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ECビジネスで継続的に事業を拡大していくために、CRMによるLTV(顧客生涯価値)とリピート率改善の取り組みは欠かせません。ところが、CRMツールを導入しても、しっかりと活用できている企業は、1割未満(※2019年アドブレイブ社によるCRM導入企業100社へのモニタリング調査)とまだ少ないようです。CRMツール「アクションリンク」開発者が、EC企業によるCRMの利活用が進まない理由、CRM導入に失敗する原因、LTV向上につながる「最新CRM事例」を解説します。

ECで再購入のきっかけはEメールがダントツ1位

LTV向上はどうすればいいかを考える前に、お客さまがリピート購入に至る「理由」や「きっかけ」を見ていきます。2019年にアドブレイブが行った調査によると、再購入のきっかけは「Eメールで得た情報」がダントツ1位でした。

その理由で多くあげられたのが、「ちょうど(良いタイミングで)欲しい商品を知らせてくれた」「欲しい商品を気づかせてくれた」。この2つで半数以上を占めています。

つまり、メールで1人ひとりのお客さまに合わせた情報提供を行うことが、最も効率的にLTV向上につながるというわけです。しかし、お客さまに適した情報を提供するためにCRMツールを導入しても、「うまくいかない」と感じている企業が多いようです。それはなぜでしょうか?

アドブレイブが調査した再購入のきっかけとなった情報源など
再購入のきっかけとなった情報源など

9割のECがCRMツールを導入しても活用できない理由

アドブレイブが2019年に実施したCRMツール導入企業100社へのアンケート調査によると、ECのCRMがうまくいかない理由として事業責任者や現場の担当者が考える主な原因は、下記の3つで8割を占めています。

  • 設定が難しく専門知識を要する
  • 忙しくて作業時間を確保できない
  • そもそも何をしたらよいか分からない
企業がCRMツールを活用できない理由など

つまり、大半の企業がCRM施策をスタートする以前につまずいていることになります。

その結果、高額なCRMツールを導入したもののすべての会員に同じメールを一斉配信するなど、2000年前後のEC黎明(れいめい)期のような単純な施策に終始し、ツールの費用対効果が見合わない事態に陥ってしまうのです。

こうした単純な施策が効果を上げにくいのは、「自分に興味がない商品を紹介するメールが来る」「もう購入している商品のメールが来る」「購入したばかりでまだ商品が届いていないのに宣伝メールが来る」など、顧客エンゲージメントを損なうメッセージ配信になってしまっているからです。リピート購入を促しLTVの改善をめざすのであれば、商品やサービスを提供する企業と顧客との間の信頼関係とも言える、「顧客エンゲージメント」の向上は必須です。

一斉配信せざるを得ない、企業側の理由とは?

このような施策を推進してしまうのには、企業側にも理由があります。たとえば、以下のような声があります。

  • 売上目標は落とせない、売り上げを最大化するには全配信が最も効果的な施策だ
  • 細かいセグメント配信をしても、手間の割にターゲット母数が絞られ売り上げが小さくなる
  • 一斉配信を増やすと一時的に売り上げは増えるが解除が増えたりと、長期で見るとレスポンスが低下する。そのため本来はもっと配信したいが、仕方なくメールの配信頻度を落としている

顧客エンゲージメントが下がるとはわかりつつも、一時的な売り上げを作るために、仕方なく全配信の乱発を止められずにいるのです。

ECでは業種にもよりますが、全配信メールの開封率は、5%~15%ほどと言われています。つまり、残りの9割近い顧客には、“見られもしないメール”をせっせと配信し続けているのです。これでは誰もハッピーになれません。

ECを立ち上げたばかりでCRMノウハウがない企業ならまだしも、中小企業や大手企業において、なぜいまだに理想的なCRMを実現できていないのでしょうか?

そもそも顧客にとって理想的なCRMとは?

CRMがうまくいかいない原因の前に、そもそもECにとっての、“あるべきCRMの理想的な姿”を考えてみましょう。

それは、「誰に(Right target)」「何を(Right message)」「いつ(Right timing)」「どうやって(Right channel)」伝えるか、この「4R」が最適化された状態です。必要なメッセージを必要なときに、必要な人に送る。実はとてもシンプルなことなのです。

  • 誰に:最適なターゲット(Right target)
  • 何を:最適なメッセージ(Right message)
  • いつ:最適なタイミング(Right timing)
  • どうやって:最適なチャネル(Right channel)

この「4R」の実現によって、顧客1人ひとりの購入履歴や頻度など行動にあわせたメッセージを届けられれば、顧客エンゲージメントの向上と、その先にある顧客との長期的な関係構築、LTVの向上を実現できます。

なぜCRMはうまくいかない?「自社ECのCRM問題」の本質とは?

私はEC事業コンサルタントの立場として過去にさまざまなECの現場を見てきただけでなく、実際にCRMツールの選定・導入から運用体制の構築まで携わってきました。その経験を踏まえ、ECにおけるCRMの推進には大きくわけて「3つの問題」が存在すると感じています。

CRMツールの導入に失敗する企業は、この「3つの問題」を知らずにシステムを導入するために、失敗してしまうのです。

1. ノウハウの問題

CRMツールは魔法の杖ではありません。ツールはただの箱であり、それをどう使うかはEC事業者次第です。課題を見つけ、仮設を立てて施策をプランニングし、それをシステムに実装したうえで結果をみて改善していく――。CRM施策におけるこの一連のPDCAを推進するノウハウがなければ、ツールを導入しても費用対効果に見合う活用はできません。コンサルタントとしてEC事業を見ていると、この失敗パターンが最も多い印象です。

2. 工数(時間)の問題

CRMのノウハウがあって実現できるシステム環境があっても、実行するための人員も時間も無い、では絵に描いた餅です。できるつもりで高機能なCRMツールを導入したものの、結局時間が無くて活用できていない、というケースも多いです。

BtoC-ECの場合は単価が低いビジネスモデルになっていることが多く、CRMに取り組んだ時間に対して費用対効果が合わないという事態が発生しやすくなります。理想を追うだけではなく、限られた時間の中で効果的に取り組むことが重要です。

3. 費用の問題

ノウハウも時間もない場合は、費用をかけて外部のコンサルタントや運用代行業者の力を借りなくてはいけません。

しかし、規模の小さなECではその費用をかけることが難しいケースもあります。そのため、費用対効果が合う範囲でベストな取り組みを実行することが重要になります。

アドブレイブが調査したBtoC-EC事業者が高機能なCRMツールを導入しても、費用対効果が見合いにくくなる理由
BtoC-EC事業者が高機能なCRMツールを導入しても、費用対効果が見合いにくくなる理由

◇   ◇   ◇

次回は、ノウハウも時間も予算もない企業が、効率的にCRMで効果を上げるための「自動化ツール」活用例を紹介します。

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中村 隆嗣

株式会社アドブレイブ 執行役員

2003年に北国からの贈り物へ入社。自社サイトの立ち上げから参画し月商3億円を超える成長まで導く。楽天/Yahoo!/Amazon/ぐるなびなど全店のマーケティング戦略責任者として各モールにおいて数々の賞を受賞。2014年株式会社メディックスに入社し、年商2500億規模の大手製薬会社や外資系アパレルブランドなど、メーカー直販ECの事業コンサルティングを手がける。コンサルティング先で多く見られたCRMの課題を解決すべく、2018年アクションリンクを立ち上げ、2019年アドブレイブに執行役員としてジョインし現在に至る。

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