稲留 万希子 2015/6/18 10:00

今月からいよいよ「機能性表示食品」の販売が始まりました。キューピーは6月12日から「ヒアロモイスチャー240」を通販で展開し始めており、今後もキリングループの「パーフェクトフリー」が6月16日、ファンケルの「えんきん」と「健脂サポート」が6月19日に販売が開始になるなど、今後続々と機能性表示食品の販売が開始される予定です。今回は、こうした機能性表示食品における広告表示についてご紹介したいと思います。

よほどことを標榜しない限り薬機法は関係ない

機能性表示食品は届出が受理されて60日後から商品の販売が可能となります。とはいえ、広告も60日後からということではなく、届出が受理され届出番号が発行された時点で販促活動を開始することは差し支えないとされています。実際web上で未発売の機能性表示食品の広告を確認することができます。

ただ、全く新しい食品制度という事になり、広告としてのガイドラインといったものが出ているわけではないので、まわりの状況を見つつ手探り…というところもあるのではないでしょうか。現状、活発な広告展開がされている…とは言えません。

そんな昨今、セミナーなどにおいて機能性表示食品の広告の範囲についてご質問をいただく事が多くなりました。特に体験談の使用について、どこまでならば使えるのかといった内容が目立ちます。今回は、そんな機能性表示食品における広告の捉え方、体験談の考え方について解説致します。

まず、今回の機能性表示食品と広告との関係において、おさえておきたいポイントがあります。それは、「機能性食品は原則として、通常人が医薬品としての目的を有するものであると認識しないもの」であるということです。

今まで、厚生省薬務局長通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(通称、46通知)の別紙「医薬品の範囲に関する基準」の中で、

  1. 野菜、果物、調理品等その外観、形状等から明らかに食品と認識される物※
  2. 健康増進法(平成14年法律第103号)第26条の規定に基づき許可を受けた表示内容を表示する特別用途食品※※

※“明らかに食品と認識される物”を「明らか食品」と称します。
※※特別用途食品とは、乳児用、幼児用、妊産婦用、病者用等特別の用途に適する食品を指し、国の許可が必要となる食品群のこと。特に、特別用途食品(トクホ)は、特別用途食品制度と保健機能食品制度の両制度に位置づけられています。

が、原則として、通常人が医薬品としての目的を有するものであると認識しないものと判断して差し支えないものとされてきました。

簡単に言うと、明らか食品と特別用途食品においては、医薬品的な事(いわゆる製品や成分が持つ機能性・関与性のこと。ただし疾病に関するものは除く)を述べたとしても、薬機法は関係がない(無承認無許可医薬品とはみなされない)という事です。

今回、機能性表示食品制度が始まり、元来薬機法に抵触するとして標榜できなかった範囲(例えば、身体の部位も含めた健康維持・増進に関する表現)について言及できることになったことから、新たに機能性表示食品が3つ目として

3 食品表示法(平成25年法律第70号)第4条第1項の規定に基づき制定された食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第2条第1項第10号の規定に基づき届け出た表示内容を表示する機能性表示食品

が加えられることになりました。

よって機能性表示食品は、疾病に関する事などよほどのことを標ぼうしない限り、“そもそも薬機法は関係が無い”という位置付けとになったのです。

事実に基づいた体験談であれば使用可

かといって、機能性表示食品として届出を行い届出が受理されれば、広告で好き勝手に述べて良いということではありません。薬機法は関係無いとしても、今まで通り健康増進法と景品表示法は範疇となりますので、仮に食品の機能性について、届出の範囲を超えた根拠の無いことを述べたり、内容を捏造したりする等の虚偽・誇大な表示を行ってしまう場合には、景品表示法・健康増進法違反にとわれるということになります。

ということを踏まえれば、体験談の考え方についても見当がつきます。

体験談が使用できないということは一切無く、機能性表示食品として届け出た、合理的根拠を有する機能性についての範囲内の表現に留まる、事実に基づいた体験談であれば可、ということです。

もちろん、誤解を生じさせないということから

  • 体験談を捏造することはできない。
  • 不評が大部分を占めているのにも関わらず、自社にとって都合の良い体験談のみを使用することで、あたかも好評であるかのような誤解を与えることはできない。

といったことも、頭に入れておきましょう。

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