一般社団法人日本サブスクリプションビジネス振興会が発表した「日本サブスクリプションビジネス大賞2025」(最も躍進を遂げたサブスクリプションサービスを表彰するアワード)でグランプリを獲得したのは、「サブスク型お家の修理サービス」(運営はホームサーブ)。既に20万を超える顧客層を有していること、ユーザーの個別のニーズ、市場ニーズに刺さっている点を評価した。
「日本サブスクリプションビジネス大賞」は、サブスクリプション型ビジネスを運営している事業者がエントリーし、サブスクリプション振興会および有識者が審査を行う公募型の大賞。サブスクリプション型のサービスを振興するとともに、新たなサブスクリプションサービス創出のきっかけ作りのため2019年に創設され、2025年で7年目を迎えた。
■各受賞サービス
- グランプリ・・・・・・サブスク型お家の修理サービス(ホームサーブ)
- シルバー賞・・・・・・Pサポ(ヴァンガードスミス)
- ブロンズ賞・・・・・・Kimochi(remental)
- 特別賞・・・・・・健康サポート宅配食(ウェルネスダイニング)
- 日本ネット経済新聞賞・・・・・・IN MIST(ゼロワンブースター)
- 中央経済社賞・・・・・・坂ノ途中 お惣菜セット[定期宅配](坂ノ途中)
- サブスク振興会特別賞・・・・・・えそらプラン(弁護士法人えそら)
グランプリ
住宅設備の定額修理サービス「サブスク型お家の修理サービス」
https://www.homeserve.co.jp/corporate/
電気設備、エアコン、給排水設備といった住宅設備の故障時に、電話一本でプロが自宅に訪問し、原因特定から修理までを何度でも対応するサービス。月額590円(税込)から利用でき、上限金額30万円まで自己負担金額は0円。サブスク修繕サービスとしては日本初となる。
中国電力、東北電力といった地域の電力会社などと連携し、32万人の会員にサービスを届けている。
(画像は「サブスク型お家の修理サービス」サイトからキャプチャ)
地域別提供サービス(画像は「サブスク型お家の修理サービス」サイトからキャプチャ)
ホームサーブはお家の修理サービスを定額で提供している。家は10年ほど経つと、住宅設備のトラブルが起こり始める。トラブル発生時に対応業者をインターネットで探すと思うが、色々な業者が検索結果に出てくるし、実際に対応してもらうと高額な費用が発生する場合でも適正な場合でもかかる。そういったなかで、我々は月額590円から、30万円までの修理を何回でも行うという、日本でも初の定額制設備の修理サービスを提供している。
物騒な世の中になってトラブル事案が増えているなかで、地域に根ざした信頼できる業者を追加コストなく紹介できるという特色がある。
また、会社としてウェルビーイングを重視している。住宅設備にトラブルがあると気持ちが落ち込むし、引きずると思う。それを590円から備えてもらい、生活の不安やストレスを少しでも減らして、新しい価値を届けられたらと考えている。このサービスが当たり前のサービスになっていけるように、一層頑張っていきたい。(ホームサーブ)
![]()
グランプリを受賞したホームサーブ(写真右)
グランプリ選出の理由について、畠山知也氏(日本サブスクリプションビジネス振興会 会長)は次のようにコメントした。
選考において、価格、お悩み解決、安全性、利便性、新規性、成長性の6つの要素で評価した。受賞したサービスはすべての項目で高い水準に達しており、各賞の受賞に至った。エントリーをした企業を見ていると、サブスクという言葉が珍しかった時代からコモディティ化していって、いろいろなサービスが増えている。
今回受賞した企業はより目的特化型で、深く個別のニーズに刺さったサービスだと思う。また、エントリーした企業でも多かったという印象がある。
グランプリを受賞したホームサーブは、既に20万件を超える顧客層を持っており、個別のニーズ、市場のニーズに刺さっているサービスという点を評価し、グランプリの受賞に至った。(畠山氏)
![]()
日本サブスクリプションビジネス振興会 会長 畠山知也氏
シルバー賞
元警察官による近隣トラブル解決支援サービス「Pサポ」
https://psupo.jp/
元警察官の専門相談員が、騒音を始めとした近隣トラブル、迷惑行為、つきまといなどの解決を支援するサービス。ユーザーからのヒアリングを元に、状況に応じて解決に向けたアドバイス、身辺警護による安全確保、適切な窓口紹介などを行う。月額550円(税込)で利用できる。
(画像は「Pサポ」サイトからキャプチャ)
創業者が、「事件未満のトラブルに介入することで、事件そのものを減らせるのではないか」と考えていた。そういった考えから、近隣トラブル、騒音・迷惑行為・つきまといといった問題、事件になる前の日々のさまざまな困りごとの解決支援をしている。
将来的には日本の防犯のインフラをめざしていく。日本国内で事件を起こさせない、事件が起きる前に問題を除去する手伝いができるインフラになれたらと思っている。(ヴァンガードスミス)
![]()
日本サブスクリプション大賞 シルバー賞を受賞したヴァンガードスミス(右)
ブロンズ賞
オンラインカウンセリングサービス「Kimochi」
https://kimochi-mental.com/client/home
