知っておきたい ECサイトに役立つ分析データ

アマゾンと楽天はどう使い分ける? 検索流入キーワードで違いを調査

楽天とAmazonのユーザーはどんなキーワードでサイトに流入しているのか?(連載第10回)

星 妙佳

2016年10月7日 8:00

月間で国内3,000万人以上のユーザーが訪れる巨大ECモールの「Amazon」と「楽天市場」 ※1。幅広い品揃えのため、季節やトレンドの影響を受けますが、ユーザーの利用傾向に違いはあるのでしょうか? ユーザーがどのような商品を求めてAmazon、楽天市場を訪れているのか、検索流入のキーワードデータから消費者ニーズの違いを探ってみました。

※1:株式会社ヴァリューズのeMark+でPCアクセスを調査し、ヴァリューズ保有モニタの出現率をもとに、国内ネット人口に即して推計。

サイト名指定流入ではAmazonが楽天を上回る

まず、Amazonと楽天市場の各サイトへの流入キーワードのトップ10(2016年8月度)から見てみましょう。

流入キーワードの1位はそれぞれ「AMAZON」と「楽天」というブランドワードになっており、「AMAZON」の検索流入が「楽天」を上回っていることがわかります。

Amazon、楽天市場の検索流入キーワードトップ10(全体)

Amazonでは8位に「KINDLE UNLIMITED」が急上昇キーワードとしてランクイン。8月3日に月額980円でKindle電子書籍が読み放題になる、定額読み放題の新サービスがリリースされ、注目度が高まったようです。

一方、楽天市場では、「ふるさと納税」というキーワードが8位に入っています。ふるさと納税は自治体に寄附をするとお礼に地域の特産品を貰えたり、税金控除を受けられたりといった特典がある制度。生まれ故郷だけでなく全国のさまざまな地域の活性化を支援しながら、お米や海産物、スイーツなどの特産品も楽しめるとあって、EC利用ユーザーとの親和性も高そうです。

楽天市場では、お礼の品のジャンルや寄附金の金額、用途、地域などが探せる特集コンテンツを用意しています。

楽天市場のふるさと納税の特集ページ

サイト名以外の流入キーワードで比べてみました

次に、「アマゾン」や「楽天」などのサイト名関連ワードを、「あまぞN」などの打ち間違いを含め除外して、流入キーワードランキングを作成してみました。

画像中文字
Amazon、楽天市場の検索流入キーワードランキング(サイト名関連を除外したもの)

Amazonでは話題のガジェットや書籍が上位に

Amazonでは、「KINDLE UNLIMITED」が流入1位となり、トップ5もKINDLE関連ワードが並ぶなか、「モバイルバッテリー」が3位にランクイン。7月下旬の「ポケモンGO」アプリのリリースに伴い、電池消費を気にせずプレイしたいユーザーが急増したため、モバイルバッテリーが注目を集めました。検索ワードにもその影響が出ているようです。

また、今年、芥川賞を受賞した『コンビニ人間』(村田 沙耶香 著)や、スマホと連動して鍵やお財布などをなくした場合に地図表示や音で位置を知らせてくれるアイテムトラッカーの「TRACKR」、スーパーフードとしてヘルシー志向の女性の注目を浴びている「タイガーナッツ」など、話題の商品が上位にあがっています。

楽天市場では季節商材や人気アイテムが上位に

一方、楽天市場では、「ラッシュガード」「水着」「枕カバー」「エアコン」など、夏に需要の高まる商品が多数上位に入っていた点が特徴的です。

また、「DHC」「爽快ドラッグ」「ニトリ」など楽天市場に出店している店舗名も見受けられます。

さらに、「KAILIJUMEI」など話題のリップコスメや、「ルンバ」や「アイコス」などすでに人気商品として定着しつつあり、カテゴリ内でのブランド力が強いアイテムもランクイン。アパレル、雑貨、コスメ、家電まで幅広い商品ジャンルでの検索キーワードが上位に見られました。

◇◇◇

今回のデータからは、話題になり始めた商品での検索流入が多いAmazonと、季節商品や人気商品での検索流入が多い楽天市場、という傾向がうかがえました。Amazonや楽天市場への検索流入ワードは、注目度や季節、トレンドも反映されやすく、ネットショップでのMD戦略やコンテンツ企画に有効なデータソースといえます。

分析に使用したヴァリューズの「eMark+」では、Amazonや楽天市場だけでなく、任意のWebサイトを指定して検索流入キーワードを調べたり、特定のキーワードを指定して、同時にどのような関連語が検索をされているかを集計したりできる機能があります。ご登録いただくとオンラインで閲覧でき、一部機能とデータは無料ですので、ぜひお試しください。

[分析概要]

株式会社ヴァリューズが保有する全国の行動ログモニター会員の協力により、2016年8月において「Amazon」と「楽天市場」にネット検索で流入したキーワードと流入数を集計し、トップ500位のランキングを作成しました。

  • PCからのアクセスを集計し、ヴァリューズ保有モニタでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推計。
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