リンクが実施した「不審なメールに関する実態調査」によると、「不審に思ったメールが、実際は正規のメールだったことがある」と回答した割合は28%だった。不審なメールに対するユーザの警戒心は高まっており、企業からの正規メールであっても迷惑メールと誤認されるリスクがあることが明らかになった。
調査対象は全国10~60代の男女1200人で、調査期間は2025年11月4〜12日。
不審なメールを受け取ったことがある人は約8割
過去1年間で不審なメールを受け取ったことがあるかを聞いたところ、「はい」が79.2%、「いいえ」が17%、「わからない」が3.8%だった。年代が上がるほど不審なメールを受け取ったことがある回答者の割合は高くなり、最も多い「60歳以上」では92.0%だった。次いで、50代では同86.5%、40代では84.0%。
受け取った不審なメールの種類は、最多が「配送業者を装ったメール」で65.9%、続いて「Amazon」「楽天市場」など「通販・ECサイトを装ったメール」が57.8%、銀行、クレジットカード会社、電子マネーなど「金融系を装ったメール」が57.5%だった。リンクは「日常的に利用する身近なサービス提供事業者をかたる『なりすましメール』が目立つ結果だった」と解説している。
メールを不審だと判断した理由は、「差出人のメールアドレスが不自然」が最多で54.6%、続いて「利用した覚えのない企業/サービスから届いた」が53.1%、「差出人名が不自然」が41.5%だった。
「件名が不自然、大袈裟な表現」(37.9%)や、「本文の内容が怪しい、日本語が不自然だった」(37.5%)といった、文面の違和感に着目した回答はいずれも30%台にとどまった。リンクは「生成AIの急速な進化と普及により、自然な日本語で作成された迷惑メールが増加しており、表現面だけでは不審なメールを見抜きにくくなっている」と考察している。
不審なメールへの対応は「無視/削除」が大多数
不審なメールを受け取った際の対応について聞いたところ、最も多かったのは「無視する/削除する」で75.9%、続いて「迷惑メールフォルダに移動させる/迷惑メール報告する/ブロックする」が47.8%だった。
「検索して確認する」(21.0%)、「公式サイトやアプリで確認する」(15.8%)など、情報の真偽を積極的に確かめる行動を取るのは少数だった。
「実は正規のメール」であることに気が付いた人は27%
不審に思ったメールが、実際は正規のメールだったと気付いたことがあるかを聞いたところ、「はい」が27.5%だった。特に若年層で割合が高く、気が付いた人が最も多い20代では48.5%。30代は31.0%、40代は23.5%、15~19歳は22.0%だった。
正規のメールだと気付いた理由は、「公式サイトやアプリで同じ情報を確認できた」が最多で59.1%、「差出人名やメールアドレスが正しいものだと分かった」が37.0%、「再度メールや、電話や書面など他の手段で連絡があった」が27.0%だった。
リンクは「検索やアプリでの確認をあまり行わないユーザは、『不審だと思ったメールが実は正規メールだった』ことに気づかず、そのまま削除・無視をしてしまっている可能性も考えられる」と指摘している。
「信頼できないメール」と感じる企業への印象は「顧客情報の扱いが不安」
信頼できない、怪しいと感じるメールを送ってくる企業に対して抱く印象を聞いたところ、最も多かったのは「セキュリティ対策や顧客情報の扱いに不安を感じる」で47.2%、続いて「企業への信頼度が低下する/ブランドイメージが悪化する」が44.0%、「その企業の商品・サービスを利用したくなくなる」が30.6%だった。
安心できる要素は「メールアドレスの統一」「正規メールであることがひと目でわかる表示」
今後安心してメールを利用するために企業に期待する工夫・改善策を聞いたところ、最多が「メールアドレスを公式のもので統一してほしい」で44.2%、続いて「公式のマークやロゴなど、『正規のメール』であるとひと目でわかる表示をしてほしい」が33.5%、「企業を装った偽物のメールが届かないように対策してほしい」が31.1%だった。
調査概要
- 調査方法:インターネット調査
- 調査主体:リンク
- 調査期間:2025年11月4日〜12日
- 調査対象:全国10~60代の男女1200人