国家資格である「公認心理師」を持つカウンセラーのみが登録されているオンラインカウンセリングサービス。土日祝日、夜間も対応可能で、予約から相談まですべてオンラインで完結する。3つのプランから選択でき、月額利用料は3278円(税込、初回価格)から。
メンタルヘルスへの課題感やスティグマ、偏見があるなかで、カウンセリングや精神科に行きにくいという状況があった。よりハードルを下げて、気軽にメンタルヘルスを利用してもらえるような状況を作っていきたいと思っている。
最終的には精神疾患の人がより少なくなるような環境を作る、メンタルヘルスが当たり前になるような世界を作っていきたいと思っている。ジムやエステに行くような感覚でメンタルヘルスを労ってくれたらうれしい。(remental)
![]()
日本サブスクリプション大賞 ブロンズ賞を受賞したremental(写真右)
特別賞
管理栄養士監修の宅配食サービス「健康サポート宅配食」
https://www.wellness-dining.com/frailty/products/f710/
糖質、塩分、タンパク質、脂質の制限食、やわらか食、フレイル(疾病はないが、加齢と共に筋力や心身の活力が低下していく状態)予防食などを冷凍で届けるサービス。商品や栄養について管理栄養士に無料で相談もできる。
単なる弁当屋をめざしているのではなく、管理栄養士を中心とした栄養相談を元に、利用者が食事制限が必要になることで抱く不安解消を支援し、その人達の生活を豊かにしていくことを心がけている。今後も健康寿命が延びるなかで、疾病を持つ人、健康に配慮する人の生活を豊かにするために取り組んでいけたらと思っている。(ウェルネスダイニング)
日本ネット経済新聞賞
ミストで飲む方式のサプリメント「IN MIST」
https://shop.inmist.jp/
ミストで飲む方式のサプリメント。水が不要で外出先などでもワンプッシュでビタミンを補給できる。液体ミストのため、吸収されやすいという特長がある。ビタミンを守る独自のアルミ2重構造「フレッシュキープボトル」を採用している。
(画像は「IN MIST」サイトからキャプチャ)
受賞について、サービスを提供するゼロワンブースターは「『サプリメントを習慣化できない』『水がないと飲めない』『錠剤が苦手』と考えている人がいることに気づき、『手軽で簡単に使えるものを』と思い、ミスト式を開発した。もっと健康を手軽に手に入れられる世界を作りたいと思っている。まだ販売して半年も経っていないが、どんどん世の中に広めて、手軽に健康になれる人を増やしていきたい」とコメントした。
受賞理由について、「スプレー型でサプリを取れるという希少性の高さを評価した。スプレー型ならすっと飲めるので朝晩手軽に取れると思うし、錠剤型のサプリが苦手だった人にも手に取りやすい商品だと思う。幅広いユーザー層に、需要の高い商品を提供している点を評価した」(日本流通経済新聞社)
中央経済社賞
環境負荷の小さな農法で栽培された野菜を届けるサービス「坂ノ途中 お惣菜セット[定期宅配]」
https://www.on-the-slope.com/shop/features/vegetablebox-teiki/
環境負荷の小さな農法で栽培した野菜を“おまかせ”で届ける定期宅配サービス。地域の伝統野菜、西洋野菜といった珍しい野菜を含め、年間500種類以上の野菜のなかからバランスを見て詰め合わせたセットが届く。
(画像は「坂ノ途中 お惣菜セット[定期宅配]」サイトからキャプチャ)
受賞について、運営会社の坂ノ途中は「販路が増えて有機農家が増えるというメリットがある一方、ユーザーにとっては、野菜自体の魅力がわかりにくい、お任せのサービスなので何が届くのかわからないという側面もある。しかし、サービスを通じて、色々な野菜との出会い、季節を楽しむ暮らしを届けたい。便利な食の選択肢が増えることが大切だと思っているが、産地の状況に応じて収穫できた野菜を取り入れてもらうことで、新しい野菜との出会い、食のレパートリーの増加などユーザーにとっての楽しみも増えるのではないか」と話す。
「坂ノ途中 お惣菜セット[定期宅配]」の受賞理由は、「評価した点は2つある。1つ目は、長年サステナブルな商品開発に取り組んできたこと。2つ目は、サービスだけではなく投資家からも注目を集めていることだ」(中央経済社)
サブスク型の顧問弁護士サービス「えそらプラン」
https://xn--lzrw7fszg2z5ccsn.jp/
法律相談を回数無制限で利用でき、LINE、Slack、Chatworkなどですぐに相談できる顧問弁護士サービス。個別事件の着手金が年1回無料となり、契約書のリーガルチェックを40%オフで対応する。1か月から契約期間が選べる。
受賞について弁護士法人えそらは次のようにコメントした。
個別・単発で利用する時より安くなること、何回も使えることを必須にして、月額料を引き下げ、何回・何時間でも相談できるサービスを作った。トラブル時の弁護士費用が別途かかってしまうことが、事業者からすると負担になると思っていたので、着手金も年1回は無料にした。
業界の標準になることを願ってまい進している途中だが、受賞したことは励みになる。事業者の加入を増やし、「相談し放題が当たり前、着手金年1回無料が当たり前」をめざしていきたい。(弁護士法人えそら)
- この記事のキーワード