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通販専門放送を行うジュピターショップチャンネル(JSC)の業績が好調だ。創業20周年の記念の年となった前々期(2017年3月)は様々な特別番組や商品展開、また大規模なプロモーションを仕掛けるなどし、売上高および利益ともに2ケタ増と近年ない大幅な成長を遂げたが、昨年4月に前社長からバトンを引き継ぎ社長に就任した田中氏のもと、「20周年の成長を一過性のものにしない」として臨んだ前期(2018年3月)は売上高、利益ともに前の期を上回って着地した。田中社長に前期の状況と今期以降の方向性などについて聞いた。

前期も増収増益に、“20周年の実績”を上回る

――2018年3月期の業績(売上高が前年比5.3%増の1630億9800万円、営業利益が同2.7%増の277億200万円、経常利益が同4.0%増の280億1800万円、当期純利益が同2.8%増の191億7500万円)は増収増益で創業20周年で様々な試みなどを行い、近年にない成長を見せた前々期(2017年3月)の実績を上回った。

「当社にとって前々期は創業20周年の特別な年でお客様に感謝を伝えようと様々な取り組みを行った結果として、久々に(売上高および利益で)2ケタ増を達成できた。ただ、期待以上に成長できたために、当期(2018年3月)の業績に関しては前年を上回るのはなかなか難しいだろうなと考えていたが、期待以上の成果を出せた」

――要因は何か。

「創業20周年の年に実施した様々な施策などにより新規顧客が増え、お客様の総数が増えたそのお客様へメルマガやDMなどの各種CRM施策を強化するなどし、できるだけ継続してお買い上げ頂けるように努めてきたがそれがある程度、成果を上げることができた。また、引き続き、新規顧客の獲得を進め、顧客基盤の継続的な拡大を図ってきた。20周年ほどではないが、前期もそれに準ずるくらい顧客基盤を拡大できたことは大きいと思う」

――新規顧客獲得の具体的な施策は。

「当社の番組を放送頂いているケーブルテレビ局のコミュニティチャンネルでの放送時間を少しずつ各局で増やして頂いたり、“第2ネットワークID”もあるため、より視聴者の接触率が高いチャンネルの方で放送頂くようにしたり画質をハイビジョン化して頂いたり我々の番組を見て頂けるお客様の数を増やしてきたことに加えて、20周年の時に行ってまだショップチャンネルをご存じないお客様にリーチできるなど一定の効果があったテレビ放送に合わせて、各全国紙などへの新聞広告や地方局でのインフォマーシャルを出稿して目玉商品を訴求する取り組みを前期はより強化して新聞広告は期中に合計26回、インフォマーシャルは8回、行った。ちなみに前々期は新聞広告は13回、インフォマーシャルは4回だったため、倍以上、実施したことになる。前々期は大きなセール時など特別編成番組などに合わせて行っていたが、前期は例えば、特別なイベントではなくても、『SSV』(毎日、特におすすめ商品を紹介する特別枠)で紹介する売れ筋商品と連動させて出稿するなどのトライアルも試みた。結果は様々だが、総じて成果は出せたと思う」

――株主であるケーブルテレビ大手のジュピターテレコム(JCOM)やKDDIとの連携は。

JCOMには加入者に毎月送る会報誌の表4に広告を掲載したり、KDDIの『au』利用者が閲覧するポータルサイトのバナーなどで特番や商品の告知を行うなどの試みは引き続き実施しており、効果は出ている。また、JCOMではケーブルテレビサービス加入者が使用する専用テレビリモコンにショップチャンネルへ切り替わる専用ボタンを付けて頂き、昨年8月から新規利用者に配り始めているがこれも効果が出てきている」

――昨年4月1日から有料多チャンネルサービス「JCOMTV」の視聴世帯向けに毎日午前12時からの1時間は独自番組を放送し、他の時間は既存チャンネルの生放送を1時間遅れで再放送する「ショップチャンネルプラス」をスタートしたが状況は。

