藤田遥 2020/2/19 7:00

フリマアプリの市場は2016年に3000億円(推定)だったが、2018年には6300億円超(推定)に拡大した。一次流通市場の消費を減少させているとの指摘がある一方、売却を前提に新品を購入するフリマアプリ利用者もいるため、一次流通市場での購入意欲を促進しているといった声もある。

フリマアプリは新品購入にどのような影響を与えるのか――。メルカリはメルカリはその実態を明らかにするため、全国のフリマアプリ利用者・非利用者を含む2万人を対象に「フリマアプリ利用による新品商品への消費喚起効果」の実態調査を実施。そのうち、フリマアプリ利用者1,500人には追加で意識調査を行った。

フリマアプリ利用で新品購入金額が増加

今回の調査は、フリマアプリで取引件数が多い「ファッション」「スポーツ・レジャー」「理髪料・コスメ」「家電・スマホ」「エンタメグッズ」「おもちゃ・ホビー」の6つのカテゴリーで実施。調査結果の発表および分析は、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター講師の山口真一氏が行った。

メルカリ フリマアプリ 一次流通市場 二次流通市場 調査結果 フリマ
国際大学グローバル・コミュニケーション・センター講師の山口真一氏

フリマアプリ「出品」経験者は全カテゴリーで新品購入金額が増加

フリマアプリ利用者の購入金額の変化を推計した結果、フリマアプリで「出品」を経験している場合、全カテゴリーで新品購入金額が増加する効果が見られた。一方、フリマアプリで「購入」を経験している場合、「理髪料・コスメ」「家電・スマホ」「おもちゃ・ホビー」カテゴリで新品購入金額が減少している

国際大学グローバル・コミュニケーション・センター講師の山口真一氏
フリマアプリ利用者1人あたりの月間新品購入金額の変化量をメルカリが推計
水色のグラフはフリマアプリで「購入」経験がある利用者、赤色は「出品」経験がある利用者
(グラフはセミナー資料より編集部がキャプチャ)

1年間分の新品商品の消費喚起効果を推計すると、年間約484億円だった。

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フリマアプリ利用による新品商品への年間消費喚起効果をメルカリが推計
(グラフはセミナー資料より編集部がキャプチャ)

フリマアプリ利用者、5つのカテゴリーで新品購入金額が増加

上記結果を受け、メルカリは調査対象者2万人のうち、フリマアプリ利用者1,500人へ追加の意識調査を実施した。

フリマアプリ利用者に、「フリマアプリを利用することで新品購入金額が増減したか」と定性的に評価してもらったところ、6カテゴリー中5カテゴリーで「購入金額が増えた」と回答。メルカリは「分析結果と、消費者の主観的な評価はおおむね整合性が取れていることがわかった」とまとめた。

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(グラフはセミナー資料より編集部がキャプチャ)

「出品」経験者はフリマアプリで売ったお金で、新品を購入する

フリマアプリで「出品」経験があり、「新品購入金額が増加した」と回答した人に増加の理由を聞いたところ、最も多い回答は「売ってお金を得られるので、購入頻度が増えたから」(44.0%)。「売却できるから新品購入のハードルが下がる」という意見もあった。

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(グラフはセミナー資料より編集部がキャプチャ)

「新品購入した物がもし自分に合わなくても売れば良い」と考える人もおり、お試し感覚で新品を購入する人が増えているのではないか。(山口氏)

「購入」経験者はフリマアプリでの節約が、新品の購入増加につながる

フリマアプリで「購入」経験があり、「新品購入金額が増加した」と回答した人に増加の理由を聞いたところ、1位は「フリマアプリで節約することにより、新品購入頻度がむしろ増えたから」(44.5%)。「フリマアプリで試すことにより、新品購入ハードルが下がる」という意見もあった。

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(グラフはセミナー資料より編集部がキャプチャ)

フリマアプリ内検索だけでも新品購入金額の増加に

フリマアプリ利用者に「検索」または「試用」することにより、その商品やブランドを新品で購入した経験があるか聞いたところ、全カテゴリーで「検索」した場合は60%、「試用」した場合は70%以上が新品購入金額が増えたと回答した。

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(グラフはセミナー資料より編集部がキャプチャ)

今回の調査結果を受けて、山口氏は以下のように分析している。

分析でも「新品購入金額が増えている」という結果が出たが、フリマアプリを利用している人は、「新品購入金額が増えている」と自分自身でわかっている。CtoCでの取り引きは新品市場を代替するのではなく、むしろ補完関係にあると言えるだろう。

情報社会の中でシェアリングエコノミーが増えることは、CとCをつなげることだけではなく、価値観の変化や人とのつながりを重視、環境への配慮する気持ちが根底にあることで、発生しているのだろう。

一次流通企業はCtoCで取り引きされやすいか、検索されやすいかを意識して商品を開発すると、ビジネスチャンスをつかむことにつながるのではないか

調査実施概要
    【調査2】
  • 調査タイトル20,000人への調査のうち、フリマアプリ利用者1,500人への意識調査
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査期間:2019年12月~2020年1月
  • 調査対象:全国、15歳~69歳の男女
  • 有効回答:1,500人
  • 留意事項:直近3ヶ月以内にフリマアプリを利用かつ、15歳~69歳の各性年代別のインターネット利用者比に応じた割り付けに従って取得
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