川村トモエ, 湯鳥ひよ+トレンド・プロ(マンガ) 2014/12/10 6:00
この記事は「マンガで納得! インターネット販売 売れるネットショップ開業・運営」の一部を、特別に公開しているものです。

登場キャラクター

たぬかわ君

たぬかわ君 おイモ専門の通販サイトを運営している。

きつねやま君

きつねやま君 メガネ専門の通販サイトを運営している。

たぬかわ君「そういえばさぁ、最近なぜか購入率が下がったりネガティブなレビューが増えたりしてるんだよね」
きつねやま君「え!? そうなの?」
たぬかわ君「これこれ」
きつねやま君「……なんか商品数増えたね。おイモ屋じゃなかったっけ?」
たぬかわ君「すごいでしょ? 商品数をとにかく増やせば売れるかなぁと思ってさー」
きつねやま君「それもわかるけどこれじゃ何屋かわからないよ」
このショップ、品質・デザイン性重視のかっこいい商品ばかり!
→いい商品ばかりだったのに質の悪い安物がやたらと増えたわね……
きつねやま君「元の強みを捨てて商品数を増やしていくと強みがよくわからないごちゃごちゃしたショップになってしまうんだ。お店のコンセプトを忘れて商品数を増やすことばかりに力を入れているとそのうち埋もれちゃうよ」
たぬかわ君「「埋もれる」で思い出した! 今日、おイモ堀りに行くんだったよ。おみやげのイモ楽しみにしててね」
きつねやま君「大丈夫かな……」

商品数を増やせば売れる?

型番商品など、ある程度検索されるような商品は、登録商品数を増やせば増やすほど検索からの入口が増え、特に何もしなくても売り上げが伸びます。SEOを行っていればなおさらで、目に見えて売り上げが伸びるはずです。在庫を持たなくてもいい「取り寄せ商品」を増やすのもいい方法でしょう。インターネットは売り場の面積が無限大なので、実店舗と比べて、ネットショップは簡単に商品を増やすことができます。

商品数を増やす危険性

ただし、とにかく商品数を増やせばいいというわけではありません。例えば、オリジナルタイプで、単品通販路線(魚鱗戦略)を取っている場合は、無理に商品数を増やさない方がいいでしょう。

商品数が少ない店は、仕事が比較的シンプルです。しかし商品数を増やすと、これまでと比べて複雑な管理が必要になり、仕事のやり方を大きく変えることになります。

また、似たような商品を増やしたところで、既存の商品とかぶってしまい、全体の売り上げが思ったほど伸びない場合もあります。

つまり、無計画に商品数を増やすことには、「小さいながらもブランド力があった専門店」を、「平凡などこにでもある店」に変えてしまうという危険があるのです。自店が商品数の拡大に向いているかどうかを見極めて、できる範囲で商品数のアップを検討しましょう

きつねやま君「……なんか商品数増えたね。おイモ屋じゃなかったっけ?」
たぬかわ君「すごいでしょ? 商品数をとにかく増やせば売れるかなぁと思ってさー」
商品数を増やすことで、何の店かわかりづらくなってしまう場合もある。

「未登録商品」のアップで売り上げもアップ

ときどき、本業が量販店でたくさんの商品を取り扱っているのに、「インターネットではこのカテゴリだけを扱う」というスタンスで、わずかな商品だけでネットショップをやっている店があります。これは非常にもったいないケースです。本業で取り扱っている商品の中でまだ登録していない商品、つまり「未登録商品」がある店は、ぜひそれらをアップしましょう

例えば、自転車本体を売りたい店が、当初売る気のなかったパーツや付属品類を登録すると、それによって来店客が増え、結果、自転車本体の売り上げアップにつながったりします。

単品通販やニッチタイプの専門店のように、「あえて商品を絞り込む」明確な戦略がない場合は、本業で在庫を持っている商品は、すべてネットショップに登録することをおすすめします。

「専門店」は商品カテゴリから品揃えを組み立てる

漠然と商品数を増やした「無個性な大型店」に、ファンがつくことはありません。そのような店を作るのは簡単なので、時間とともにだんだん似たような店が増え、埋もれることになります。

存在感のあるお店を作るためには、商品数という単純な「量」だけではなく、お客さんに満足してもらえる「質」を追求しましょう。この量と質を両立させるために、「専門店化」と「セレクトショップ化」という2つの方法を紹介します。

まず「専門店化」は、「商品カテゴリ」を軸に品揃えを増やしていくという考え方です。例えば文房具の専門店が、学生向け、ビジネス向け、子供向け、書道用品、結婚式の招待状などあらゆるジャンルの文房具を揃えるスタンスです。

このパターンを踏襲するのは、古くからの専門店やメーカーの直営店、産直品の生産者、腕利きの職人を抱える店など、特定商品の生産・仕入れに強い基盤を持っている店が多いはずです。本業にもともと備わっている長所を生かそうとするので、必然的にこのような商品カテゴリありきの方向性になりやすいのです。

品揃えを考える際は、まず「何の専門店か」というコンセプトを明確に定めます(コツ22を参照)。例えば「商社が運営する、世界中の石鹸が揃う専門店」などです。次に「石鹸を買う可能性があるさまざまな客層・用途」を洗い出します。

商品カテゴリを固定したままで店を大きくするには、今までの常識にとらわれず、幅広い客層・用途を見つけ、外に視野を広げてマンネリを打破していく必要があるでしょう。

「セレクトショップ」は「客層」を固定してカテゴリを拡大する

次に、「セレクトショップ化」を紹介します。これは「同じ価値観・センスを持つ客層」を対象に、その客層のために「さまざまな商品カテゴリを開拓」して、品揃えを増やしていくという考え方です。

例えば、無印良品は、いろいろな商品を扱っているものの、「シンプルな暮らし」という一貫したテーマを掲げています。だから、この価値観を好む客層が集まってくるのです。華美な装飾を好まず、家中をシンプルな無印グッズで埋め尽くすファンも少なくありません。

そんな客層のために、無印良品は菓子類から住宅までカテゴリを増やしてきました。品揃えは幅広いものの、決して「何でも揃う」わけではありません。あくまでも、店舗の持つ価値観に沿った商品のみが置かれているのです。蛍光色のカーテンを置いてしまったら、「無印良品らしくない」ですよね。

この「セレクトショップ化」を選ぶのは、店長や経営者が「こんな生活をすすめたい」という思いを強く持っている店に多いです。独自の世界観やセンスがあり、常連客からの支持を受けて「ウチの店らしさ」を追求することで成長していきます。

この世界観がそのまま店舗のブランドイメージになるので、広く支持を増やしていくためには、それを他者に伝えるコミュニケーション能力が必須となります。例えば、一瞬でその店のセンスや世界観が伝わるようなキャッチフレーズやデザイン力が欠かせません。世界観にそぐわない商品を置くのは論外です。

目先の売り上げアップにとらわれず、中長期的に見て、自店の品揃えはどうなっているべきかを考え続けることが大切です。

客層を広げる 商品カテゴリを広げる 特定カテゴリに特化した専門店 何でも屋 特定の客層に特化したセレクトショップ
店の個性を維持しつつ売り上げを増やす

こんにちは、著者の川村トモエです。

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