越境ECの少額輸入貨物の優遇見直しへ。「国内事業者との競争上の不均衡」で経済産業省が「税制改正要望」に見直しを明記
少額輸入貨物の免税制度とは、課税価格の合計額が1万円以下の少額輸入貨物について、関税と消費税が免除(一部を除く)されるもの。
経済産業省は8月29日に公表した「令和8年度税制改正要望」で、越境ECの少額輸入貨物の優遇見直しを明記した。
経産省は越境ECには2つの課題があると指摘。1つは国外事業者が、プラットフォーム事業者が管理する国内倉庫に一旦納めた商品をECサイトを通じて販売する場合、国外事業者が国内販売に係る消費税の納税義務を負うが、多くの無申告が生じている可能性があるとしている。
2つ目は、国外事業者から海外直送する場合。国内消費者がその引き取り時に輸入消費税の納税義務を負う。少額な貨物が免税対象とされており、これらの取引について国内事業者との間に競争上の不均衡が生じている恐れがあるとした。
税制改正要望には、「国内外事業者の事業者間における課税の公平性や競争条件の中立性確保の観点から、国境を越えたEC取引に対する消費税の課税の在り方について検討する」と明記した。
少額輸入貨物の免税制度の見直しについては、与党が2024年12月に公表した「令和7年度税制改正大綱」に「国境を越えた電子商取引に係る消費税の適正化」という項目を盛り込んでいた。
その後、2025年5月に実施した政府税調専門家会合で見直し課題などについて議論があり、財務省でも5月の「関税・外国為替等審議会 関税分科会」でこの見直しについて言及していた。
少額輸入貨物の免税制度とは、課税価格の合計額が1万円以下の少額輸入貨物について、関税と消費税が免除(一部を除く)される制度。財務省によると、少額貨物に関する税関を取り巻く状況として輸入件数の増加が継続。2024年の輸入許可件数は約1億9000万件と前年比約35%増えた。課税価格1万円以下を対象とする少額貨物の輸入許可件数は約1億7000万件と全輸入許可件数の約9割を占めている。
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