ネットショップの収益を拡大する施策として、リピート客の育成が有効だといわれている。だが、何度も購入してくれる顧客を育成するために、継続的な関係性を構築することに苦戦しているネットショップが多いのが現状だ。サンプル利用客を本商品購入につなげる引き上げ率は300%、メール経由売上144%増といった通販企業を抱えるプラスアルファ・コンサルティングが、CRMによるリピート客の育成法を解説する。写真◎Lab

購入引上げ率300%、メール経由の売り上げを前年比144%アップした事例も

CRMによるリピート客の育成の事例を多く抱えるプラスアルファ・コンサルティング。その成功事例に、ある食品系通販企業が、定期購入商品の購入引き上げ率を300%までアップした事例がある。

リピート客を増やしている企業は、プラスアルファ・コンサルティングが提供するCRMシステム「カスタマーリングス」を導入している。ネットショップ担当者が抱えるリピート客育成といった課題を解決するために、コンサルティング業務で培ったノウハウを活用しているのが特徴だ。

その食品系通販企業のミッションは、トライアルのサンプル商品を割引価格で購入した顧客を、購入後1か月間で定期購入につなげていくこと。従来はサンプル購入者に対し、月2回のタイミングで同じ日に共通のキャンペーンメールを送っていた。しかし、「カスタマーリングス」導入後はステップメールを用意。購入者ごとにそれぞれ3日後、7日後、15日後といったタイミングで自動配信する運用を開始した。その結果、定期購入商品の購入引上げ率を300%までアップすることができた

もう1つが、アパレル系オンラインショップで、メール経由の売り上げを前年比144%アップさせた事例だ。従来はメールの抽出から配信を手作業で行い、配信タイミングも一斉配信が中心だった。特に、アパレルは全配信に頼る傾向が強い業界の1つで、たとえば、「Baby」「Kids」「Mens」「Ladys」などをセグメントを分けずに全配信してしまうことも多い。

「カスタマーリングス」導入後は、ユーザーの属性ごとにコンテンツを作ってセグメント配信を実施。バースデークーポンやカゴ落ちリマインドメールなどを自動化し、メール経由の売り上げを前年比144%に増やした。「カスタマーリングス」はこうした作業を、ネットショップの現場だけでスピーディに実行することができるのだ。

リピート顧客をいかに増やすかが最大の共通課題

通販・EC業界では近年、新規顧客の獲得よりもリピート客作りに重点を置いている企業が増えている。新規顧客の獲得競争による体力勝負を避けることは、販売管理費の抑制につなげることができる。

コストを抑えながら、既存顧客のリピート促進、顧客単価の引き上げなどが実現できれば、理想的なダイレクトマーケティングが展開できるようになる。だが、多くのネットショップがリピート顧客作りに苦戦しているのが現状だ。

リピート顧客を増やすためには「顧客の購買タイミングにあわせたアップセル」「顧客の購買傾向や思考に合わせたクロスセル」「顧客が離れる前に確実に継続」「重要な顧客は特別扱いして売上UP」など、さまざまな施策が考えられるが、それを継続して実行していくことは難しい。

多くのネットショップでは、既存顧客に対して行う販促アクションのほとんどがメールマガジンの一斉配信にとどまっている。顧客をセグメントし、顧客ランクに合わせたマーケティングを行うといった有効な施策を打っているのはごくわずかだ。

ネットショップは、新規顧客による売り上げを伸ばそうとすると広告を打たなければならないため、プロモーションコストが増大し、収益を圧迫してしまう。既存顧客を優良なリピート顧客に育てていくことが効果的な売上アップにつながる。

このように優良顧客の育成について話すのは、プラスアルファ・コンサルティングの取締役カスタマーリングス事業部長・鈴村賢治氏。

鈴村氏はCRMを軸にEC企業のコンサルティングを展開しているなか、ネットショップの現場におけるユーザ部門は、さまざまな施策をスピーディーに行いたいという意向があるのだが、実際はシステムがボトルネックとなっているため、実施できていないことを痛感。幅広いコンサルティング経験をもとに開発したCRMシステム「カスタマーリングス」を提供している。鈴村氏がネットショップの現場における効果的なCRMを実践するための課題、その解決策について解説した。

プラスアルファ・コンサルティングの鈴村賢治氏
株式会社プラスアルファ・コンサルティング
取締役
カスタマーリングス事業部長
鈴村賢治氏

システム連係がボトルネックになりCRMが実践できていない

ネットショップは最も顧客データが蓄積されている業態である。だが、会員データ、購買データ、アクセスデータなどがそろっているにも関わらず、顧客分析に手が回っていないEC企業が多い。ダイレクトマーケティングにおいても「顧客を知らずにCRMはなし」という前提がある。しかし、顧客分析を行うことなく、ネットショップ担当者やオーナーの経験と勘でプロモーションの施策を実行するEC企業がほとんどだろう。

