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ネットショップを運営している企業の大半は、ビジネスが拡大してくると検品、仕分け、梱包といった商品発送に関連する作業のアウトソーシングを必ず考え始めます。大企業であれば立ち上げの当初からアウトソーシングするところも多いでしょう。では、どんな物流代行会社を選んだら良いのでしょうか。「やっぱりコスト?」「作業品質?」「倉庫の立地?」など、いろいろ悩まれることも多いと思います。どんなところに注意して選べば良いか、私が過去の経験から学んだ3つのポイントについてお話しします。

①自分たちと類似した商品を扱っているか

物流代行会社は規模によっては複数の拠点に倉庫を構えていますが、ポイントは自分たちが使う倉庫で、自分たちと類似したオペレーションを行っているかどうかです。同じ倉庫内で類似した作業を行っていれば、作業者が商品や作業に慣れていているため、自分たちの作業も早く覚えてもらえます。また、繁忙期に他のテナントさんの作業者に応援に来てもらうこともよくありますが、その場合にもトレーニングに多くの時間をかけずに済みます。

ただその反面、類似の商売をしているテナントさんばかりだと繁忙期が重なりやすく、人を補充しにくいといったデメリットもあります。適度にバランスのとれた倉庫が望ましいでしょう。

②現場の責任者と営業マンを信頼できるか

物流代行会社が倉庫を提案してきたら、自分たちの業務を担当してくれる現場の責任者と必ず事前に面談し、バックグランドを知りましょう。作業の品質は1にも2にも、現場の責任者の良し悪しで決まります。どんなにコストが安くても、どんなに最新型の立派な倉庫でも、担当者が現場を隅々までちゃんと見ているか、自らが率先して5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を行っているかどうかで、現場の品質は大きく変わります。RFPなど要件を出す時に、「現場責任者は現場経験あり(できれば最低3年とか)の人」と条件を入れるのが良いでしょう。

また、営業マンも重要です。選定の最初の頃は物流代行会社の営業担当との折衝になりますが、物流代行会社の営業マンでも現場経験がない、もしくは新入社員の時にちょっとかじった程度で「後はずっと本社で営業をしています」という人も少なくありません。そういった営業に当たるとこちらの要件をちゃんと理解できず、自分たちの現場からの意見もちゃんと踏まえないまま、競合他社に合わせた提案、見積りを出してくることが時としてあります。

そのまま契約してしまった場合、実際業務が始まってしばらくすると、現場から「最初に聞いていた業務要件と違う」「こんなコストではやっていけない」と言われ、荷主からは「コスト削減は当たり前」と板挟み状態。営業に言ってもらちがあかない。こうなると「物流代行会社変えます…」といった最悪のシナリオへ一直線です。そうならないためにも、良い営業担当に出会った時は、その物流代行会社を選べという1つのサインと思っても良いかもしれません。

③プラスアルファの提案があるか

物流代行会社が出してくる提案書、見積書を見る機会は多いと思いますが、多くは味気ない見積金額だけ。あとはよくある業務フロー、システムフロー、レイアウトや組織図……といったところが大半です。

それだけでなく、例えば「他にもこういったデータをご提供できます」「こんな分析ができます」「日々の生産性を可視化できます」といった、物流KPI的なものを提案してくれる物流代行会社の方が良いです。それも、RFPで依頼してなくても自ら提案してくれる会社があったら、そこはポイントアップと考えて良いでしょう。

物流代行会社にしてみれば、データを出す=改善、すなわち「コスト低減できるネタを荷主に渡してしまう」ということにもなりかねませんが、しっかりデータを開示し、「一緒に品質向上、生産性向上をやっていきましょう」という姿勢を見せてくれる物流代行会社は、希少価値があると思って間違いありません。

さらに最近のWMS(Warehouse Management System・倉庫マネージメントシステム)は、Webで荷主が直接データを見られるといったものも増えています。そういったWMSを使っている会社を検討するのも1つのポイントです。

◇◇◇

ネットショップにとって物流代行会社は、お客さまに商品をお届けするラストワンマイルであり、物流代行会社の現場で起こる事故はお客さまを失う結果につながりかねません。だからこそ、そこを物流代行会社に丸投げしてはいけないと考えます。常に「自分たちが商品をお届けしていると」いう意識を持ち、その意識を現場で働いている人たちと共有することが重要です。

できればまず自分たちで物流代行の作業をやってみて、失敗や成功、またお客さまへ商品を届ける喜びを経験し、その後にアウトソーシングを考えることをお勧めします。委託先を選ぶ際、自分たちの要件を正確に伝えることができ、物流代行会社からの提案に対して、どこがポイントか、どこが良くてどこがダメか判断しやすくなるでしょう。

このコーナーはインプレスビジネスメディア主催のイベント「ネットショップ担当者フォーラム」のプログラム委員によるリレーコラムのコーナーです。

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白川 久美

ウィリアムソン・ディッキー・ジャパン・リミテッド

白川 久美(しらかわ・くみ)

米系コンピューターメーカー、IT・ゲーム関連外資系企業でロジスティクス、サプライチェーンに従事。2003年からアマゾンジャパンに転職、フルフィルメントセンターでシニアマネジャーとしてオペレーション、トランスポーテションの責任者として従事。その後、ウォルト・ディズニー E-コマース事業部、楽天の物流事業、ローソンとヤフーが共同出資した「スマートキッチン」の物流センター構築などを経て、2013年から現在の米系カジュアルアパレルメーカー、ウィリアムソン・ディッッキージャパンの北アジア物流・IT部長として従事。現在は、上海を基点に中国国内物流・e-コマースロジスティクス、店舗間物流に従事

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