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ジャパネットグループがウィズコロナに対応した働き方への対応を進める。来年にも、東京のオフィスに置く経営戦略の部門や新規事業担当部門、媒体制作部門など5割程度の部門を福岡に移転させる。コロナ禍を機に変わる働き方を踏まえ社員に負荷のかからないオフィスの在り方の見直しを進めており、福岡の新拠点設置もその一環。コロナへの対策やリスク分散の観点からも東京以外の地域に大規模な拠点を設けることにしたようだ。

経営戦略など主要部門を含め、大部分を福岡に移転

「コロナを機に(経営戦略などの主要部門を置く拠点が)本当に東京である必要があるのかと考えた」。11月12日に福岡市内のホテルで記者会見を開いたジャパネットグループを率いる髙田旭人社長は来年9月に竣工予定で現在、建設中の福岡・天神の商業ビル「天神ビジネスセンター(地下2階、地上19階建て)に東京のオフィスに置く部門の大部分を移転させることを決断した理由についてこう話す。

同社では天神ビジネスセンターの12~14階部分を賃貸ではなく区分所有する予定。購入額は非公開という。3フロア合計面積は約7000平方メートルとなり、長崎・佐世保の本社に次ぐ大型拠点となる。現在、東京・麻布のオフィスで働く200人のうち、約50人が早ければ来年末にも福岡の新オフィスへ異動。あわせて東京のオフィスに置くジャパネットホールディングス管下の人事、経理、経営管理、ファシリティ、システムの各部門のほか、子会社のジャパネットたかたのWEB制作および紙媒体制作部門、新規事業を手掛けるジャパネットサービスイノベーションのクルーズ事業やペイメント事業など12部門を福岡に移転させる。

通販新聞 ジャパネットグループ 福岡に移転 新オフィス設立 withコロナ時代の働き方
JAPANET@FUKUOKAプロジェクトの概要。ジャパネットホールディングスの主要機能を東京から福岡に移転

なお、東京からの異動のほか、11月12日から福岡で人材募集のテレビCMや交通広告などを出稿するなどし、福岡での採用活動を進め、約110人の中途採用を行い、福岡での事業を拡大、強化する考えだ。

同社では2012年に東京にオフィスを構え、17年にはより広いスペースを確保すべく、東京・麻布の商業ビル、住友不動産麻布十番ビルの7階全フロアと8階の一部を借りて新たなオフィスとし、経営管理部門を始め、様々な主要機能を置いていた。

「withコロナ」で働き方を見直す

「ジャパネットグループの本社は佐世保であることは変わらないが東京のスピード感などが様々な部門にとって、(都合が)よいことなどからこれまで東京に部門や機能を移してきた」(髙田社長)。情報や取引先が集中する東京を足掛かりに事業を展開していくというこれまでの方針を転換するに至った理由はコロナ禍だ。「どうコロナと付き合っていくか。ウィズコロナ時代の会社のあるべき姿を考えた結果」(同)という。

コロナを機にリモートワークを導入する企業が増えた。リモートワークにはメリット、デメリットがあり、企業によって考え方は異なる。完全リモートを採用する企業もある一方で同社の場合は現状、月に2回、隔週月曜日を原則、リモートワークとする制度を設けているが原則出社を基準にコロナと共存できるオフィスの在り方や働き方の見直しを進めてきた

例えば感染リスクを減らすための工夫として社員の座席の間にアクリル板を設置したり、会議室を執務エリアとして使用してソーシャルディスタンスを取れるようにしたりする一般的な試みのほか、コロナを機に増えたオンライン会議を円滑に行うために大半の会議室に導入したオンライン会議用専用テレビの導入、コールセンターで働くコミュニケーターの安全性を担保し、また、緊急事態宣言で休業せざるを得ず、苦しい状況のホテル業界の支援を目的として4月から9月まで実施した福岡市内にあるビジネスホテルを借り受けて1人1部屋で電話対応業務を行う取り組みなどだ。

通勤を極力なくす取り組みも推進している。「考え方は2つで自宅をオフィスに近づけるか、オフィスを自宅に近づけるか」(同)とし、東京など一部の拠点のみだが、拠点から2キロ以内に住み、徒歩で通勤する従業員には毎月特別手当を支給するほか、年内にオフィスの近くに引っ越す従業員に対して、引っ越し代金を支払う新制度も導入した。

通販新聞 ジャパネットグループ 福岡に移転 新オフィス設立 withコロナ時代の働き方 通勤時間の削減
JAPANET@FUKUOKAプロジェクトの概要。福岡オフィスでは平均通勤時間が東京オフィスの半分以下に

分散拠点化の延長線に新オフィス移転がある

また、分散拠点化も進める。これまで福岡市内のコールセンターは基幹センターをメインに業務を行ってきたが、この度、新たに複数の小規模な拠点を借り、稼働させ始めた。これによりコミュニケーターは通勤を最小限に抑えて住まいの最寄りの拠点で仕事ができるようになっているという。

こうした取り組みの延長線となるのが福岡での新オフィスの設置および東京からの事業部門の移設という。密を避け、通勤時間を極力短縮し、かつ「社員が幸せに仕事ができる空気を作りたい」(同)という働きやすい環境を用意するためには東京以外の地域での拠点整備が必要だと判断

