障害のある作家と共創し、アートやアパレル、雑貨などの商品を販売しているヘラルボニーはこのほど、障害のある人が直面する根源的な社会課題に向き合うことを目的とした「ヘラルボニー財団」を設立した。活動の詳細は2026年夏頃に正式な発表を予定している。
「ヘラルボニー財団」は、ヘラルボニーがこれまでに培ってきた広報・クリエイティブ・ネットワークの力を生かし、行政・企業・市民をつなぐハブとして機能しながら、制度や慣習の外側に置かれてきた声に寄り添う。
障害のある人だけでなく、すべての人にとって「誰もが尊厳をもって生きられる社会」とは何かを問い続けることでありのままの生が肯定される社会の実現をめざし、長期的な視点での活動を予定している。
ヘラルボニーは国内外79の福祉施設、293人以上の作家とライセンス契約を締結している(2025年12月時点)。作家および福祉施設へ支払われる年間ロイヤリティの総額は、過去4年間で25.5倍に増加しているという。
財団創立の背景
「ヘラルボニー財団」の創立には、ヘラルボニーの創業者である松田崇弥氏・文登氏が抱き続けてきた「兄が幸せに生きる社会」を願う思いがあるという。
松田崇弥氏と文登氏の4歳年上の兄・翔太氏には、重度の知的障害を伴う自閉症がある。翔太氏はアート活動はしていない。ヘラルボニーはアートを描く・描かないに限らず、社会で暮らすすべての障害のある人の尊厳が守られ、ありのままに生きることのできる社会の実現をめざしている。
財団は翔太氏の誕生日である1月7日に設立した。
国内障害者の現況
現在、日本国内において障害のある人の総数は人口の約9.2〜9.3%となっており、およそ9人に1人と推計されている。そのうち、人工呼吸器や経管栄養など、日常的に医療的ケアを必要とする「医療的ケア児」は全国で約2万人。24時間の介護や医療的支援が必要な家庭は増え続けており、医療的ケア児の家族の6割以上が慢性的な睡眠不足や外出困難に悩み、希望する働き方ができている人は1割にも満たないという。
ヘラルボニーは、株式会社としての既存事業だけでは網羅しきれない人々に向き合うため、財団を設立した。
役員構成
役員構成は、理事が次の3人。ヘラルボニー 代表取締役 Co-CEOの松田文登氏、作家の岸田奈美氏、福祉・教育従事者向けアート支援技能研修などを手がける「しゃかいのくすり研究所」代表の板垣崇志氏。
評議員は、ヘラルボニー 代表取締役 Co-CEOの松田 崇弥など3人。監事は、増田パートナーズ法律事務所代表の増田英次弁護士。