味の素AGFがスティックドリンクのD2C定期便を開始。ドリンクの定期便サービスによる“休憩パーソナライズ”とは?

味の素AGFがD2C事業を本格化させている。D2C専用オンラインストア「AGF MALL」を4月にオープン。第1弾商品としてパーソナライズドリンクセットの定期便「ココロヒトイキ」をリリースした。
独自の「COE(声)モデル」でD2Cを展開
味の素AGFは、コーヒー飲料「ブレンディ」などの飲食料品を展開する食品メーカー。1954年に味の素と米・ゼネラルフーヅとの合弁会社として設立後、2015年10月に味の素の完全子会社へ。2017年に現社名へと変更した。

味の素AGFのD2C事業は、独自の「COE(声)モデル」で展開する。「COE(声)モデル」は、味の素AGFが重要視する要素である「1人ひとり(One to one)のユーザーのココロ(Cocoro)に寄り添うことで、味の素AGFとユーザーの間につながり(縁=En)を育んでいく」の頭文字から名付けた味の素AGF流のD2Cサービスの総称。
商品だけでなく、デジタルを活用したコミュニケーションなどの体験をユーザーに提供し、小さな声にも耳を傾けさまざまな商品を開発。D2C事業の核となる「AGFMALL」は、「あなたの気持ちに寄り添うサービスで、こころに新たなゆとりを」をコンセプトに、顧客ごとの体験を届けていくという。

「COE(声)モデル」の第1弾として、テレワーカー向けのパーソナライズドリンクセットの定期便「ココロヒトイキ」を本格スタート。多様化する働き方のなかで、テレワーク中の仕事と休憩のオン・オフの切り替えに課題があることに着目した。
ドリンク定期便+アプリでのコミュニケーションによる“休憩パーソナライズ”を提供
「ココロヒトイキ」は、スティックドリンクのサブスクに、アプリを活用した休憩提案・コミュニケーションを提供するテレワーカー向け“休憩パーソナライズ”サービス。「ユーザーのなりたい気持ちでドリンクを選ぶ」という新しい嗜好体験を通じて、仕事と休憩、気持ちのリズムを整えるドリンクセットを定期便で届ける。
利用方法は、サービスページから働き方アンケートに回答して、嗜好性と働いている際になりたい気持ちを診断。診断結果に基づき、ユーザーに合わせた初回セットが郵送される流れだ。
「なりたい気持ち」は以下の4つに分類した。
- 気持ちを引き締めたい時「UEMUKI(ウエムキ)」
- 気持ちをスッキリさせたい時「SUKKIRI(スッキリ)」
- 気持ちをゆるめたい時「FUU(ふぅ)」
- もうひと頑張りしたい時「GOHOUBI(ゴホウビ)」

1回につきスティックドリンク7種類を3本ずつの計21本、上記4つの分類に合わせて届く。4分類のいずれの商品も必ず含まれる。スティックドリンクは30種類以上のなかから選ばれ、「ココロヒトイキ」限定のフレーバーも数種類含まれているという。価格は2160円(税込・送料別)で、配送頻度は15日に1回または30日に1回から選べる。

専用ページから「ドリンクで休憩できたか」「ドリンクの味は好みに合っていたか」などいくつかの質問に回答し、届いたドリンクの好みや飲んだときの気持ちをフィードバックすることで、2回目以降のセット内容がパーソナライズされていく。また、LINEと連携しユーザー側で設定をすると、休憩を取りたいタイミングに通知が届くといった仕掛けも用意した。
そのほか、「気持ちの動き」と「休憩の関係」を定期レポートで見える化する。記録を重ねることでフィードバックの内容が反映され、ドリンクセットのパーソナライズとあわせて、働いているときの気持ちのリズムを振り返ることができるという。

パーソナライズドリンクセットを展開するにあたり、味の素AGFならではの強みとして、スティックドリンクのSKU数の多さがあるという。今回の取り組みで、認知度が低い商品の認知を高める狙いもある。また診断など独自の仕掛けを用意することにより、LTVの向上を図る。
ドリンクをなりたい気持ちで選んでいただき、記録を続けて、気持ちの振り返りをしていただくことが、嗜好飲料に対する新しい体験だと思っている。そこに一番価値を感じてもらいたい。(竹川氏)
リモートワーカーの休憩の課題に着目し、サービスを開発
「ココロヒトイキ」の開発は、在宅勤務が普及するなかで「リモートワーカーはオン・オフの切り替えを上手く行えているのか?」という疑問からスタートしたという。味の素AGFが実施したアンケート調査によると、休憩が必要だと考えていても、4割の人が昼以外の休憩をきちんと取れていないことがわかった。
「ココロヒトイキ」はコロナ禍をきっかけに働き方が変化したなかで、自宅で働くワーカーに対する新しいサービスとして着手した。休憩を積極的に採り入れることで、心の健康への貢献、生産性向上に寄与するサービスとなっている。
味の素AGF社内の組織横断型で、一般社員から役職者まで交えたプロジェクトとして開発は進められた。プロジェクトを通じて、上手に休憩を取ることが重要だと考える世界の実現をめざすという。
SNS広告やリアルイベントなどで認知拡大へ
今後の展望は、「認知向上に向けたSNS広告、オフラインでのリアルイベントへの出店、直に生活者の声を聞きながらサービス改善に生かしていきたい」(竹川氏)と言う。
また、サービス運営を通じてユーザーの声を聞きながら、ポイント機能や他社とのコラボレーションなどを検討し、機能のアップデートにも意欲を示している。