厚生労働省の平成26年国民生活基礎調査によると、全世帯のうち平均世帯年収は528.9万円世帯年収が「1,000万円以上」の割合は約11.3%となっています。こうした所得が比較的高い、いわゆる「プチ富裕層」の人たちを数多く集客できているECは、どのようなサイトなのでしょうか。ユーザー軸で見てみると、面白い傾向が見えてきます。

[分析概要]

株式会社ヴァリューズが保有する全国の行動ログモニター会員のうち、世帯年収が「1,000万円以上」と回答した人を分析ターゲットとし、2016年4月度の実際のネット行動ログデータを解析。ターゲットユーザーが日頃どのようなショッピングサイトを見ているかを分析しました。

  • サイト訪問者数は、PCからのアクセスを集計し、ヴァリューズ保有モニタでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推計しています。
  • サイトカテゴリはヴァリューズが独自に定義しています。

「ゴルフ」と「旅行」が好きなプチ富裕層

まず、サイト訪問者における「プチ富裕層」の人たちの割合が高いECサイトTOP30を、ランキングにしてみました。

「プチ富裕層」の人たちが、さまざまなジャンルのネットショップを巧みに利用している様子がうかがえます。

世帯年収「1,000万円以上」のユーザー含有率が高いサイトランキング【2016年4月度】<ECジャンル>
世帯年収「1,000万円以上」のユーザー含有率が高いサイトランキング【2016年4月度】<ECジャンル>

1位は「ゴルフダイジェスト・オンライン」のゴルフ場予約サイトでした。ゴルフ関連は2位の「GDOゴルフショップ」、6位の「楽天GORA」など上位に複数ランクインしており、やはり高所得者層と「ゴルフ」は親和度が高いようです。

3位はネットで固定資産税や自動車税の支払いをはじめ、ふるさと納税もできる「Yahoo!公金支払い」、4位は海外ネットオークションの「ebay」が入っています。また、ANAのマイルを利用したり貯めたりできる「ANAショッピング」(7位)や、有名ブランドを取り扱うファミリーセールサイト「GILT(ギルト)」(8位)もランクイン。

さらに、「伊勢丹」(11位)、「三越」(17位)、「高島屋」(25位)といった百貨店系のオンラインストアや、「ホテルズドットコム」(18位)、「agoda」(19位)などホテルの宿泊予約サイトも入っています。大手ショッピングモールや家電量販サイトが上位を占める通常のサイト訪問者数やEC売上ランキングとは異なる顔ぶれが並びました。

男性には「ジャストシステム」「ダイソン」などメーカーECが人気

また、「プチ富裕層」の人たちを男女に分けて、前述と同様にランキングを作成してみました。

まず男性の上位にはゴルフ関連が複数ランクインしていますが、特徴的なのは「Just MyShop ジャストシステム直営EC」(8位)、「Dyson(ダイソン)」(10位)、「ソニーストア」(12位)、「Lenovo」(13位)「Panasonic Store」(17位)など、家電やPCメーカー直販のECサイトが多数あがっている点です。

各メーカーに対するロイヤリティ度の高いユーザー層であることが考えられます。

世帯年収「1,000万円以上」のユーザー含有率が高いサイトランキング【2016年4月度】<ECジャンル・男性>
世帯年収「1,000万円以上」のユーザー含有率が高いサイトランキング【2016年4月度】<ECジャンル・男性>

女性には海外ブランドコスメや「ELLE SHOP」などのアパレルECが人気

一方、女性のランキングではどうでしょうか。こちらは男性とは顔ぶれが大きく異なり、ブランドコスメをディスカウント価格で購入できる「コスメデネット」(1位)や「LANCOME(ランコム)」(2位)、「ロクシタン」(10位)などの化粧品サイトをはじめ、「ELLE SHOP(エル・ショップ)」(3位)や「ワコールウェブストア」(5位)、「アウトレットピーク」(6位)、「ZARA」(11位)、「ピーチ・ジョン」(12位)などアパレルEC、「QVCジャパン」(4位)や「ジュピターショップチャンネル」(13位)などのテレビショッピングサイトも上位となっています。

男性と同様にメーカーやブランドによる直販ECサイトが多数ランクイン。高所得の「プチ富裕層」をファン化してLTVを高める戦略に長けている企業の一例と言えるでしょう。

世帯年収「1,000万円以上」のユーザー含有率が高いサイトランキング【2016年4月度】<ECジャンル・女性>
世帯年収「1,000万円以上」のユーザー含有率が高いサイトランキング【2016年4月度】<ECジャンル・女性>

このように、サイトを単純にセッション数やページビュー数、コンバージョン数などのボリュームで評価するのではなく、どのようなユーザー層を集めているのかや、特定ターゲット層での市場を俯瞰した際に、自社サイトのポジションニングはどのあたりかを定量的に把握することで、新たな顧客層の開拓や自社ECのCRM戦略を客観的に判断することができます。ECサイトの分析においては、ユーザー軸の観点もぜひ視野に入れてみてください。

◇◇◇

今回、分析に使用したネット行動ログ分析ツール「eMark+」では、知りたい業界やカテゴリを指定して簡単にサイトランキングやユーザーの属性を確認できる機能を無料で公開しています。無料アカウント登録でぜひお試しください。

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星 妙佳

株式会社ヴァリューズ エグゼクティブプランナー

星 妙佳(ほし たえか)

株式会社ファーストリテイリング(現株式会社ユニクロ)にて、ECサイトの運営・プロモーションを担当し、UNIQLOモバイルサイトを立ち上げ、ウィメンズやキッズ部門の通販MD(商品開発)にも従事。

2006年より株式会社リクルートにて、ベビーアパレル・育児用品の通販サイト『赤すぐnet』の編集長を務めた後、リクルートの各事業のネットマーケティングを横断的に支援する部署にて、データ分析グループのGM(ゼネラルマネージャー)に着任。社内外のデータサイエンティストと共に、需要予測、レコメンドなどデータ分析の強みを生かした複数のプロジェクトをマネジメント。

2012年ヴァリューズに入社し、現在は広報・商品企画・データ分析など幅広く担当。2人の子供を持つワーキングマザーでもあり、リモートワークを含めた多様な働き方にもチャレンジ中。

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