マーケ担当1085人に聞いた「広告の目的と成果」。約9割が「認知広告は評価が難しい」、8割以上が「ミドルファネル施策は重要」と回答

マーケティング支援を手がけるMacbee Planetは10月30日、全国の大企業および中小企業でマーケティング業務に携わる担当者1085人を対象に「広告の目的と成果に関する実態調査」を実施し、その結果を公表した。
約9割が「認知広告は評価が難しい」と回答し、「認知=成果」という従来の考え方に疑問を抱く傾向が高まっている。一方、出稿目的では依然として「認知重視」が多数派(大企業63.5%/中小57.7%)で、認知の重要性を認めながらも成果測定に課題を抱える構造的ギャップが浮き彫りになっている。
また、8割以上が「ミドルファネル施策は重要」と回答、認知と獲得の両立を担う新たな選択肢として注目が集まっている。ミドルファネル施策への投資意向も6割超が「増やしたい」と回答しており、今後の広告戦略での重点領域化が進みそうだ。
認知広告の成果
広告出稿の主目的を聞いたところ、大企業では「商品・サービスの認知向上」(57.9%)が最多で、「企業認知・イメージ形成」(54.4%)が続いた。大企業では「認知重視」の傾向が明確だった。

一方、中小企業では「商品・サービスの認知向上」(53.4%)に次いで、「見込み客の獲得・育成」(40.5%)が2位に。より行動成果に直結する目的志向が強い結果となった。
「認知目的の広告は成果につながるか」という質問に対して、大企業で85.6%、中小企業で88.2%が「そう思う」(「非常にそう思う」「ややそう思う」の合算)と答えた。

認知の有効性を一定程度評価する一方で、「認知広告は評価が難しい」と回答した割合は大企業と中小企業とも約9割に達し、効果を感じながらも測定しにくいという矛盾が見られた。

ブランディング広告の成果
ブランディング広告の成果を測定する指標は、大企業で「(企業・商品・サービスの)認知度」(54.8%)や「広告認知率・想起率」(40.3%)など、調査ベースの定性指標が上位を占めた。

中小企業では「認知度」(47.5%)が最も多いものの、「店頭・Webサイトへの来訪数」(39.2%)や「購入・契約数」(32.6%)など、行動データを重視する傾向が目立った。
成果の定義についても、大企業は「好意度」(29.5%)や「認知率向上」(24.1%)を重視するのに対し、中小企業では「来訪」(25.8%)や「購入」(19.9%)が上位になった。ブランド好意と実利成果という二層構造が明らかになった。

「ミドルファネル施策」に高まる注目
比較サイト、オウンドメディア、SNS口コミなど「ミドルファネル施策」をどの程度重要視するか聞いたところ、大企業は81.0%、中小企業は78.1%が「重要」(「非常に重要」「ある程度重要」の合算)と回答した。

ミドルファネルとは、商品やサービスに興味を持った顧客が、購入に向けて他社製品と比較・検討する段階を指す。
そのなかでも「比較サイトやレビューサイト」(大企業53.7%/中小50.8%)が最も有効とされ、次いで「オウンドメディア」「SNSでの口コミ・動画投稿」「AI概要(検索結果上部のAI要約)」など、ユーザーの検討行動を支援する施策が上位にあがった。

また、「ミドルファネル施策は認知と獲得の両方の成果を得やすいと思うか」という質問に対して、大企業は78.1%、中小企業は76.4%が「そう思う」と回答。ファネル分断を超える広告設計への期待が広がっている。

今後の投資意向では、「増やしたい」と回答した割合が大企業で59.4%、中小企業は61.2%。広告の「中間領域」への注力が示唆された。

調査の結果からは、認知・ブランディングを主目的とする広告と、成果を主目的とする広告に対する企業側の志向、そしてミドルファネルへの期待が見て取れて、興味深いと感じた。ただ、広告業界の常識では、認知・ブランディングそして獲得フェーズ、さらにミドルファネル、そのどれもが重要。最も必要なのは、それらの「統合」だと考えられている。特に中長期的な繁栄を考えると、統合型マーケティングソリューションの視点は欠かせない。(多摩美術大学 佐藤 達郎 教授)
多摩美術大学 佐藤 達郎 教授 
調査概要
- 調査名:「広告の“目的と成果”に関する実態調査」
- 調査方法:IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー」の企画によるインターネット調査
- 調査期間:2025年9月19〜30日
- 有効回答数:企業でマーケティング業務に従事する担当者1085人(大企業542人/中小企業543人)
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