ファンケル、coenも活用。顧客体験を高めるデジタル接客ツール「Repro」とは?【ECアプリ活用事例】
ユーザーの目的や状況に合わせ、コミュニケーションを実現
マーケティングツール「Repro」は、ネイティブアプリやウェブマーケティングの総合支援を行うRepro株式会社が提供するデジタル接客ツール。
有料のマーケティングツールとしては、国内トップシェアを誇る(日本マーケティングリサーチ機構が2019年に実施した調査)。ツールの提供に併せ、アプリやウェブマーケティングの戦略企画、コンサルティング、開発・リリース、ユーザーの定着や収益化など、導入企業のフェーズごとに最適なソリューションを提供する。
デジタル接客ツール「Repro」を導入することで、Web上やアプリ内でのユーザーの行動データや属性データ、あるいは店舗データなどをもとに、ユーザーの目的や状況に合わせたコミュニケーションを実現できる。
利用企業は、スタートアップから大手企業までさまざま。Repro社では、ユーザー数やサービス規模に応じて費用を設定している。
導入企業の業種は幅広いが、GMOペパボのハンドメイドマーケット「minne(ミンネ)」など、EC関連企業での導入が多い。
EC以外では、紳士服の青山商事、寿司チェーンのあきんどスシロー、ネット証券のSBI証券、求人サービスのリブセンスなど、幅広い業界で導入が進んでいる。
安定したシステムで、数億規模のプッシュ通知にも対応
「Repro」の機能面での強みは、ネイティブアプリ向けプッシュ通知機能の安定性だ。大規模ECサービスの場合、大掛かりなキャンペーン時、多くのユーザーにメッセージを一斉配信することがある。
即時性が重要になるプッシュ通知だが、他社サービスのなかには、遅延や配信までの工数がかり、数十万や数百万通規模の大量配信がスムーズに行えないケースもある。
一方、スマホアプリのツールベンダーとしてスタートしたRepro社は、大量配信を安定的に実施する能力に長けており、1日あたり合計数千万DAU(デイリーアクティブユーザー)に対応できるシステムを構築。そのため、1日に数億規模のプッシュ通知も可能だという。
こうしたシステム面での安定性が評価され、数百万DAUという大規模アプリにも導入されている。
「Repro」は管理画面で配信ボタンを押すだけで、すぐにプッシュ通知を配信することが可能。ユーザーへのリーチ力という点でメールの効果が頭打ちになりつつあるなか、より高いリーチが見込めるプッシュ通知を使うことで、顧客1人ひとりに最適なタイミングでコミュニケーションが図れる。
「マジックナンバー」を分析し、リテンションを支援
ユーザーの行動ごとに継続率を調べる「リテンション分析」を搭載。たとえば分析の結果、「商品を5回閲覧したユーザーの90%は、1週間後にECサイトを再訪する」ことが判明した場合、継続に寄与する行動であるマジックナンバーは「商品閲覧5回」であると分かる。
導入先であるダイエット記録アプリ「あすけん」のケースでは、マジックナンバーを分析した結果、最初に3、4回食事情報を登録してもうと、継続利用につながりやすいことが分かった。そこで、食事を記録していないユーザーをセグメントし、まずは写真1 枚であっても登録してもらうように推奨。
その後、登録が完了したユーザーに対して「お疲れ様でした!」といったコミュニケーションを図り、リテンションマーケティングに役立てている。
ファンケルのアクティブユーザー数、3倍に増加
「Repro」導入企業の1 社であるファンケルの場合、ポイントカードなど店舗ユーザー向けの「FANCLメンバーズアプリ」と、スマホでの買い物のための「FANCLお買い物アプリ」の2種類のアプリで「Repro」を利用している。
以前はキャンペーン情報などを、アプリを通じて一斉配信していたが、ユーザーの行動や属性に合わせたコミュニケーションを図る狙いから、それぞれのアプリに「Repro」を導入。導入後は、年代や性別などを掛け合わせたセグメント配信も可能になった。
その結果、アクティブユーザー数は、導入前に比べて約3倍に増加。売上面への影響も大きいという。
ファンケルは「Repro」を導入した決め手として、手厚いサポート体制をあげる。Repro社ではノウハウや実績を豊富に持つカスタマーサクセスチームが、導入前からサポートする体制を整えている。カスタマーサクセスは導入後も、企業が成果を出せるまで支援。必要な場合は、専門のマーケティングチームが分析から企画、運用まで担当するオプションサービスも用意している。
EC業界の競争が激化する中で、いかに顧客と長期的な関係を構築できるかは重要なポイントだ。その意味で、アプリは顧客との貴重なタッチポイント。ファンケルは、「Repro」を通じてプッシュ通知やポップアップといったアプリ経由のコミュニケーションを最適化し、顧客体験価値の向上を図っている。それがコンバージョン率やリピート率の向上、ひいてはLTVの改善につながるためだ。
カスタマーサクセスチームが成果改善まで手厚くサポートするRepro社の支援体制は、導入企業から高い評価を得ているという。多忙なEC担当者が、本来の業務に専念できるからだ。
「coen」、ポップアップ表示でCV数1.2倍
ファッションブランド「coen(コーエン)」はWebサイトの施策において、「Repro」を使うことで大幅な工数の削減につなげている。「coen」は、平均して1か月で商品を売り切るというタイムスパンで在庫を消化しているが、導入以前はサイト上にバナーを掲出したいと思っても、技術面や限られた掲載枠の確保が必要などの課題から、実施までに2〜3か月のリードタイムが必要だった。
「Repro」のWeb版を活用することで、それを1 ~ 2週間に大幅短縮。また、個々のページごとに施策を実施できるようにもなり、スピード感を失うことなく成果を出せるようになった。
その他、ランディングページ(LP)の直帰率が高いという課題があったが、「トップページへ戻る」ポップアップを表示することで、直帰率は前年比で10ポイント改善。また、以前からヘッダーに記載していた5000円以上で送料無料という通知を、改めてポップアップで表示したところ、CV数(カートへの商品追加数)が同123%改善した。
LP閲覧率1.2~1.3倍へ
ECにおいて、キャンペーン情報などを発信していても、ユーザーに届いていないことも多い。なぜなら、ユーザーは一度LPを見ても、忘れたり、興味を失ったりするからだ。そこでRepro社では、あるEC向けアプリで、興味を持ってもらった人に後追いでコミュニケーションする試みを実施した。
まず、メールやプッシュ通知でキャンペーンを告知。そのキャンペーンのLPを見たユーザーに対してリマインドのメッセージを配信する。さらに、そこで離脱したユーザーをセグメントし、再び「あと3日で終了です」などとリマインド。このような施策を実行するだけで、キャンペーン時のLP閲覧率が1.2 ~ 1.3倍に改善したという。
Repro社は、「たとえお得なキャンペーンを心待ちにしているユーザーであっても、キャンペーンを見落としていたり、忘れてしまったりすることが多々ある。キャンペーンなどを告知する際に、一度の発信だけで終わるのはもったいない」と指摘する。
少しでも興味を持った人には再度リマインドし、お得な情報であると伝えることが重要だ。その際、全ユーザーに同じキャンペーンをリマインドするのではなく、ユーザー行動に応じてセグメントし、適切にコミュニケーションすることがポイントになる。
※本稿は、ダウンロード資料「アプリを小売・ECビジネスに活用する方法は? ネイティブアプリ・ミニアプリの基礎から使い分けを解説」(2021年3月8日公開)に掲載された記事を再編集したものです。