<2023年度の景表法処分>件数は44件、うち6割超に不実証広告規制が適用。「No.1表示」の監視は強化の流れ
2023年度の景品表示法の措置命令件数(通販新聞推計)は、44件だった。6割超の28件に不実証広告規制が適用された。「口コミ人気No.1」、「満足度No.1」など、客観的調査ではなく、任意の調査に基づく「No.1表示」の処分も11件。前年から増えて監視が強化されている。
措置命令件数は44件
最多処分は空間除菌関連
措置命令件数は、44件。昨年12月末時点では15件と、例年に比べ執行ペースは大幅に遅れていた。
一方、1~3月の命令件数は29件。年度末に同時処分が相次ぎ、総件数は前年度の41件を超えた。同時処分は、空間除菌製品(4社)、糖質カット炊飯器(4社)、太陽光発電システム施工(2社)、注文住宅の建築請負サービス(5社)、車両用クレベリン(空間除菌関連、10社)。
ステマ関連の処分はなし
処分の社数は44社。「優良誤認」は40社、「有利誤認」は5件。「5条3項(告示)」に基づく処分はなかった。昨年10月に施行されたステルスマーケティング規制の処分はゼロ。1社で優良・有意誤認を受ける企業もあるため、社数と件数は一致しない。
商品別(通販新聞集計)で最も多かったのは、“車両用クレベリン”と呼ぶ製品など「空間除菌関連」が17件、糖質カット炊飯器など「家電製品」が8件、「太陽光発電システム・蓄電池の施工関係」が7件(電気料金の表示2件を含む)、「注文住宅の建築請負」が5件などと続いた。
波紋広がる、機能性表示食品初の「届出表示」処分
食品関係は、4件。機能性表示食品が3件を占めた。昨年6月のさくらフォレストの機能性表示食品に対する処分は、「届出表示」そのものを対象にした初の事案。影響は、同一根拠で届出を行う88製品におよび、全製品が撤回に至った。
課徴金は過去最高額を記録
課徴金は、11社に対する12件(前年は15社に対する17件)。総額は、約14億円(同約3億円)。メルセデス・ベンツ日本に対する課徴金は過去最高額の約12億円だった。ステマ規制などの告示、確約手続きは課徴金の対象外だが、策定中の確約手続きの運用基準では、表示の是正計画の認定に関連して「返金」も確約認定の判断要素の一つになっている。
地方自治体の措置命令件数は過去最低
東京都は2社のアフィリエイト広告を処分
地方自治体による措置命令は3件(前年は6件)。2019年度の15件以降、最低件数を更新した。東京都が2件、埼玉県が1件だった。
東京都は、機能性表示食品を対象に2社に処分を下した。いずれもアフィリエイト広告が対象。ニコリオは、毎月、アクセス上位のアフィリエイターの表示内容を確認しており、処分同日、東京都を相手取り、行政処分取消訴訟を提起した。外部委託する広告の管理責任の妥当性が争点になる初の訴訟になる。
もう1社のヘルスアップは、「第三者によるいたずら」などと抗弁したが、都が独自に関与した代理店を特定。報告徴収により、抗弁が虚偽であることを確認した。ステマ規制の導入以後、代理店に対する独自調査を行ったのは初めてとみられる。
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