「WEAR」経由の商品購入額が月商2億円突破、台湾を皮切りに世界展開も
スタートトゥデイはスマートフォン(スマホ)を利用したファッション情報サービス「WEAR」を通じた商品購入額が、月商2億円を突破したことを明らかにした。「WEAR」経由の商品流通額は、自社のECサイトのほか、他社サイトへの誘導を通じて商品が売れた数値で、他社サイト経由は推定値となる。3カ月前にスタートトゥデイが発表した第3四半期連結業績で、「WEAR」経由の商品購入額が1億円を突破したと公表してから、3カ月間で2倍の流通額に成長した格好だ。「WEAR」の初海外展開として、5月21日から台湾でサービスを始めることも発表した。
「WEAR」は前澤友作社長の肝入りサービスで、2013年10月に提供を開始。4月3日現在200万ダウンロードを突破し、約250万人以上が利用している。多くのブランドや商業施設に同サービスを利用してもらうための措置として、4月30日に商品バーコードを読み取るとECサイトで購入できるバーコードスキャン機能を中止。コーディネートレシピ機能、SNS機能などを通じ、コーディネートの参考やショッピングを楽しむアプリとして展開している。
「WEAR」で投稿されたファッションデータ数が50万を超えるといった影響を受け、同サービス経由の商品購入が増えている。現在、他社サイトでの「WEAR」経由の商品購入には手数料がかかっていないが、将来的にはアフィリエイトなどを採用し、収益化を図る方針を前澤友作社長が明らかにした。現在は、「アプリケーションの利用を広げることが第一優先と考えている」(前澤社長)ため、マネタイズの具体的時期については言及を避けた。
5月21日には、「WEAR」初の海外展開として、台湾でサービスを開始する。日本のサービスと同様、「コーディネートレシピ機能」「マイクローゼット機能」「SNS機能」を提供する。台湾国内での目標ダウンロード数は100万ダウンロード。
Facebookで70万以上の「いいね!」数を集めるファッションECサイト「PAZZO(パッゾ)」、「LOVFEE(ラッフィー)」など10サイトが「WEAR」に参加。各サイトの商品情報と「WEAR」のデータを連携させる。
台湾を海外発進出の場に選んだ理由は、「日本のモデルやタレントの知名度も高い。持っている 50万件のファッションデータをフル活用できると考えている。他国も同時進行しているが、台湾は最も反応が早く順調に進んだため今回最初に始めることとなった」(同)とコメント。台湾でのサービス展開を皮切りに、今後もアジア諸国や欧州で事業展開する方針を明らかにした。
「WEAR」を巡ってスタートトゥデイは4月8日、商品バーコードを読み取るとECサイトで商品が購入できるバーコードスキャン機能を中止すると発表したばかり。ショッピング施設や百貨店で、陳列商品の確認後にECサイトで購入するショールーミング化が広がるという反発が広がっていたことが背景にあるためだ。
前澤社長はその際、「より多くのブランド様や商業施設様にWEARを安心してご利用いただくために、バーコードスキャン機能を中止することにいたしました」とコメント。バーコード機能によるECサイトへの誘導という実よりも、まずは利用者と導入店舗の獲得を優先した。
今回、「WEAR」によるアジア、将来的には欧州などへの展開を進め、アプリケーションの利用者を一気に広める方針を示した。利用者を増やした後にマネタイズ・・・。「WEAR」というアプリのプラットフォーム化を進めていく戦略だ。
「WEAR」はファッションの店舗とECサイトの関係性に注目が集まりがちだった。しかし、着々と「WEAR」の事業展開を進める陰には、アプリ利用者や導入店舗の増加で影響力を持った上で、「ZOZOTOWN」の世界進出を一気に進めるという策略があるように感じられる。