そこで東京の業務を移管できる場所を7月くらいから選定している中で、都市と地方の魅力を備えたコンパクトシティで東京に比べ社員の通勤時間も大幅に短縮できる上、住環境も良好でそこで働く従業員のワーククライフバランスに充実につながることや九州の中心地で多様な人材を確保できることなどの理由から、福岡市の再開発促進事業「天神ビッグバン」の第1号案件として福岡地所が建設中だった天神ビジネスセンターに拠点を設けることにしたという。

ジャパネットグループでは地方回帰を進め、福岡の拠点のほか、今年新設した長崎市内の拠点なども活用し、ウィズコロナ時代の会社やオフィスの在り方、環境整備を進めていく考えだ。

通販新聞 ジャパネットグループ 福岡に移転 新オフィス設立 withコロナ時代の働き方 高田旭人氏 高島宗一郎福岡市長 榎本一郎社長
ジャパネットホールディングス 代表取締役社長兼CEOの髙田旭人氏(中央)、福岡市長の高島宗一郎氏(左)、福岡地所 代表取締役社長の榎本一郎氏(右)

なお、同日の記者会見には高島宗一郎福岡市長や福岡地所の榎本一郎社長も出席。高島市長は「福岡市民を代表して歓迎したい。福岡市はスタートアップの特区。ジャパネットのプラットフォームを生かして新たなビジネスやコラボレーションにも期待している」とコメント。榎本社長は「アマゾンに対抗できる日本の企業があるとすればジャパネットさんしかない。これからの大きな成長を期待している。日本のGAFAになってほしい」と期待を寄せた。

福岡に腰を据え、「幸せに仕事をできる空気作り」に取り組む

髙田社長が語る「福岡での新拠点開設の狙い」とは

福岡市内の商業ビル「天神ビジネスセンター」に新たなオフィスを設置するプロジェクト「JAPANET@FUKUOKA」を発表、始動させたジャパネットグループ。同社を率いる髙田旭人社長に狙いや意気込みなどについて聞いた。(本紙記者を含む記者会見での報道陣からの一問一答や髙田社長の説明から一部を要約・抜粋)

――東京から主要部門を福岡に移す利点は何か。

それぞれの地域にあった業種があると思う。ジャパネットたかたの中心的な機能であるバイヤーや制作の部隊、あとは来年立ち上げるBSテレビ局の部隊などは東京に今後も置く。そうした業種は東京でないと戦えないし、東京のスピード感があっている業種だと思う。一方で、必ずしも東京に置かなくてもよい部門もある。今回、東京から福岡に移設しようとしている主にホールディングスの戦略的な機能と(子会社の)ジャパネットサービスイノベーションが手掛けるサービス系部門。販売のジャパネットたかたのインタネットの制作とペーパーメディアの制作、そしてスポーツ・地域創生に関するクリエイティブチームなどが福岡に移設、もしくは増設するという形になる。

今後、福岡・東京・長崎の拠点に機能が分散する形にするが、それぞれの拠点で強みを生かした機能を持たせたいと思っている。また、本音で言うと、当社は長崎の会社なので九州に愛着がある。また、社員には長く一緒に働いてほしい。そして”ジャパネットらしさ”を一緒に積み上げていきたい。長く一緒に働いてもらう社員の人生を豊かにしたいといつも思っており、そういう意味では九州出身者も多く、東京よりも福岡の方がより居心地がよい人が多いのではないかという想いもあった。

――福岡へ主要部門を移設した後、東京の拠点はどうなるのか。

東京には麻布と東陽町に拠点があるが、東陽町に置いているアフターサービス用のコールセンターは300人の従業員を含めてそのままだ。麻布のオフィスに置いている機能の4、5割くらいを福岡に移す感覚だ。現在、麻布のオフィスでは200人が働いているがそのうち、50名超が移動することになる。異動できないメンバーもおり、そうした場合には部署異動という形で新しい部署に異動してもらう形だ。麻布のオフィスは現状、1・3フロアを借りている(7階と8階の一部)。福岡に機能を移した後は1フロアに縮小しようと思っている。

――経営陣はどの拠点に常駐することになるのか。

現状、福岡にはコールセンターを担当している役員が1人いるが、新オフィス開設後は3、4人が福岡を軸にする形になると思う。グループ内の役員は長崎、福岡、東京でほぼ同じくらい配置になると思う。私も福岡に来る頻度が増えると思う。

――福岡の新オフィスは賃貸ではなく、区分所有となる。それだけ福岡に腰を据えていくということだと思うが、福岡をどう評価しているのか。

私自身、中学高校を福岡で過ごし、社会人になってから7年間、福岡で仕事をしてきた。都会も自然もある福岡の魅力を実感している。また、天神ビッグバンプロジェクトなど福岡は街が発展し続けている。地域創生の旗印になるような街作りが進んでいく中で我々も身を置いて一緒に取り組んでいけることは幸せなことだと思っている。

また、九州出身の社員も多いのでとにかく福岡のイメージがいい。社内で転勤の有無を選択できる地域選択制度というものがあるのだが、『転勤できない』とした社員の中で『福岡だったら転勤できる』という人もおり、福岡であれば社員も喜んでいくれるのではないかと考えた。通勤の苦労とか休みの日の時間の使い方など、そういうものが人間の幸せを決める重要な要素だと考えている

幸いにもこういった投資をできる環境にある会社であるからこそ、『幸せに仕事ができる空気を作りたい』という想いがある。(入居する「天神ビジネスセンター」は)おしゃれで本当にすばらしいビルだ。もちろん値段的にもかかるわけだが、それが会社としての宣言であり、中途半端な気持ちではないという発信でもあった。我々としてはそれだけ福岡に腰を据えて一緒に街を作っていきたい。

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