ヤフーが「PayPayモール」「Yahoo!ショッピング」を一本化する理由とその背景
ヤフーは結局、「PayPayモール」と「Yahoo!ショッピング」を一本化するらしい――。
EC業界でこんな声が広まったのは6月後半のこと。出店者の間では、「消費者から見ると、買い物の場が『Yahoo!ショッピング』『PayPayモール』の2つにわかれていたため、わかりにくかったのではないのか」「集客も2分してしまったのでは」「ヤフー側のリソースも分散してしていたのだろう」といった一本化の理由を探る声があがっていた。
こうしたなか、ヤフーは10月中に「PayPayモール」「Yahoo!ショッピング」を統合すると7月6日に公表。ECモール運営を新生「Yahoo!ショッピング」に一本化するとした。
複数の「PayPayモール」出店者によると、6月後半にヤフーのECコンサルタントから一本化に関する電話案内があり、「優良ストア」の新たな基準を設けて優遇する旨の説明を受けたという。
「PayPayモール」は、「Yahoo!ショッピング」上位の優良店、上場企業や一定の年商規模がある大企業が出店できるといった基準を設けていた。一本化後の「Yahoo!ショッピング」で新たに設ける基準では、「優良ストア」を優遇する措置を設ける。
ヤフーによると、「優良ストア」を検索結果の一覧にアイコンで掲出・訴求。新生「Yahoo!ショッピング」のトップページなどからも誘導を強化するとしている。
一方、ヤフーのEC担当者から説明を受けた「PayPayモール」出店者は、「『PayPayモール』出店者は新たな基準を設けた『優良ストア』に移行するのではないか」「『PayPayモール』出店料としてプラス3%かかっていたPRオプション料率をなくす、もしくは優遇措置を得たい場合は3%を選ぶことができるようになるのではないか」と話している。
ヤフーによると、一部のユーザーからデザインや機能、キャンペーンやコンセプトの違いがわかりにくいといった意見があったという。また、Zホールディングスグループ各サービスからの送客が分散してしまうといった課題もあり、一本化に踏み切ることにした。
なお、一本化後の新生モールの名称を、Zホールディングスグループで力を入れる「PayPay」を冠しない「Yahoo!ショッピング」にしたのは、認知度の高さ、日本における「Yahoo! JAPAN」ブランドの商標権を取得して柔軟なブランド展開ができるようになったことをあげている。
新生「Yahoo!ショッピング」は、既存の「Yahoo!ショッピング」と同様、初期費用、月額利用料、売上ロイヤルティは無料。
また、注文の当日から翌々日までに商品を配送する「優良配送」も強化する。8月下旬から、「Yahoo!ショッピング」「PayPayモール」の検索結果画面、レコメンド枠で「優良配送」対応商品を優先的に表示する取り組みをスタート。この取り組みは新生「Yahoo!ショッピング」でも展開していくとみられる。