日本郵便が通販向け国際物流に本腰 荷物追跡サービスなどの提供へ
日本郵便は10月3日、フランスの郵便会社、ラ・ポストグループと資本・業務提携を締結したと発表した。ラ・ポストの物流会社ジオポストと、香港の物流会社レントン・グループの間で資本・業務提携を結ぶ。日本郵政グループが海外企業に出資するのは初めて。海外拠点を使い、日本郵便による一貫した自社配送を行える体制を作り、安全な配送を荷主に提供。荷物追跡サービスの提供や関税の元払いサービスなど、従来ではできなかったサービスを展開し、海外向け通販事業を手掛ける企業との取引拡大を目指す。
日本郵便は、ジオポストが出資提携しているレントングループの第三者割当増資を引受け、レントングループ株式の14.9%を取得。日本郵便・ジオポスト・レントングループの3社による資本・業務提携を結ぶ。
ジオポストの拠点を使い、アジアや欧州など世界49か国・地域に、日本郵便が直接、宅配便を配送できる体制を整える。日本郵便が従来から提供してきた国際郵便や国際スピード郵便(EMS)は、相手国側に荷物を運んだ後は現地の郵政企業に任せる仕組みだったため、荷物の追跡や紛失時の捜索が難しくかった。
また、荷物が雑に扱われ、配送中に破損することも少なくなかったという。こうした環境が続いていたため、通販企業では国際郵便の利用が進まず、海外向け通販に対して積極的に展開できない要因の1つとなっていた。
今秋新たに開始する「ゆうグローバルエクスプレス」では、一貫した海外での配送体制を作ることでこうした問題を解決。また、自社で拠点を整備するコストも抑えられるため、配送量も同業他社と比べ割安にできるとしている。
今後は、経験豊富な海外パートナーとの提携により、高い成長が見込まれるアジア市場への展開を進める。その一方、レントングループ関連企業との関係強化。人事交流により海外事業のノウハウを習得することで、国際物流事業を手掛ける総合物流事業者として発展させていくとしている。