1.6万件のネット広告監視で153事業者に改善指導、EC事業者が気を付けるべきポイントは?
東京都は7月18日、令和5年度(2023年4月から2024年3月)の「インターネット広告表示監視事業」の実施状況を報告した。広告監視数は1万6000件にのぼり、153事業者の156件の広告に対して景品表示法に基づく指導を実施した。
東京都の生活文化スポーツ局によると、誇大な効果などをうたう広告が健康食品や化粧品に多く見受けられたという。
指導内容別の内訳は、「優良誤認」の恐れがある商品・サービスは健康食品、化粧品、美顔器・家庭用EMS機器・ウェアラブルデバイスなど雑貨が150件。「有利誤認」の恐れがある商品・サービスは26件。なお、「優良誤認」「有利誤認」いずれも違反する広告もあるため指導件数の合計とは一致しない。また、過大な景品類提供の恐れがある指導はなかったとしている。
商品サービス別の詳しい指導件数の内訳は、健康食品が64件、化粧品が39件、雑貨が30件、修理・修繕などサービスが23件だった。
都では同日、関連の業界団体並びに検索サイト、ECサイトの関係事業者に対して、景表法や関係法令の遵守についてより一層の周知を図ることを要望すると同時に、消費者庁へ情報提供を行った。
東京都が示した表示例と問題点
実施報告と合わせて、都では表示例と問題点についても示した。
健康食品では「飲むだけで脂の吸収を抑え簡単ダイエット」「寝る前に飲むだけ」「運動・食事制限なし!」などと運動や食事制限をすることなく簡単にダイエット効果を得られるかのように表示が見られたと指摘。表示の裏付けとなる合理的な根拠を有せず、有料誤認の恐れがあるとした。
美顔器では、簡単に若返りといった美容効果を得られるかのような「毎回5分~6分くらい使うだけ」「損傷した細胞の修復を促進」「若顔に戻します」、家庭用EMS機器では顕著なダイエット効果を得られるかのような「目に見える痩せ効果」「脂肪を燃焼します」、ウェアラブルデバイスでは容易に睡眠不足改善できるかのような「睡眠を誘発するホルモンを生成」「睡眠不足を解決に導きます」、化粧品では体験談などから強力な美容効果を得られるかのような「たった1分で、驚きの美白体験」「目の下やフェイスラインのたるみを引き上げます」「マイナス10歳以上のお肌になれます」といった表示の問題点を指摘。有料誤認の恐れがあるとしている。
そのほか、景表法違反の恐れのあるエンブレム類やキャンペーン訴求についても例示。「お客様満足度No.1」「No.1ランキング6冠達成!」「顧客満足度99.7%達成!」など、競合より高い評価を得ているかのような表示も、実際は客観的な調査に基づいていなかったり、主張する内容が客観的に実証されていないと優良誤認に該当する恐れがある。
また、「期間限定キャンペーン!割引クーポンのご案内!」「【期間限定】○月○日まで!○○%OFF」といった期間を限定した特別価格で、今申し込めばお得であるかのように表示をしているが、期間の明示がなかったりキャンペーン期限が延長されるなど継続して実施されていると「有利誤認」に該当する恐れがある。
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