シニア向け通販などのハルメクホールディングスが実施した「贈り物に関する意識・実態調査」によると、シニアの86.0%がデジタルギフトについて「認知または経験がある」と回答した。贈った経験があるデジタルギフトは「LINEギフト」が最も多く、次いで「Amazonギフト券」だった。
調査対象は、ハルメクの読者モニター「ハルトモ」の50~87歳の女性579人。調査期間は2025年10月15~20日。
直近1年間に贈り物をしているシニアは97%
直近1年間の贈り物経験・贈り物の種類を聞いたところ、「誕生日プレゼント」が最多で70.8%、続いて「旅行・帰省のお土産」が58.5%、「訪問時の手土産」と「おすそ分け」がそれぞれ48.5%だった。また、「直近1年間ではひとつも(贈り物を)贈っていない」は2.2%。97.8%がなんらかの贈り物をしていることがわかった。
贈り物にかける金額は大きな変化なし
3年前と比較した際の贈り物全般にかけるお金について聞いたところ、「以前と変わらない」が最多で45.4%、続いて「減っている」が29.5%、「増えている」が25.0%だった。
年代別に見ると、「増えている」人は70代以上が最も多く27.2%だった。「増えている」は60代で24.8%、50代で22.5%で続いた。「減っている」は50代が最も多く31.4%だった。
贈り物全般にかけるお金が増えた理由の最多が「物の値段が上がっているから」で72.4%。次いで「贈り物をする相手の数が増えているから」が26.9%だった。
減った理由の最多は「贈り物をする相手の数が減っているから」で67.3%だった。これに次いで「虚礼だと思う贈り物をやめたから」が33.9%だった。
3年前と比較して、ほしい贈り物が変わったと思うかを聞いたところ、41.3%が「変わったと思う」と回答した。年代別に見ると、「変わったと思う」と回答した人が最も多かったのは70代以上で、48.7%。これに続いて、50代が45.1%だった。65~69歳で「変わったと思う」は40.6%、60~64歳では31.5%だった。
贈り物に対する考え方の変化を聞いたところ、「『LINE』ギフトなど、選ぶのも送るのも簡単な物になった」「物がほしいと思わなくなった。本当にほしい物なら自分で買う」「モノでなく経験に使える飲食チケット、旅行チケット、スタバチケットなどがうれしい」といったコメントが見られたという。
デジタルギフトは86%が認知
デジタルギフトの認知・経験について聞いたところ、「そもそもデジタルギフトを知らなかった」と回答した割合は14.0%で、全体の86.0%が認知または経験がある。認知または経験がある割合が最も高かったのは50代だった。
デジタルギフトを認知している人のなかで、「贈ったことも、もらったこともある」は23.9%、「贈ったことはある」は3.2%、「もらったことはある」は33.5%で、合計すると贈答経験がある人は60.6%だった。
贈ったことのあるデジタルギフトは、最多が「LINEギフト」で52.6%、続いて「Amazonギフト券」が29.6%、「PayPayポイントコード」が14.8%。もらったことがあるデジタルギフトは最多が「Amazonギフト券」で51.7%、続いて「LINEギフト」が38.8%、「QUOカード」が22.0%だった。
デジタルギフトの主な用途は「誕生日」「ちょっとしたお礼・お返し」
デジタルギフトの用途を聞いたところ、「贈った」「もらった」どちらも最多は「誕生日プレゼント」で、「頂き物やお世話になった際のお返し」が続いた。また、「母の日にもらった」も11.9%と比較的多かった。
デジタルギフト、シニアは「贈りたくない」が上回る
デジタルギフトの今後の利用意向を聞いたところ、「贈りたい」「まあ贈りたい」が合計で26.8%、「贈りたくない」「あまり贈りたくない」が合計37.6%、贈りたくない人の割合が贈りたい人を10.8ポイント上回った。年代別に見ると、「贈りたい」「まあ贈りたい」人の合計が最も多いのは50代で、49%だった。
贈られる意向を聞いたところ、「贈られたい」「まあ贈られたい」が合計39.0%、「贈られたくない」「あまり贈られたくない」が30.6%。年代別に見ると、「贈られたい」「まあ贈られたい」人の合計が最も多いのは50代で、60.8%だった。
デジタルギフトを贈りたい理由は、「少額のものもあるので贈るほうも贈られるほうも負担がない」「相手に気を遣わせないようなちょっとしたプレゼントとして贈りたい」といった声があがった。
調査結果を踏まえ、ハルメク 生きかた上手研究所 所長の梅津順江氏は次のように解説している。
贈り物をしている人は97.8%と依然として高い水準だが、その中身は変化している。興味深いのは、儀礼的ギフトの機会や贈る人数は減っているのに、年間予算はほぼ変わらないこと。1人当たりの贈り物は高単価化している可能性がある。また、受け取る側のニーズも変化しており、「チケットなどの体験系・消えるものが良い」という声が多い。こうした潮流の先に浮かび上がるのがデジタルギフトで、認知率は約9割。形式的な贈り物が縮小する一方で、デジタルギフトはシニア世代にとって関係性を軽やかに保つ“新しい心遣い”の形として浸透していくポテンシャルを秘めている。(梅津氏)
調査概要
- 調査方法:郵送での質問用紙配布アンケート
- 調査対象:全国50~87歳 579人
- 調査期間:2025年10月15日~20日
- この記事のキーワード