「推し企業の商品は値上げしても買い続ける」は約5割。20%以上の値上げを許容は約3割【推し活消費調査】

推しの企業やブランドがある層は全体の約3割。愛着や購買意欲につながる行動は「商品・サービスの限定/先行情報」「企業の中の人との交流」「ファン同士の交流」と回答する人が一定数見られた

大嶋 喜子[執筆]

7:00

Asobicaが実施した「企業やブランドに対する『推し消費』」に関する調査によると、推しの企業やブランドが「ある」のは全体の35.0%で、推し企業あり層の約5割が「物価高でも推し企業・ブランドの商品を買い続ける」と回答した。また、推し企業がある人は約3割が「20%以上」の値上げを許容している。

調査対象は全国15〜59歳の男女1035人で、調査時期は2025年10月17~22日。

「推し企業」がある人は約3分の1

推しの企業やブランドがあるかを聞いたところ、「はい」が35.0%だった。Asobicaは「『推し』という言葉や行為が明文化されたことで、『推し』の対象と自認し、その好意が企業やブランドにも向かっている」と解説している。

推しの企業やブランドがあるか
推しの企業やブランドがあるか

年齢別に見ると、特にZ世代(15〜29歳)で「推し企業」を持つ傾向が顕著になっている。「推し企業」がある人は、男性20代以下では50.4%、女性20代以下で49.8%だった。

Asobicaは「SNSで情報を追い、グッズを購入し、良さを発信・共有するという『推す』行為が、Z世代にとって非常に身近で日常的な行動になっている。熱量の向け先が従来のエンタメコンテンツだけでなく、共感できる理念を持つ企業や世界観が好きなブランドにも自然と広がっている」と推測している。

推しの企業やブランドの有無(年代別)
推しの企業やブランドの有無(年代別)

推し企業あり層は「価格が高くても購入」

物価高騰を受けて消費行動に変化があったかを聞いたところ、推し企業がある人は「節約を意識するようになった」が最も多い37.0%、(推し企業がない人は同36.5%)、続いて「節約・ポイントを積極的に活用するようになった」が28.8%(同28.4%)だった。

「消費にメリハリをつけるようになった」(推し企業がある人は17.7%、推し企業がない人は13.0%)と、「消費が増えた」(推し企業がある人は8.0%、推し企業がない人は3.8%)と回答した人を「推し」の有無で比較すると、「推し企業あり層」は「推し企業なし層」の1.5倍となっている。

Asobicaは「推し企業あり層は本当に欲しいものであれば価格が高くても購入する傾向がある」と推察している。

物価高騰を受けた消費行動の変化(推し企業の有無別)
物価高騰を受けた消費行動の変化(推し企業の有無別)

推しあり層は値上げされても買い続ける人が半数

推し企業あり層に対して、販売商品価格が値上げされたとしても推している企業・ブランドの商品を買い続けるかを聞いたところ、「価格に関わらず買い続ける」が28.9%、「他の支出を減らしてでも買い続ける」が20.2%で、合計すると約5割が「買い続ける」意向であることがわかった。最も多い回答は「購入頻度や量を減らす」で43.0%だった。

Asobicaは「物価高で消費が冷え込む中でも、推し企業がある層は購買行動を継続する傾向が強く、消費活性のドライバーとなりうる」と見ている。

販売商品価格が値上げされた場合の消費行動(複数回答可)
販売商品価格が値上げされた場合の消費行動(複数回答可)

推し企業あり層の約3割が「20%以上」の値上げを許容

推し企業あり層に対して「推している企業・ブランドの商品が値上げした場合、どの程度の値上げまで許容できるか」を聞いたところ、全体では約3割が20%以上の値上げを許容すると回答していることがわかった。

Z世代だけで見ると、20%以上の値上げにも「許容する」と回答する層が36.5%となっており、全体の平均と比べて高かった。

全体で最も多かった回答は「10%値上げ」で37.0%だった。これに続き、「5%値上げ」が31.0%だった。Z世代だけで見た場合でも「10%値上げ」が最も多く34.2%、続いて「5%値上げ」が29.3%だった。

Asobicaは「推し企業あり層は、値上げが企業やブランドの継続やより良い体験の創出につながると理解していると同時に、利用することで自分の気分が上がる体験的価値の維持・向上のためならコスト増を許容する傾向にある。Z世代は、お布施や貢献など熱狂的な消費意識が強い」と推察している。

推している企業・ブランドの商品が値上げした場合、許容する範囲
推している企業・ブランドの商品が値上げした場合、許容する範囲

限定・先行情報や、人との交流で購買意欲を向上

推し企業あり層に、企業への愛着・購買意欲向上につながった経験を聞いたところ、「商品・サービスの限定/先行情報」が27.9%、「企業の中の人との交流」が11.6%、「ファン同士のオンライン/オフラインでの交流」が10.6%だった。

企業への愛着・購買意欲向上につながった経験(複数回答可)
企業への愛着・購買意欲向上につながった経験(複数回答可)

コミュニティ・イベント参加者は8割が愛着・購買頻度アップ

「企業主催のコミュニティやイベントに参加したことがある」と回答した推し企業あり層に、コミュニティやイベント参加を通じて愛着・購買行動に変化があったかを聞いたところ、「ポジティブな変化あり」が82.3%だった。

具体的な行動は「購入頻度が増えた」が最多の29.5%、「推奨行動(口コミ)が増えた」が28.5%、「買ったことない商品を買うようになった」が28.1%。

Asobicaは「企業からの能動的なアプローチを通じた企業との相互コミュニケーションは、「推し企業」を持つ層の愛着を実際の購買行動に結びつける上で、極めて効果的」と解説している。

コミュニティやイベント参加を通じた愛着・購買行動の変化(左)、行動変容(右:複数回答可)
コミュニティやイベント参加を通じた愛着・購買行動の変化(左)、行動変容(右:複数回答可)

調査概要

  • 調査時期:2025年10月17~22日
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査対象:全国15〜59歳の男女1035人
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