この原因について鈴村氏は、「残念ながらこれまでのCRMシステムが意外に大きなボトルネックになっている」と指摘する。

CRMツールは、顧客データを管理する基幹システム、ECのカートシステム、メール配信システム、顧客分析のためのデータマイニング、BI(Business Intelligence)ツールなど、多種多様なシステム・ツールが提供されている。多くのネットショップでは何かしらのツールを導入しているだろう。CRMを効果的に行うために必要になるのが、こうしたツール同士の連係だ。しかし、肝心なツール同士の連係がうまくいっていないためにCRMを実践できていないケースが多い。

たとえば、顧客データからある条件の“お客さま”を選別してクーポンメールを送る場合、対象顧客を基幹システムからデータをCSV形式で抜き出し、それをメール配信システムに手作業で取り込んでから送る。規模に関わらずほとんどのEC会社がこうした運用をしている。基幹システムからデータを抜くことすらネットショップの担当者は許されていないケースがあり、その場合は情報システム部に依頼するため、時間がかかってしまうことも多い。

多くのネットショップ担当者は、さまざまなプロモーション施策のアイデアを持っているだろう。だが、その施策を実現するには、システムを介した煩雑な作業が必要になるケースがほとんど。その原因は、顧客データを保存するもの、データを分析するもの、メールを配信するシステムなどがそれぞれ独立していることだ

たとえば、過去に配信したメールに対し、何かしらのアクションを起こしたが購買に至っていない顧客層にメールを送る場合、データ抽出からメール配信までに多数のシステム間で作業をする必要が出てしまう。

つまり、CRMを実践するためのシステムが統一されていないため、さまざまな作業を抱えながらCRMを行うことになり、ネットショップ担当者の大きな負担になってしまう。結局は継続できないといった悪循環を生んでしまうケースが多いのだ。

「カスタマーリングス」は、購買データやメールの反応などを取り込み、すべて顧客データに紐付いた形式で管理する。データマイニングの機能がついているため、このツールだけでRFM分析やABC分析などさまざまな分析が行えるようになる。

分析結果をもとに特定の顧客層にメール配信する場合も、メール配信システムを内蔵しているため、いちいち顧客リストを抽出してセットすることなく、システムから直接送信することが可能だ。

メール以外のDMやキャンペーンといったアクション関連のデータも統合管理できるため、CRMに関した統合データベースのプラットフォームとして利用することができる。

CRMを実践するために必要な複数チャネルの統合などの図
「カスタマーリングス」と連携することで、自社データから生み出したセグメントを生かしたさまざまなアクションが可能になる

マーケティングのPDCAを「カスタマーリングス」で回す

鈴村氏はこうした事例から、ネットショップがCRM戦略を進めるうえで重要となる2つのポイントを導き出した。

1つ目が、さまざまなマーケティング施策を顧客に合わせたシナリオとして構築し、オートメーション化すること。そこで単純作業から脱却し、2つ目の“顧客の見える化”に時間を割くことが重要だと語った。販売動向や顧客のレスポンスを可視化することで、施策に対しての評価を行い、次のアイデアを生み出す重要性をあげた

マーケティングをオートメーション化するためには、データの統合とセグメンテーションが必要となる。従来は、SQLなどのデータベース知識が必要なこと、顧客データと購買データの紐付けが難しいこと、容易にデータをセグメントする手段がないことなどがハードルになっていた。

「カスタマーリングス」ではデータの取り込み、統合からセグメントまでを一貫して行う仕組みを構築。行動履歴、購入履歴、嗜好・プロファイリングなどで顧客データを自由で直感的にセグメントできるようにしている。

マルチデバイスに対応し、ユーザーエージェントによって端末を判別、アクセスしてきたデバイスに合わせたメールを送付できる。顧客属性ごとに最適なシナリオの構築とオートメーションの仕組みでは、キャンペーンの定期メールは購入ステップに合わせて配信したり、「カゴ落ち」した顧客に対して3日後にメールを送るといったシナリオも作成し、それを自動化できる。

2番目の課題としてあげた、顧客の見える化を実現する分析機能も重要になる。「カスタマーリングス」はメルマガから、どの商品がどれくらい売れているかといった検証も担当者レベルで測定することが可能。開封数、URLクリック数、コンバージョン数などを、個別のアクセス解析ツールと連携せずに分析することができる。HTMLメールのクリエイティブ評価、シナリオを最適化するためのA/Bテスト自動最適化機能もある。

現場レベルで簡単に分析レポートを作る機能もある。継続率分析という仕組みで、特定顧客の初回購入月とその後のリピート数を分析し、集客施策や広告の費用対効果を測ることができる。こうしたデータをダッシュボードに入れておくと、ボタン1つで毎日更新されるグラフィカルなレポートを確認できるようになる。

現場の方々は商品に強い思い入れがある。その人たちがしっかりと顧客像を見ることができるようになれば、さまざまな新しいアイデアが出てくる。データ抽出やメール配信、データ集計などの単純作業から脱却し、よりクリエイティブな業務へ限られたリソースを移すことがECで収益を上げる秘訣だ

鈴村氏は、「今後はカスタマーリングスで作成したセグメント情報を、印刷物やDMP、スマートフォンアプリ、SNSなどと連携し、さまざまなマーケティング施策をスピーディに実施するためのプラットフォームとして進化させたい」と、今後の展望を語った。

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