イーベイ・ジャパンって何をやってるの? 佐藤新社長に聞いてみた

9月23日に代表取締役社長へと就任した佐藤丈彦氏に話を聞いた

中川 昌俊

2016年10月28日 8:00

イーベイ・ジャパンは今、どのようなことをしているのか? 今後の展望は? 事業や戦略などについて、代表取締役社長に就任したばかりの佐藤丈彦氏にインタビューした。

イーベイ・ジャパンはこれまで、代表取締役社長はeBayアジア太平洋地域の法務部門トップが兼務してきた。長年、日本事業を見てきたスタッフの1人で、日本のEC業界や事業者の動向などにも詳しい佐藤新社長が描く事業構想とは。

佐藤丈彦 代表取締役社長

佐藤丈彦 代表取締役社長

日本の事業者の越境ECをサポート

――イーベイ・ジャパンは現在、どんな取り組みをしているのでしょうか。

eBayが世界各国で展開しているプラットフォーム上に登録している約1億6500万人のバイヤーと、日本の事業者をつなげるサービスを展開しています。日本向けのプラットフォームを展開していないため、日本の消費者向けにはサービスは行っていません。あくまで日本の事業者の越境ECをサポートするというサービスです

――イーベイ・ジャパンが海外販売をサポートしている事業者の事業規模はどの程度なのでしょうか。

eBayは個人間のオークションビジネスのイメージが強かったと思いますが、現状は中小事業者からの出品が中心です。最近は大手企業の参入も増えています。特に2013年以降は「越境EC」が注目されるようになり、eBayを利用する事業者が増えています。

増加の勢いを見ても事業者の方が圧倒的に増えています。特に海外への販売に取り組む方が多いです。販売形式も固体価格が8割、オークションが2割といった構成です。

――どのような商材を日本の事業者は販売しているのでしょうか。

販売状況はとてもユニークで、海外からは中古品に対して根強い需要があります。たとえば、ブランド品などは他国から出品された場合、真贋が不明のためなかなか売れないのですが、日本の事業者が販売する商品は信頼感が高いため、中古でも人気です。

ただ、今後は新品を増やしていこうと思っています。EC事業者向けに管理システムなどを提供している企業と連携し、eBay対応によって他モールに出品するのと同様の作業でeBayで海外販売できるようにしたいと考えています。

カテゴリーのスペシャリストを作れるチーム体制に変更

――8月から開始した「小売・製造業者 海外支援プロジェクト」では、地方の中小企業が製造する商品や伝統工芸品などをeBayを通じて販売するということですが、なぜこうした取り組みを開始したのでしょうか。

Webなどで日本の文化や伝統工芸品を見て興味を持っている外国人は多い。手に入れたいと思っているけれど、なかなか日本へ買いに行けないという外国人は少なくありません。

一方、伝統工芸品を店頭で販売していても、海外向けECサイトで売る事業者はほとんどいません。そのため、まずはeBayでこうした日本の伝統工芸品が販売されている状態を作ることが重要だと考え、このプロジェクトを開始しました。

第1弾として、京都市および京都商工会議所、京都のITベンダーが間に入って取りまとめしていただいています。まずは、この取り組みを成功させるため、イーベイ・ジャパンとしても全力でサポートしようと考えています。

京都の取り組みがうまくいけば、成功モデルとして他の地方都市にも広げられると思っています。

――イーベイ・ジャパンとして今後、行っていくことは。

これまで、特に地域や商材などの区切りなく、さまざまな業種業態の出品者に対してアカウントマネージャーが対応していました。これを2017年からはカテゴリーごとにチームを組む体制に変更。カテゴリーのスペシャリストが対応できるようにしていきます。「当該カテゴリーにおいて、現在、米国ではこのような商品が人気になっており、こうした商品を出せば売れる」といった深い話まで出品者にできるようになります。また、日本のカテゴリーチームとして、他の国のeBayにある商品を戦略的に売り込んでいくということもできると考えています。

これまでのアカウントマネージャーは、トラブルシューティングの役割が強かったのですが、これからは海外で販売するためのパートナーとして、より出品者の販売を手助けしていきたいと思っています。

――イーベイ・ジャパンの3~5年後の目標は。

イーベイ・ジャパンとしては、全国の事業者の方にeBayを通じて海外へ販売していただくことが最終ゴール。それに向けてまず、当社のビジネスを多くの人に理解してもらう一方で、越境ECのハードルをさらに下げることが必要だと思います。そのためには、より支援事業者に協力してもらえるようにすることが重要です。3~5年はこうした支援事業者との連携を強化していきたいと思っています

eBayは、AIを活用したサービス(参考記事)や、VRを使ったサービスへ積極的に取り組んでいます。特に翻訳技術などは格段に進んでくると思いますし、新たな買い物の仕方も出てくると思います。こうした強みも生かしながら、多くの事業者に参加してもらえるようにしていきたいと考えています。

この記事のキーワード

この記事をシェアしてほしいタヌ!

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る

企画広告も役立つ情報バッチリ! Sponsored

「サムソナイト」「グレゴリー」のEC改善事例。CVR改善+購入完了率が最大45%増の成果をあげたアプローチとは 11月12日 7:00 スマホゲーム「モンスト」ファンがお得にアイテムを購入できる「モンストWebショップ」はなぜ「Amazon Pay」を選んだのか。導入効果+UI/UX向上に向けた取り組みを聞いた 10月30日 7:00 アンドエスティが「3Dセキュア2.0」の超効率的運用に成功したワケ。オーソリ承認率大幅改善、売上アップにつながった不正対策アプローチとは? 10月28日 7:00 EC業界で市場価値を最大化する――「全体を見渡せる人材」になるためのキャリア設計 10月27日 7:00 転売ヤーが引き起こすEC市場の混乱に立ち向かう! Shopifyパートナー・フラッグシップが提案する最新対策 9月29日 8:00 14か月で累計売上30億円超え。 韓国のネイルブランド「ohora」の急成長を支えたEC戦略とは 9月22日 8:00 生成AI検索が変える消費者の購買行動。UGC活用でサイト流入を最大化する 9月10日 8:00 ほしい商品が見つからないイライラを解消し、CVRを向上! 検索機能強化と顧客満足度アップを実現するBtoB-ECサイト改善のポイントとは? 9月9日 7:00 B向けEC担当者必見。BtoBビジネスを成功に導くサイト内検索の最適化戦略 9月3日 8:00 クリック率3倍、セッション数2.3倍を実現したECサイトの取り組みとは? リアル店舗のような“ワクワク感”を再現するPLAZAの事例 9月2日 7:00