千趣会が「過度なECシフトの見直し」「カタログ起点のアナログ・デジタル連携」進める

通販事業の収益悪化に歯止めを掛けるため、事業規模の適正化や人員削減を図る

渡部 和章

2018年10月29日 9:00

千趣会は10月26日、通販事業を立て直すために「過度なECシフトにより大幅に増加した商品型数の削減」や「カタログ起点での集客モデルの再構築」などに注力すると発表した。

2017年10月に公表した中期経営計画(2018年~2020年)を見直し、重点施策の追加や人員削減などに取り組むとしている。

今期(2018年12月期)は通販事業を立て直すため、紙媒体のカタログ発行部数を減らし、ECへのシフトを進めてきたが、業績改善につながっていない。

2018年1~6月期(中間期)における通販事業の売上高は、前年同期比14.1%減の447億7900万円。営業損益は16億2600万円の赤字だった。

千趣会は「カタログ起点での集客モデルの再構築」などに注力する
千趣会の連結セグメント別売上高(画像は決算説明会資料からキャプチャ)

スマホ経由の受注は増加したものの、カタログを減らしたことによる減収をカバーしきれなかった。

中間期におけるカタログ発行部数は、同809万部減の2247万部。通販事業の受注件数に占めるネット比率は85.1%となっている。

カタログの既存客からの注文が計画以上に減少したという。その原因について同社は、カタログに掲載する品ぞろえを減らし過ぎたとみている。

千趣会は「カタログ起点での集客モデルの再構築」などに注力する
千趣会の通販事業概況(画像は決算説明会資料からキャプチャ)

通販事業立て直しへの重点施策

通販事業の収益悪化に歯止めを掛けるため、事業規模の適正化を図る。

過度なECシフトで大幅に増加した商品型数を削減することで、従業員の業務量を減らし、在庫や商品損益の管理機能を改善する。

また、在庫水準を適正化するため、今期中にセール販売などを通じて在庫を減らすという。

生産リードタイムの短縮とモニター調査を実施し、商品発注予測の精度を高めるほか、正価販売割合の向上と余剰在庫の抑制を図る。仕入先との協業を進め、粗利率の改善もめざす。

カタログ起点でアナログ・デジタル連携型の集客モデルの構築を図る。また、デジタルマーケティングやWeb接客を進化させ、接客品質の向上につなげる。

さらに、国内外のECモールへの出店拡大やBtoB拡大など、販路拡大を行うことで 売上増加とブランド認知度の向上をめざす。

希望退職者280人募集

通販事業の構造改革を進めるため、グループ全体で280人の希望退職者を募る。

千趣会、千趣会ゼネラルサービス、千趣ビジネスサービス、千趣会サービス・販売の社員が対象。退職日は2018年12月31日。

2021年12月期に連結売上高920億円以上へ

中期経営計画の見直しに伴い、対象期間を2019年12月期~2021年12月期の3期に変更した。最終年度の2021年12月期における計画は、連結売上高920億円、連結営業利益40億円以上とした。

この記事のキーワード

この記事をシェアしてほしいタヌ!

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る

企画広告も役立つ情報バッチリ! Sponsored

「サムソナイト」「グレゴリー」のEC改善事例。CVR改善+購入完了率が最大45%増の成果をあげたアプローチとは 11月12日 7:00 スマホゲーム「モンスト」ファンがお得にアイテムを購入できる「モンストWebショップ」はなぜ「Amazon Pay」を選んだのか。導入効果+UI/UX向上に向けた取り組みを聞いた 10月30日 7:00 アンドエスティが「3Dセキュア2.0」の超効率的運用に成功したワケ。オーソリ承認率大幅改善、売上アップにつながった不正対策アプローチとは? 10月28日 7:00 EC業界で市場価値を最大化する――「全体を見渡せる人材」になるためのキャリア設計 10月27日 7:00 転売ヤーが引き起こすEC市場の混乱に立ち向かう! Shopifyパートナー・フラッグシップが提案する最新対策 9月29日 8:00 14か月で累計売上30億円超え。 韓国のネイルブランド「ohora」の急成長を支えたEC戦略とは 9月22日 8:00 生成AI検索が変える消費者の購買行動。UGC活用でサイト流入を最大化する 9月10日 8:00 ほしい商品が見つからないイライラを解消し、CVRを向上! 検索機能強化と顧客満足度アップを実現するBtoB-ECサイト改善のポイントとは? 9月9日 7:00 B向けEC担当者必見。BtoBビジネスを成功に導くサイト内検索の最適化戦略 9月3日 8:00 クリック率3倍、セッション数2.3倍を実現したECサイトの取り組みとは? リアル店舗のような“ワクワク感”を再現するPLAZAの事例 9月2日 7:00