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OpenAI、「ChatGPT」にショッピングリサーチ機能を追加。高精度な回答を実現する最新パーソナライズとは?

OpenAIは「ChatGPT」のショッピング向けの機能の開発を進めています。ホリデーシーズンに合わせて、より高精度なパーソナライゼーションを備えた新機能を開発しました。その特長を解説します

Digital Commerce 360

8:00

OpenAIは、「ChatGPT」のチェックアウト機能と連動し、ユーザーの購入検討を支援する新機能の提供を始めました。購買意欲が高まるホリデーシーズンに追加したこの機能の特長を解説します。

ECサイトの商品を直接購入できる「Instant Checkout」機能と連動

2025年のホリデーシーズンは買い物でのAIの役割がさらに拡大すると見込まれるなか、OpenAIは「ChatGPT」利用者向けに、新たに「Shopping Research(ショッピングリサーチ)」機能の提供を始めました。

「Shopping Research」は、AI系スタートアップのPerplexityが開発したAI活用検索エンジン「Perplexity」、Googleの新しいショッピング機能と同様に、ギフトを探す消費者を取り込むためにリリースされた機能です。

「ChatGPT」の各アプリ、全てのサブスクリプションの各プラン全体にわたり、パーソナライズされた提案やフィードバックなどの機能を追加しています。

「Shopping Research」は、「ChatGPT」上から消費者がECサイトの商品を直接購入できる「Instant Checkout」機能と連動。ユーザーごとにパーソナライズしたショッピングの環境を提供します。

「Shopping Research」を活用した検索のイメージ。「ChatGPT」が商品の情報収集を代行し、最適な候補を提案する
「Shopping Research」を活用した検索のイメージ。「ChatGPT」が商品の情報収集を代行し、最適な候補を提案する

「Shopping Research」の特長

「Shopping Research」は、ユーザーの履歴や行動に基づく提案、追加質問による対話を重視し、ユーザーごとに最適化されたショッピングガイドを提供することに重点を置いています。

OpenAIが11月24日に公開したリリースのなかで、「Shopping Research」機能がすでに「ChatGPT」のユーザー向けに、モバイルアプリやWebサイトで利用可能になっていると説明しました。

「Shopping Research」機能は、「ChatGPT」の無料版である「ChatGPT Free」、「ChatGPT Go」(低価格の有料プラン)、「ChatGPT Plus」(有料プラン)、「ChatGPT Pro」(有料のサブスクリプション)の各プランを使う利用者に提供します。

今回の機能提供でOpenAIは、ホリデーシーズン中は利用制限を緩和する方針も明らかにしました。

レコメンド、セール情報、比較まで対応

「Shopping Research」機能が提供する情報には、次のような機能が含まれます。

  • ギフトを受け取る人の特長に基づいた商品のレコメンド
  • セール情報や割引コードについての案内
  • 商品の比較(画像またはテキストによる詳細の比較)

これらの機能は、ユーザーがショッピング関連の情報を入力したと「ChatGPT」が判断した場合、自動的に表示されます。また、アプリのメニューにある「Shopping Research」の項目からも利用できます。

「ショッピングアシスタント」を選択すると「Shopping Research」機能を利用できる
「ショッピングアシスタント」を選択すると「Shopping Research」機能を利用できる

「ChatGPT」のオンラインショッピング向けの取り組み

「ChatGPT」における「Shopping Research」は、既存のAIアシスタント機能、「Instant Checkout」機能、エージェント型コマースを基盤として構築されています。

OpenAIは、2025年9月末に「ChatGPT」の新機能として「Instant Checkout」を発表。導入企業は「ChatGPT」上からECサイトの商品を消費者が直接購入できるようになる機能で、OpenAIが決済事業者のStripeと共同開発した「Agentic Commerce Protocol」によって稼働しています。

OpenAIの「Instant Checkout」機能は、ハンドメイドEC運営のEtsyとShopifyが初期の導入事例となりました。

「Instant Checkout」の導入効果により、顧客は「ChatGPT」のチャットから商品を直接購入できる(OpenAIのYouTubeアカウントから追加)

10月には、Walmartが同機能の導入を発表。続いて11月には、TargetがOpenAIとの提携を発表しています。Targetは、OpenAIの生成AIプラットフォーム「ChatGPT」内で消費者が利用できるアプリを開発しました。

「ChatGPT」内でのTargetアプリの表示例(画像出典:Target Corp.)
「ChatGPT」内でのTargetアプリの表示例(画像出典:Target Corp.)

今回導入されたショッピング専用の新しい機能「Shopping Research」は、OpenAIの「GPT-5 mini AIモデル」のバージョンを基盤として構築しています。OpenAIは「GPT-5-Thinking-mini(高度推論モードの軽量版)を追加学習したミニモデル」と説明しています。ショッピング用途において、現在使用されている他の「ChatGPT」モデルよりも、より高い正確性で回答できるように設計しています。

比較対象として、OpenAIは自社テストの結果を開示。「Shopping Research」機能の正確性が64%であったと公表しました。これに対し、複雑な問いに対して高度な推論と思考を行い、高精度な回答を提供するモード「GPT-5-Thinking」の正確性は56%、Web検索機能が統合された検索モード「ChatGPT Search」は37%という結果でした。

OpenAIは正確性の測定方法について、回答のなかで提示された商品が、価格、色、素材などの条件を考慮したうえで、どれだけ利用者の期待に合致しているかを基準として評価したと説明しています。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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