「予定通り順調だ。番組は基本的に本放送の1時間遅れの再放送だが、放送面の拡大という意味で、新規客獲得を含め売り上げ面でも一定の成果は上げている今年1月からは画面の右側に本放送を流す“小窓”を付けて、生放送を行う本放送に誘導する試みも始めている。また、午前12時から1時間の枠で実施している独自の番組については本放送での紹介商品に合わせて身に付けられる“あわせ買い”を促すような商品を紹介してみたり、他の時間枠でも再放送ではなく、独自の番組を流してみたりと色々と試している。色々と試しながら『ショップチャンネルプラス』の視聴者数やお客様の基盤が安定してきた段階で、独自の番組や商品についてももっと考えていきたい」

既存チャンネルの生放送を1時間遅れで再放送する「ショップチャンネルプラス」
既存チャンネルの生放送を1時間遅れで再放送する「ショップチャンネルプラス」(画像は編集部が追加)

――昨年3月にテレビ番組の放送に合わせたタイムラインを前面に打ち出し、テレビ通販との連動性を強化する形で通販サイトを刷新した。また同7月には簡単に商品を購入できるスマホアプリ「タッチでアプリ」の配信を開始したがこうした施策の手ごたえは。

ウェブが充実したことで売り上げ増に貢献していることは間違いない。お客様はテレビも見るし、ウェブで商品検索を行ったり、ストリーミングも見る。番組ガイドも見られる。購入の際もコールセンターに電話されることもあれば、アプリだったり、PCのブラウザなども利用される。ウェブだけではないが、お客様とのコンタクトポイントの充実に努めた結果、お客様が当社に触れて頂きやすい環境や機会が増えたことが成果につながっていることは間違いないだろう」

既存チャンネルの生放送を1時間遅れで再放送する「ショップチャンネルプラス」
スマホアプリ「タッチでアプリ」(画像は編集部がキャプチャして追加)

大人の女性の認知アップに注力、今期の業績も「前年以上へ」

――目先の売り上げだけを追うのではなく、先を見据えて数年後のエース商品を育成する取り組みを積極的に行っていきたいというのも前期(2018年3月)の方針の1つだったと思うが、未来のエース商品の育成の進捗はどうか。

「積極的に進めてきた。前期から販売を始めた新商品数は前の期の約2割増しだ。もちろん、その中で期待通りのもの、そうではなかったものはあったわけだが、未来のエース商品となる種まきは臆せずにどんどんやっていかなければいけないと思っている。エース商品の育成についても進めてきた。例えば昨年5月に実施した特別編成のセール特番『夏いち!』で『オールニューショップスターバリュー(SSV)』を行った。これまで『SSV』(特におすすめ商品を紹介する特別枠)では紹介したことのないSSV初登場商品ばかりを集めた企画だ。非常にインパクトのある企画でお客様にも喜んでいただけた。このほかにも毎年11月1日に実施する年間最大規模の大型特番『心おどる、大創業祭』でも例年はそれこそ超エース級の売れ筋商品のみを集めて紹介してきたが少しその形を変えた。前期は11月1日だけでなく、1~2日の2日間、『大創業祭』を実施したのだが、2日目には、当社での人気と一般市場での人気を併せ持った“超エース予備軍”や“準エース”の商品ばかりを集めた企画を行ったが非常に手ごたえを感じた。お客様から高い支持を頂いている今の超エース商品は一朝一夕でできたわけではなく、皆が大切に育てた結果であり今後もより積極的に将来の超エース商品を育てるための試みは積極的にやっていきたい」

テレビ通販最大手ジュピターショップチャンネルの田中惠次社長
テレビ通販最大手ジュピターショップチャンネルの田中惠次社長

――ちなみに『大創業祭』の全体の結果はどうだったのか。

「売上高で言えば2日間トータルで約43億円だった。20周年の記念で様々な試みを実施した前の期の大創業祭はある種、特別でそれには及ばなかったが、当初の見込みは上回ることができ、手ごたえを感じている。商品の力はもちろん、放送に合わせて事前に『今年はダブル』と大創業祭のCMなどを積極的に放送したりなどの試みも奏功したと思う」

