アマゾンジャパンに経産省が勧告、その理由は? 手数料に関する条件開示について違反認定

経産省では、アマゾンジャパンに対しては販売手数料に関する条件の開示について、AppleとiTunesには日本語による提示条件の開示に関して、それぞれ違反を認定し勧告を行った。

鳥栖 剛[執筆]

2024年8月6日 7:45

経済産業省は8月2日、「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」(プラットフォーム透明化法)に基づきアマゾンジャパン、AppleおよびiTunesに提供条件などの開示に関する勧告を行った。

経産省は2社に勧告を行った(経産省のサイトを編集部がキャプチャ)

アマゾンジャパンへの勧告

販売手数料に関する条件の開示について勧告した。経産省では「適用される手数料カテゴリーに関する開示」「個々の販売商品の販売手数料変更に関する事前通知」「手数料カテゴリーの変更に関する事前通知」の3点について「プラットフォーム透明化法」における違反を確認し、勧告が必要と判断した。

適用される手数料カテゴリーに関する開示

次の3点が問題とされた。

  • 商品カテゴリーと手数料カテゴリーが異なり得ることが開示されていない
  • 手数料カテゴリーの決定主体がアマゾンジャパンであることが明確に開示されていない
  • 具体的な商品の各手数料カテゴリーへの帰属を決定する基準が示されていない

なお経産省によると、アマゾンジャパンでは5月14日にポリシー変更を公表。商品カテゴリーと手数料カテゴリーが異なる場合があることは記載しているものの、手数料カテゴリーの決定主体がアマゾンジャパンであることを明示した内容とは認めなかった。加えて、具体的な商品の各手数料カテゴリーへの帰属を決定する基準を示しているとも認められなかったという。

個々の販売商品の販売手数料変更に関する事前通知

管理画面であるセラーセントラルを参照すれば確認は可能であったものの、「プラットフォーム透明化法」が規定するメールなどプッシュ型の通知は実施せず、変更の理由について開示していなかった。運用上、アマゾン側が手数料カテゴリーを決定、また再分類を行うことがあるため、1回以上の請求実績がある手数料カテゴリーが変更され手数料率が変わるということが起こり得る。その際にプッシュ型の通知や変更理由の開示がなされていなかったということになる。

この件に関して経産省では、アマゾンジャパンから手数料カテゴリーの新たな自動モニタリングシステムを導入すると報告を受けているという。同システムは必要に応じてアマゾン側が正しいと判断で手数料カテゴリーを分類し直すというもの。その際、出品者には90日前の事前通知を実施するという。ただ、経産省では同システムについて「プラットフォーム透明化法」の順守に関し、「出品者に対する通知文に、変更の内容及び理由が、出品者の理解及び予測可能性の観点から十分に記載されていることが必要となる」としており、履行の確保と報告を求めるという。

手数料カテゴリーの変更に関する事前通知

たとえば、カテゴリー名が「おもちゃ&ホビー」を「おもちゃ」に変更するなどといった名称変更の事前開示が網羅的ではなかったという。加えて、変更前の手数料カテゴリーを確認できなかったことも問題視した。

◇◇◇

経産省はアマゾンジャパンに対し、「販売手数料に関する提供条件の内容を明確かつ平易な表現で開示すること」「手数料カテゴリー自体の変更及び個々の出品者の同種商品に適用される手数料カテゴリーを変更する場合には、事前に内容及び理由を開示すること」などを勧告。各手数料カテゴリーの定義・分類するにあたっての基本的な考え方や、手数料カテゴリー変更の際の新旧対照表など変更箇所の明示などを含めることを求めている。また勧告から1年間は3か月ごとに経産省に履行状況を報告することも求めた。

AppleとiTunesへの勧告

AppleとiTunesについては、「プラットフォーム透明化法」が規定している日本語による提示条件の開示に関して違反があった。同法では原則として、元々の提供条件が英文などの場合は日本語版を同時に開示することを求めているが、期限を明示して期限までに翻訳文を開示するという方法も認めている。

AppleとiTunesでは、日本語版の開示がなく期限の明示もないケースがあった。さらに、期限を明示したものの期限内に日本語版の開示をしなかったケースもあったという。経産省ではAppleとiTunesに対し、社内管理体制の整備のために必要な措置を行うことなどを求めた。

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