インフルエンサーをECに活用して効果を最大化する方法とは? Instagramフォロワー370万人の米化粧品会社の事例
インフルエンサーマーケティングで重要なのは、フォロワー数ではなく、ECサイトやブランドを熱烈に支持してくれるコアなファンを増やすことです。
「集客」という観点からフォロワー数に目を向けてしまいがちですが、ある一定数のフォロワーを抱えると、エンゲージメント(商品やブランドなどに対する消費者との関係性)が低下する傾向があります。SNSを活用して熱烈なファンを増やすにはどうすればいいのか? それを実現している米国の化粧品会社の事例を解説します。
売り上げの半分以上がSNS経由の化粧品会社
米国・ニューヨークに本拠を置く国際的な化粧品ブランド「elf Cosmetics」は、フォロワー数は多くはないもののフォロワーと高いエンゲージメントを築いている「マイクロインフルエンサー」を上手に活用している企業です。
1ドル、3ドル、10ドルといった価格帯でメイクアップ、スキンケア製品を、スタート時はネット通販で展開。その後、大手小売店への卸販売など販路を広げていきました。動物実験を行わないといった商品特性などが特徴で、300億円規模の売上高を誇ります。
「elf Cosmetics」の売上高の半分以上はSNSが関与しています。Instagramは370万人以上のフォロワー、Facebookは220万人以上など、大量のフォロワーを抱えるSNS経由なんだそうです。
ストーリー性を持ち、ロングスパンでマイクロインフルエンサーとの関係性を高めていく――。「elf Cosmetics」が手がけるSNSでの基本的な戦略です。
「elf Cosmetics」では、コンテスト、情報提供、メイクアップアーティストのレッスンを受けたりできる企画をサンフランシスコで定期的に実施。そこに、自社のSNSのフォロワーからピックアップした50人のインフルエンサーを招待しています。
狙いは、ブランドをプッシュ的に広げてくれる「マイクロインフルエンサー」を育成。そして、育った「マイクロインフルエンサー」がさらにブランドを高め、「elf Cosmetics」のファンを広げていくというものです。
「elf Cosmetics」によると、自社のSNSの経験上、「マイクロインフルエンサー」の投稿には、質の高いインフルエンサーが増えていく傾向があると言います。
各インフルエンサーのエンゲージメント率は、次のようになっており、1000人程度のフォロワーを抱えている「マイクロインフルエンサー」であれば、エンゲージメント率は平均で8%は確保できるそうです。
「マイクロインフルエンサー」を集めて教育していくのには、商売上の狙いもあります。一般的には好きな有名人よりも、好きな友人から勧められた方がコンバージョン率は上がる――。身近な人の投稿の方がより信頼できるといった心理を活用していますよね。
マイクロインフルエンサーの活用で外せない施策も。「elf Cosmetics」はInstagramのショッピング機能「ShopNow」を活用し、Instagramから直接の購買導線を強化しています。
また、Instagramに掲載されたマイクロインフルエンサーの投稿写真をECサイトの商品詳細ページなどに活用し、注文率アップを狙うコンテンツに流用するなど、Instagramを絡めたさまざまな施策に取り組んでいます。
「elf Cosmetics」のインフルエンサー施策は販促だけではありません。商品販売の肝となるMDが最終的なゴールになります。それが、インフルエンサーとのコラボ商品の開発です。
「マイクロインフルエンサー」の意見を吸い上げ、共同開発した商品は爆発的に売れる傾向があり、売れれば売れるほどファンがさらに積み上がっていくそうです。コラボ商品は“即完売”するモノが続出するなど、商品開発の新しい取り組みとして注目を集めています。