――3月には番組で販売したテレビや冷凍カニの表示が景品表示法に違反するとして消費者庁から措置命令を受けた。業績への影響は。

「業績の面で言えば、明確な影響は出ていない。ただ、お客様からの叱咤激励は頂いた。当社は当社のファンであるお客様に支えられている会社だ。皆様の期待を損なわないよう、そういう指摘は今後、受けることがないように再発防止策をしっかりと立てて取り組んでいる。これまでもしっかりとやってきたつもりだが、今回の消費者庁からの不十分であるというご指摘を踏まえ、お客様に誤認を与えないようこれまで以上にしっかりとやっていきたい」

――前期は増収増益と好調に着地したが、今期(2019年3月)の業績の見通しは。

「特に公表していないが売上高、利益ともに前期以上にはしたい」

――12月1日からは「新4K8K衛星放送」がスタートし、ショップチャンネルも4Kで通販番組の放送を始める。

「商品、番組がより美しくお客様にお届けできる素晴らしい機会で非常に楽しみにしている。投資はかさむが将来も見据えてしっかりやっていきたい」

――投資とは。

12月1日の4K放送開始時点では現行放送を画像処理して4K画質にアップコンバートする形で放送するが、そのための設備の導入などだ。なお、2021年3月までに必要な放送機材や設備をすべて整え、アップコンバートではない4K映像である『ピュア4K』で放送を始める予定で、それに向けて設備の検討などを進めていきたい」

――現状の課題は。

「もともと中心のお客様である“大人の女性”にぜひもっと当社を知って頂き、ファンになって頂きたいと考えている。つまり、当該層への認知アップが課題だ。30代後半から40代前半といった“次のお客様”になり得る若い年代の獲得も重要だが、優先順位としてまずは既存のコアターゲット層をもっと深掘りしていくべきだろう。我々は様々な調査を行っているが、他の通販事業者との比較でみてもまだまだ認知度が低い。もっと知って頂ければ、まだまだお客様になって頂ける方は多いと考えている。そのため、今期から新しいお客様への認知拡大施策の際などに打ち出すコミュニケーションワードを『大人の女性に選ばれてNo.1』とした。これまでは『我々はテレビ通販のナンバーワンの企業です。信頼してお買いものをしてください』と訴求してきたが、何もテレビ通販と限定する必要はない。そうするとテレビ通販自体に関心がない方はそれで興味を失ってしまうかもしれないからだ。我々のビジネスはテレビ通販がコアだが、強みの本質は売り方ではなく、我々が厳選したほかでは買えない“商品”だ。洗練された選択眼の高い大人の女性の方にぜひとも当社の商品の品ぞろえや価値を認めて頂きたく思っている」

ショップチャンネルはコミュニケーションワードを『大人の女性に選ばれてNo.1』へ変更した
コミュニケーションワードを「大人の女性に選ばれてNo.1へ変更した」(画像は編集部がキャプチャして追加)

――“大人の女性”への認知拡大策とは具体的には何をするのか。以前はテレビCMを放送したこともあったが。

「マス広告を打つというよりはターゲットに確実にリーチできる方法で訴求していきたい。そのため、料理研究家の大原千鶴さん、バレリーナの吉田都さん、盆栽家の山田香織さん、イラストレーターの石川三千花さんというその道の達人であり、人生を豊かに自分らしく楽しむ『目利き力』を持った“大人の女性”である4人の方にご協力頂き、我々のコーポレートアイデンティティを表現する映像やフリーペーパーを作成した。映像はCMとして自局を中心に放送を始めている。今後は例えばターゲットとしている層がお住まいになる沿線でのデジタルサイネージも検討している。また、『めききの扉』と題したフリーペーパーを4月に創刊して関東圏で新聞折り込みで配布したりしている。なお、創刊号では大原さんへのインタビュー記事や当社のバイヤー、キャスト(司会者)らの記事、お客様によるおすすめ商品紹介と当社番組の視聴方法などを紹介している。このほかにも様々な施策を検討している。大人の女性により当社を知って頂くにはどうすべきかアナログ、デジタルの表面から色々な施策を検討し、実施してお客様基盤をより拡大していきたい」

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