ってどんな人?
「人気のある作家さんはずっと試行錯誤してる人だと思います。
作家活動に専念している方、他のお仕事や家事の合間に取り組んでいる方、活動のペースは人それぞれですが、がんばってる方は常に自分の作品のクオリティを上げようとしているし、新作に取り組む気持ちが前向きでレスポンスが早い。細かいところで気持ちが行き届いている人は売れそうだなと思うし、実際売れていてファンも多いんです」(和田さん)
「minneのアトリエ」に行ってみよう
今日うかがったminneのアトリエは、廃校になった中学校を利用した建物「IID 世田谷もの作り学校」の中にあります。
minneが主催するワークショップが開催されたり、minneの作家さんが撮影に使用できたりするスペースです。取材した日はminneハンドメイド大賞2016の受賞作品も展示されていました。月曜日はお休みですが、それ以外の日には自由に見学できます(撮影に使用する場合は事前予約が必要です)。
大きな机があるのでここで作品作りもできるし、minneに関する疑問や質問にも答えてくれるそうですよ! 関西には神戸に「minneのアトリエ 神戸」があります。
これまで約2年間、このコーナーの取材の中で、世の中にはたくさんのサービスがあることを知り、運営に関わるみなさんの想いや姿勢を肌で感じることができた貴重な経験が、「いつか私もネットショップをやってみたいな〜」という気持ちにつながっていきました。
自分が作ったものを知らない人が買ってくれて、日常で使ってくれたりしたらどんなに嬉しいだろうと妄想の日々。ちょうどそんな中、手先が器用なクリエイター仲間と、
「アクセサリーってピアスとネックレスをセットで付けた方が絶対可愛くない?!」
「色味や素材がそろっていた方がコーディネートがキマるしオンナ度上がるよね!」
「なんでセット販売って少ないんだろう?!」
という女子会レベルの会話から火がついて、「自分たちが身に付けたいアクセサリーを自分たちで作ろう!」と研究し始めることになったんです。
こんな会話から数か月。 今回minneさんに出店した「mavirosa(マヴィロサ)」では、青を基調としたデザインを中心に、すべてネックレスとピアスをセットで販売することにしました。
コンセプトは“女性のムードをさらにアップする♪”であります。笑 アクセサリーは1つ1つ手作りなので量産はできませんが、どのデザインにも天然石と肌荒れを起こしにくいゴールドフィールド(10KG、14KG、18KG)を組み合わせて使用するなど、素材にもこだわりました。
「mavirosa」とは、トルコ語とフランス語を組み合わせて作った造語で“青いバラ”を表すのですが、実はこの名前、10年以上前に自分の活動屋号として温めてきた大事な名前なんです。
「不可能を可能にする」そして、近年新しく追加された「希望」の花言葉を持つ青いバラのエピソードは、「いつかこの名前で自分のブランドを作りたい」という目標をずっと支えてきてくれていました。
このmavirosaからご購入いただいた売り上げの中から5%を、震災孤児・遺児を支援する桃柿育英会に寄付させていただきます。
震災によって突然失われてしまったものがある中で、地元福島や東北のために「自分にもできることは何か」を模索し続けてきました。
東北に通ったり、イベントを開いて募金を募ってきたのですが、“働く”という日常の中で社会貢献につながる活動をするのが目標の1つでした。
手取り足取り教えてくださったminneのみなさん、本当にありがとうございました。不可能を一歩可能にできた新米ネットショップ担当者を、これからもどうぞ見守ってください!