Walmart(ウォルマート)は、「Pinterest」から直接、Walmartのショッピングカートに食材を追加できるようにしました。取り組みの詳細を解説します。
「Pinterest」上でWalmartから食材を直接購入
Walmartは、「Pinterest」でレシピを閲覧する利用者が、WalmartのECを利用して「Pinterest」上から直接、決済完了まで進めるようにしたいと考えています。その実現に向けて、WalmartとPinterestはパイロットプロジェクトを共同で構築しました。
レシピコンテンツからスムーズに購買
Pinterestが12月8日に発表した新機能は、一部のレシピコンテンツの横に「Shop Ingredients(食材を購入)」ボタンを表示。このボタンを使うことで、WalmartのECサイトやアプリ上のカートに食材を追加できるようになります。
Pinterestは、新機能について「今後、数週間以内に利用可能になる」と発表しています。新機能が順次展開されるなかで、Walmartから食材を購入する選択肢が表示されるほか、代替商品の選択、リアルタイムの価格表示、店舗受け取りや自宅配送といったフルフィルメントオプションも提示されます。
Pinterestのプロダクトマーケティング担当バイスプレジデントであるジュリー・タウンズ氏は、次のように話しています。
Walmartとの協業により、「Pinterest」のユーザーは食材の買い物がしやすくなります。この新しい機能を通じて「すべての『Pin』を購入可能にする」というWalmartの目標をさらに現実に近づけていきます。(タウンズ氏)
「Pin」とは、「Pinterest」上の気に入った画像や動画を自分の「ボード」(フォルダ)に保存したコンテンツです。Pinterestはユーザー自身が関心があるものを「Pin」でブックマークし、それがほしい場合は手に入れられるようにすることをめざしています。
Walmartと協業し新しい機能の提供を始めるのに合わせて、Pinterestは、同様の機能をほかの小売事業者にも提供できると積極的に訴求しています。
Walmartのホリデーシーズンに向けた戦略
「ChatGPT」とも連携
今回の「Pinterest」向け新機能は、2025年のホリデーシーズンに向けてWalmartが最近発表した、取り組みの1つです。Walmartの取り組みは、販売チャネルの拡大、オンライン購入手段の強化、フルフィルメント機能の拡充を目的とした複数の施策などです。
10月には、WalmartはOpenAIの「ChatGPT」プラットフォーム上でユーザーが商品を見つけ、「ChatGPT」上からWalmartの商品を直接購入できるようにすると発表しました。この提携によって、ユーザーのタスクの進行サポートや一部の自動化を行うエージェント型AIサービスの導入に加え、ChatGPTの「Instant Checkout」機能をWalmartの利用者に提供し始めています。
「Instant Checkout」は、「ChatGPT」とのチャット画面からECサイトの商品を消費者が直接購入できる新機能です。
ドローンによる高速配送の利用を拡大
ホリデーシーズン向けの取り組みは配送サービスにも広げています。Walmartは、最短で1時間以内の配送を掲げている「Express Delivery」を、12月24日クリスマスイブの午後5時(各地域の現地時間)まで利用可能にするとしています。
「Express Delivery」は、2025年6月、Walmartがドローン配送サービスを米国ジョージア州アトランタ地域の一部に拡大することを明らかにした際に発表されたサービスです。Walmartは、「Express Delivery」の提供にあたり、ドローン事業者のWingと連携しています。
WalmartのEC売上は堅調に推移
米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』は、Walmartの2025年のEC売上高は1485億9000万ドルに達すると予測しています。
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