AR(拡張現実)はECサイトでどう活用する?――eBay、イケア、ナイキの事例
スマートフォン(スマホ)でAR(拡張現実)を使いネット通販でお買い物をする時代はもうすぐやってくるかもしれません。アップルはiOS12をリリースしAR機能を強化、その機能の1つ「AR Quick Look」を使うとアプリを使わずシームレスにARが使えるようにしました。GoogleもARプラットフォームを通じて、ARを体験できるデバイスを広げています。
デバイス側もARに力を入れている今、米国ではさまざまな企業がARを搭載したアプリを通じて新しい買い物体験の提供を試みています。eBay、イケア、ナイキの事例を紹介しましょう。
商品に適した梱包資材を探すためのAR
eBayが2018年3月に公開したAR技術「Tech IRL」は、商品を配送するための適切な大きさの梱包資材を探すためのAR搭載のアプリ。
eBayは梱包資材も提供しており、「Tech IRL」で商品に適した梱包資材をアプリ内で提示します。
eBayは消費者のショッピングと、事業者による販売を簡単にする取り組みを進めており、「Tech IRL」はそのための1つ。現在、米国ではARCore(拡張現実環境を構築するための Google のプラットフォーム)をサポートするAndroid搭載端末で利用できます。
自宅で家具の設置シミュレーション
イケアが提供しているのは、AR技術によって家具の設置シミュレーションを行えるアプリ「IKEA Place」。スマホのカメラで自宅などの床をスキャンしてから、欲しい家具を選択。設置場所を指定すると、設置後のイメージを立体的に確認できるというものです。
この「IKEA Place」は、2017年10月に日本でも配信が始められました。設置シミュレーションを行った後、アプリから直接オンラインショップに移動し、商品を購入することも可能です。
このアプリには自分が気に入った商品の画像から、イケアで販売している類似商品をレコメンデーションする機能も搭載しています。
ARを商品購入、ゲーム企画にも応用するナイキ
靴を販売する機能に加え、新製品情報や限定商品、スニーカー愛好者に好まれそうなコンテンツを掲載しているナイキのアプリ「Nike+ SNKRS」。
お店で指定された場所にカメラを向けるとAR機能によってスニーカーが浮かび上がり、その場でEC購入できる機能を搭載しています。
また、そのARを使い、「ポケモンGO」のような公園内に隠されたスニーカーを探し当てる宝探しのような企画も実施しています。買い物だけにとどまらず、さまざまな顧客体験に活用しているのです。
AR技術もスゴイですが、そもそも、この全体の企画力が素晴らしいと言えるナイキのこのアプリ。モバイルファーストを実現するために何をすればいいのか? ナイキは会社として、組織としてデジタルトランスフォーメーションの一環に組み込んでいます。
つまり、アプリの設計自体を店舗とか、ECとか“いち事業部”では終わらせないということですよね。デジタル部門だけが考えるのではなく、全社でサービス全体を設計している素晴らしい取り組みだと思います。