マガシークは、親会社のNTTドコモと共同運営する通販サイト「dファッション」の高成長に加え、アパレルブランドや百貨店のEC支援事業が広がっていることもあり、2017年3月期の商品取扱高が200億円を超えた。今年7月にはベクトルグループと組んで古着のECを始めるなど、次の成長を見据えた取り組みにも力を注ぐ。「4期連続の増収増益で足腰がしっかりしてきた」と語る井上直也社長に、前期の総括や今後の成長戦略などについて聞いた。

――配送会社のドライバー不足が深刻で、配送サービスを見直す企業が相次いでいる。

商品を速く届けたり、送料無料にすることが本当に良いことなのかという風潮になってきているのは感じる。ただ、なるべく送料無料がいいし、なるべく早く商品を手にしたいというお客様のニーズは変わっていないと思う。当社としては極力、そうした期待に応えていきたい」

――全品送料無料の看板は下ろさないのか。

「すでに『dファッション』は1年くらい前から3000円未満の購入時に送料を頂いており、現時点で全品送料無料を掲げているのは『マガシーク』サイトだけ。実際には3000円未満の商品は少なく、仮に全品送料無料をやめても影響は小さいと見ている」

競争激化のファッションECでマガシークはなぜ成長している?【井上社長インタビュー】
マガシークの井上直也社長

――前期の業績は。

商品取扱高ベースでは16年3月期の約170億円に対し、前期は200億円を超えるという目標を立てていたが、クリアできた。売上高ベースでも前年の約157億円に対して約181億円となった。利益面についても、税引後利益では過去最高の約4億3000万円で着地した」

――「dファッション」が好調だ。

「『dファッション』は前年比50%近く伸び、引き続き成長のけん引役となった。ドコモもプロモーションにはかなり力を入れており、サイトへの導線が力強く、来訪者数が大きく伸びた。『マガシーク』と『dファッション』で扱う商品の大半は共通しているが、徐々に各売り場の品ぞろえを分けてきていることも功を奏した。ただ、『dファッション』では、今まであまり売れていなかった百貨店ブランドなど、『マガシーク』が得意なゾーンの商品も売れるなど、裾野は広がっている」

――主力の「マガシーク」の伸びは。

「『マガシーク』はかなり高い目標を設定していて、そこまでは届かなかったが着実に成長を続けている。アウトレット品を販売する『アウトレットピーク』も大きく伸びている」

――「マガシーク」のプロモーションは。

「昨年8月から割引クーポンを導入したが、『アウトレットピーク』も含めて想定以上に大きな効果があった。これまでは、15周年に合わせて予約販売商品は15%のポイント還元を行うなど、還元率を高めるプロモーションが多かったが、ポイントはその場で安くなるわけではない。その点、クーポンは2000円や3000円がその場で割引きになるため、お客様の背中を押すきっかけとしてはポイント還元よりも効果が高い。昨年夏以降はポイント還元施策を絞ってクーポンをメインに取り組んだ」

――「dファッション」の販促については。

「『dファッション』はポイント20倍とクーポン施策を同時に行うなど大盤振る舞いのプロモーションを実施したことで、新しいお客様がかなり増えたし、リピートも好調だ。客単価は『マガシーク』と比べると低いが、頻繁に買って頂いている。購入頻度が高いのは、ポイント施策が機能していることと、『dファッション』のお客様は割と流行り物への反応が早く、話題になったスニーカーや腕時計などが大きく動く傾向にある

――「アウトレットピーク」の売れ筋は。

「『アウトレットピーク』は元々の単価が高い商品や、働く女性が好むブランドのアウトレット品が売れる。3サイトで少しずつ客層が異なり、良いポートフォリオになってきている。そうした部分が品ぞろえの違いに出てきており、MD部隊も従来は3サイト共通で見ていたが、『dファッション』の高成長が続いていることから今年4月に『dファッション』専任のMD部隊を新設し、さらに伸ばせる体制とした。各MDが担当するサイトごとに、新規取引先の開拓に動いている」

――他社サイトとの差別化に向けては。

「『マガシーク』でしか買えない商品を提供するために、ネバーセイネバーさんのブランド『スタイルデリ』とマガシーク専用アイテムを11型展開し、『スタイルデリ』のブログでもコラボ企画の取り組みを発信してもらったこともあり、非常に反応が良かった。昨今はブランドさんとの在庫・商品データ連携の流れもあって、ファッションECモールが品ぞろえで差別化を図ることが難しくなっている。当社がオリジナルブランドを作ることはあまり考えていないが、主力の取引先ブランド組んで独自のMDを打ち出していきたい

