瀧川 正実 2017/3/9 7:00
石原伸晃経済再生担当相
石原伸晃経済再生担当(出典は内閣府のHP)

石原伸晃経済再生担当相は3月7日、中央合同庁舎での記者会で「ヤマト運輸のサービスの見直し」に言及。ヤマト運輸が配送料の値上げを検討していることについて次のように語った。

27年間も値上げしていなかったというところに実は驚いて、やはり荷主の方に優越的地位があるのだということを印象として思った。ただ、やはり適正な仕事に対しては、適正な対価が払われるということで交渉が行われるということは、私は好ましいことだと思います。

ヤマト運輸のサービス見直しや値上げの問題点の1つとして、労働力不足があげられている。こうした件については、「労働集約型の分野では、生産年齢人口の減少に伴って、やはりどうしても人手不足というものが起こってくる。これを乗り越える唯一の策というのが、一億総活躍社会の問題と、もう1つイノベーションだと思います。IT技術というものもかなり進歩してきていますし、こういうものを活用したり」と述べた。

配送分野の効率化については次のように説明する。

輸送の分野では、自動運転というものも非常に大きなツールにこれからなってきますし、これはもう実現可能の一歩手前まで来ていますので、こういうもので効率化をしたり、生産性を上げることによって、今、根本的な問題、人がいないという問題を乗り切っていく、ポテンシャルは十分日本にはあるのではないでしょうか、このように思っています。

閣僚の「ヤマト運輸のサービスの見直し」発言を巡っては、3月3日に石井啓一国土交通大臣が言及。「国土交通省としてはやはり、今後とも物流業界がその役割をきちんと果たしていくためには、担い手をきちんと確保するという面で、長時間労働の是正や処遇の改善、これで担い手を確保するとともに、やはり生産性の向上をしっかりとやっていく」とコメントしている。

日本は人口減少社会に本格的に突入(平成27年国勢調査の確定値で日本の総人口は調査開始以来初の人口減)したことも加わり、物流業界は人手不足が深刻化しているのが現状だ。

「自動車運転の職業」の有効求人倍率の推移
「自動車運転の職業」の有効求人倍率の推移。貨物自動車以外にバスやタクシーも含まれる(編集部が日通総合研究所のサイトからキャプチャ)

日通総合研究所の調査によると、「自動車運転の職業」の調査を行ったすべての地域で有効求人倍率は1.0倍(2016年2月時点)を超え、ドライバーを集めたくても集まらない状況に陥っている。

これまで輸送量に比べて労働力の供給過多が続いていたが、近年の物量増加と高齢ドライバーの引退し、新たな担い手不足によって供給不足へ逆転。日通総合研究所は、ドライバー不足は社会変化に伴う構造的な問題であり、トラック輸送がリスクに直面していると説明する。

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