高山 隆司 2014/6/2 11:30

佐川急便、ヤマト運輸を中心に、配送キャリアの値上げに頭を悩ませている方は多いのではないだろうか。「送料無料」「即日配達」を掲げる店が人気を集める中、同じことをすれば利益が圧迫され、商品価格に転嫁すれば他店との価格競争に敗れる。委託先を代えてみてもそこもまた値上げ…。

ここで少し視点を変え、「どこから送るのが合理的か」を考えてみよう。

クール便問題がホットに過熱

配送キャリアからの値上げ攻勢については、新聞やネット上で紹介されているが、大筋ではこんな感じになる。

B2Bが主戦場だった佐川急便が1998年からB2Cの宅配事業に参入し、価格攻勢でシェアを拡大してきたが、配達店のカバーエリアが大きいため、再配達で採算割れということになり、2013年から大口顧客への値上げを開始した。その際に、最大の大口客だったAmazonが佐川急便からヤマト運輸・日本郵便に主力を移すことになった。

ヤマト運輸はEC市場の拡大や、Amazonからの大口受託と順調に取扱件数を伸ばしてきたが、2013年10月にクール便の温度管理の不備がニュースになり、その対策として、これまでの「全国一律○○○円」といった受託をやめ、サイズ別・地帯別の料金をしっかり徴収する方向で、全国的に料金見直しが開始されている。

ヤマト運輸としては、受託する荷物の容積が把握できていない状態だったため、ピーク時に必要なインフラが計算できず、容積が分かるように、かつ、お中元に間に合うよう「サイズ別値上げ交渉」を2月から始めざるを得なかった……ということではないかと思う。

特にクール便の配送では、受けられる容積を超えると商品が溶け出すことになり、インフラを超える容積は「できれば受けたくない」という状況からの値上げではないかと感じる。

さらに佐川急便でも、クール便をこれ以上増やさないという方向性のため、ネットショップは、ヤマト運輸の値上げを受け入れざるを得ない状況となっている。

この一連の値上げで一番の影響を受けているのが、

  1. 大きなサイズ
  2. 顧客のいる主戦場から物流拠点が遠い
  3. クール便

以上の3つの条件に当てはまるネットショップである。

これまで一律だった料金が、「サイズ加算」「遠隔地加算」「クール加算」などにより5割値上げ、6割値上げになったというネットショップや、ケースによっては2倍の値上げを迫られているネットショップもある

配達先から物流拠点を見直そう

ところで、ネットショップの出荷場と配達先の関係をデータで見ると、出荷場がどこにあろうと配達先は人口統計に近い形で分布する(特殊なプロモーション、特約店・代理店を使っているケースは除く)。

総務省調査データ「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(平成25年3月31日現在)」
北海道:4%
東北:7%
関東:34%
北陸・信越:7%
東海:12%
関西:16%
中国・四国:9%
九州・沖縄:11%
「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」
※総務省調査データ(平成25年3月31日現在)をもとに編集部で作成

なんと関東から関西までの日本の中央部に、人口の69%が分布している。ネット利用者が都会に多いこともあり、弊社出荷データだと、関東から関西で70%〜80%という分布になっている。つまり、配達先の多い関東から関西の本州の中央エリアから出荷したほうが、有利ということである。

筆者の経験でも、北海道で生産された商品の発送を東海道ベルト地帯の中心・浜松市に移転した結果、北海道からの横持ち費用を入れても物流コストは下がった。さらに、翌日配達エリアが大幅に広がり、利用者の評価も上がった。仕入先が東海エリアであれば、逆に横持ち費用の削減になったケースもある。

◇◇◇

運賃値上げに対応して顧客の送料負担を上げた結果、定期客が1割減ったという事例がある

自社ネットショップの配達エリア別・サイズ別の出荷梱数をしっかり把握し、できるだけ顧客に近いエリアからの出荷ができるアウトソーサーを探すことが重要である。

関東・東海エリアには、品質の高い物流代行アウトソーシング先はたくさんある。運賃値上げをそのまま顧客に転嫁する前に、複数のアウトソーサーに相談し、品質とコストを勘案したうえで、物流センターの移転という選択肢を検討することをお勧めしたい。

このコーナーはインプレスビジネスメディア主催のイベント「ネットショップ担当者フォーラム」のプログラム委員によるリレーコラムのコーナーです。

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