鳥栖 剛[執筆] 3/25 8:30

矢野経済研究所が3月19日に公表した国内アフィリエイト市場に関する調査結果で、2024年度の国内アフィリエイト市場規模は前年度比6.5%増の4382億円になると予想した。

国内アフィリエイト市場は今後も拡大するとしており、2028年度の国内アフィリエイト市場は5835億円にまで拡大すると予測している。

矢野経済研究所 2024年度のアフィリエイト市場は6.5%増の4382億円の見込み、2028年度までに5835億円まで拡大すると予想
2028年度までの年平均成長率は7.2%と予測する

2023年度+2024年度のEC分野は成長鈍化

2023年度の国内アフィリエイト市場規模は前年度比7.2%増の4113億4000万円。クレジットカード系やカードローンなど金融分野における一部広告主の予算縮小、コロナ禍以降に急拡大したEC分野の成長が鈍化したことで、前年度に比べて成長率は減少したという。2024年度も引き続き金融分野とEC分野において成長鈍化が見られる。

一方、コロナ禍をきっかけとしたオンライン診療に関する法改正で、オンラインクリニック分野のアフィリエイト需要が拡大したという。また、2023年から景品表示法におけるステマ(ステルスマーケティング)規制が実施され、業務停止や罰金処分が課せられている。一部アフィリエイトサービス事業者(ASP)の売上縮小、新興ASPのなかには淘汰されるといった影響も出ると考えられるとしている。

ステマ規制などで市場の健全化が進むと予想

調査ではステマ規制など不正行為などをトピックとして取り上げた。ステマ規制により、メディアやASPにおいて広告であることを隠して商品やサービスを宣伝する不正行為に対する管理体制が重要となっている。

2024年にかけて、これまで不正行為で売り上げを伸ばしてきた悪質事業者に対し、景表法に基づく措置命令、特定商取引法に基づく業務停止命令などが多く課されるようになった。そのため、アフィリエイト業界全体において健全化が進むと見ている。

最近では、SNSやYouTubeなどの広告プラットフォーム上で「著名人なりすまし」の投資詐欺、SNS系ロマンス詐欺が社会問題となっており、各広告プラットフォームの規制はさらに厳格化している。2025年以降、新たな法規制もアフィリエイト業界に導入される見込みで、不正行為を繰り返す悪質業者は徐々に市場から淘汰されていくことが期待されるとまとめている。

2028年度までの年平均成長率は7.2%と予測

国内アフィリエイト市場は今後も拡大していくものの、過去に比べて伸長率は穏やかに推移していくと予測した。市場成長の要因としては、新たにアフィリエイトを利用する広告主やオンラインクリニックのような新規ジャンルからのアフィリエイト参入、若年層アフィリエイターによるメディア参加の増加、新しいECプラットフォームの登場などをあげた。

近年、モール型ビジネスによるアフィリエイト需要が好調に伸びている。加えて、新たな大型ECプラットフォーム運営企業による自社アフィリエイトプログラムが登場する可能性が高いとした。

また、市場の健全化が進展することで、不正が多発している他の広告プラットフォームにおける広告予算がアフィリエイトに流れてくる可能性もあると指摘。こうした要因から矢野経済研究所では2023年度から2028年度までのアフィリエイト市場のCAGR(年平均成長率)は7.2%とし、2028年度の国内アフィリエイト市場規模は5835億円に達すると予測している。

調査概要

  • 調査期間:2024年11月~2025年1月
  • 調査対象:アフィリエイトサービス事業者(ASP:アフィリエイトサービスプロバイダ)、業界団体など
  • 調査方法: 矢野経済研究所の専門研究員による直接面談(オンライン含む)ならびにアンケート調査、文献調査併用
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