特別撮影でクリック数増加、7月に古着のECを開始

――キュレーションサイト「マガカフェ」は。

「昨年4月から1年間取り組んでみて、『マガカフェ』の来訪者数は想定通りだったが、『マガシーク』への流入は少なく、売り上げ貢献度が低かったため今後の戦略を見直しているところだ。記事自体は悪くなかったと思うし、福袋など特定の話題では売り上げにつながることもあったが、消費者が“欲しい”と思う瞬間を演出する記事を量産することは難しい。今期の新客開拓の予算は『マガカフェ』以外に振っていて、ウェブ広告などを増やしていく」

――「マガシーク」内で商品の魅力を高めるコンテンツ作りは。

特別撮影にはかなり力を注いでいる。月2回、何品番か選んでロケ撮影やスタジオ撮影を行いながら相当凝った写真に仕上げていて、その代り、その商品の在庫をたくさん積んでもらう交渉をブランドさんと行う。特別撮影した商品のクリック数は通常撮影の商品と比べて2~3倍多くなり、販売にもつながっているため、今期から特別撮影の専任チームを作った。撮影回数も2回から4回に増やす。競合のモールと差別化できる商品画像にこだわり、動画も含め、よりお客様が買いたくなる瞬間を演出する

――メールマーケティングの成果も出ている。

「1to1マーケティングではシナリオを作って結果を検証し、良いものを残して次のシナリオを作るということを繰り返すが、精度とスピードはかなり改善している。ケータイのマーケティングが得意なドコモからさまざまなアドバイスをもらい、当社の『dファッション』チームが真っ先に結果を出し、『マガシーク』などに応用している。また、メルマガ制作で時間がかかっていた部分を分析し作業内容を見直したことで、担当者をさほど増やさなくてもメルマガの本数はこの1年で2倍以上になっている」

――EC支援事業も案件が増えている。

「ブランドさんは自社ECを強化してもっとジャンプアップさせたいと考えているので、EC支援の商談は非常に活発で、波がきていると感じる。自社ECの開発・運営を受託したブランドさんの商品は当社の倉庫で保管するため、在庫量自体が増えることで『マガシーク』での販売強化にもつながる。ブランドさんの自社ECを伸ばすためにもいろいろなアドバイスをしており、高級婦人服を手がけるレリアンさんや、ロンドン発のライフスタイルブランドを展開するキャスキッドソンジャパンさんなどのECは想定以上に伸びている」

――百貨店のEC支援にも積極的だ。

「前期は三越伊勢丹ホールディングスさんや阪急阪神百貨店さんのEC支援を始めたが、品ぞろえを絞るのではなく、各百貨店で取り扱いのないブランドも販売するなど間口を広げられれば、もっと伸ばせると思う」

――新しく挑戦したいことは。

「今期は古着などのユーズド事業を始める。ベクトルグループさんと組んで当社のお客様から本格的に中古品を集める。従来のトレジャーファクトリーさんとの連携では買い取り商品を渡すだけだったが、今回のスキームではベクトルさんが買い取った商品を当社の『アウトレットピーク』で販売する。ささげ業務や査定が終わったユーズド品は当社の物流センターに保管して一定期間、商品を独占的に販売できる。それ以降はベクトルさんの古着通販サイト『ベクトルパーク』や彼らの連携先ECモールでも販売する。ゆくゆくはベクトルさんが独自で買い取った商品も、当社のお客様に人気のブランドや状態の良いアイテムであれば『アウトレットピーク』で販売していく計画もある。まずは、ユーズド品の買い取りを6月7日から、販売は7月から始める。控えめな計画ではあるが、今年度中に月間2000点の販売を目標にしている」

競争激化のファッションECでマガシークはなぜ成長している?【井上社長インタビュー】
ベクトルグループと協業し、マガシーク会員向けの買取サービス「マガシーク ブランド古着買取サービスsupported by フクウロ」を開設(画像は編集部が追加)

――単独で展開する選択肢はなかったのか。

「ブランド品の買い取りには査定のノウハウが必要で、査定や古着のささげに慣れたベクトルさんとタッグを組んだ。当社はサイトでの告知はもちろん、商品購入者にチラシを同梱するなどして従来よりも古着の調達に力を注ぐ。『アウトレットピーク』で古着を販売するが、ブランド数や商品点数が増えてくればユーズド専用の売り場を設けることも視野にある」

――オンラインレンタル事業も検討していた。

「ファッションレンタルの事業化も検討してきたが、返却された商品でレンタルに回せないものの出口戦略が難しかった。古着のECがあれば出口になり得る。レンタルも諦めたわけではないが古着が先と判断した」

――今期の目標は。

18年3月期は取扱高で250億円を目指したい。引き続き『dファッション』が成長ドライバーとなり、EC支援も大きく伸ばしたい。前期で4期連続の増収増益となり、足腰がかなりしっかりしてきたため、次のチャレンジに向けて布石を打つ1年にしたい」

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