中川 昌俊 2015/12/17 8:00

中国のモバイル特化型越境ECアプリ「小紅書(RED)」はEC事業を開始して半年で売り上げが約133億円に拡大している。可処分所得が高く、国際感覚を持った高感度な中国女性ユーザーに支持されているという。コミュニティーユーザー数は1500万人。「@コスメ」を運営するアイスタイルやパナソニックとも戦略的提携を行っている。中国向け越境ECを手がける企業では重要度が増すと考えられる「小紅書(RED)」のサービスを紹介する。

毎日3万件以上の商品レビューが投稿されるプラットフォーム

モバイル特化型の越境ECアプリ「小紅書(RED)」は現在、1500万人以上の中国人ユーザーがダウンロードしている。中国における無料アプリランキングでは第4位、ライフスタイルアプリランキングでは「タオバオ」のアプリに次いで第2位のダウンロード数を誇る。

1500万人のユーザーのうち大半は若年女性。30歳以下の女性の割合は82%、25歳以下に限ると50%のユーザーが該当するという。

「小紅書(RED)」が行ったペルソナ調査では、国際的な視野を有し、好きなモノにはお金を使うというユーザー像という。ユーザーによるアプリの利用頻度は高く、1ユーザー当たりの月間平均アプリ使用回数は52回、月間平均使用時間は130分を超えるという。

中国のモバイル特化型越境ECアプリ「小紅書(RED)」は中国の女性から人気が高い

「小紅書(RED)」が提供している機能は2つに大別される。1つは商品レビューコミュニティー機能。日本製や韓国製の商品のレビューが数多く投稿され、毎日3万件のレビューが書き込まれているという。こうしたレビューを参考に、訪日した際に購入する商品を決めたり、越境ECで購入する商品を決めるユーザーが多いという。

中国の場合、検索で商品情報を取得するのはとても大変。たどり着いたとしても日本語のページだったりする。そのため、商品に対する中国語の説明文や感想はよく読まれる傾向にあり、信頼感も高い(小紅書副総裁兼EC責任者の娄伊琳氏)。

こうした、レビューコミュニティー機能は日本企業にはとても重要。パナソニックでは中国向けの商品パッケージなどを決める際、レビューを参考にしている。また、「@コスメ」でも日本の化粧品のランキング情報などを提供。中国での知名度を高めているという。

「小紅書(RED)」の画面

商品レビューは毎日3万件以上投稿される

安心感の高さでコンバージョンレートは9%に

もう1つの機能が「小紅書(RED)」内のeコマース機能だ。「小紅書(RED)」を利用する1500万人のユーザーに対し、新たな商品を提案することをコンセプトに日本で人気の商品を「小紅書(RED)」が仕入れて提案している。中国でもよく知られている日本や韓国の商品のほか、あまり中国では知られていないような日本の商品、クチコミで高い評価を得ている商品など、さまざまな角度から提案している。

Eコマース用ページ「福利社」

Eコマース用ページ「福利社」

eコマース事業は2015年1月に開始。開始半年ですでに売り上げは7億元(約133億円)に達しており、物流拠点も鄭州と深センの2か所に6000平方メートルの拠点を持つ。香港、日本、韓国、米国にも倉庫を構えている。

わずか半年で規模が拡大している理由は、「小紅書(RED)」への高い信頼感がある。海外の有名なブランドや貿易会社と提携し、情報をしっかりと中国のユーザーに公表することで安心して購入できる環境を提供しているというわけだ。その安心感はコンバージョンレートが9%という高い数字として表れている。

eコマースをやろうと思って開始したアプリではないが、ユーザーから「実際にお勧めの日本や韓国の商品を売ってほしい」という声があがりeコマース事業を開始した。こうした、ユーザーニーズに応えたことが、売り上げにつながっているのではないか(娄伊琳氏)。

さらに、eコマース事業を拡大するため、クチコミ投稿と連動した新たな売り場作りも始めている。投稿された商品の情報やレビューの下に、同じジャンルやそのブランド関連の商材などを表示。クリックするとすぐに購入できるサービスも始めている。まだ、売り上げのほとんどがeコマースのプラットフォームからだが、今後はクチコミとの連動で売り上げを伸ばしていく考えだ。

「小紅書(RED)」と戦略的提携している日本、韓国、米国などのメーカー、ブランド

戦略的提携している日本、韓国、米国などのメーカー、ブランド

日本のメーカーや卸事業者との連携を強化へ

今後、「小紅書(RED)」は日本企業との連携をさらに強化していく考え。メーカーと直接交渉できる場合は提携などを進めるほか、卸会社などを通じて展開するメーカーについては卸会社などを通した提携も進めていく。

日本からの商品仕入れをさらに強化するため、物流会社との提携も図っていくとしている。

小紅書 副総裁兼EC責任者の娄伊琳氏

小紅書 副総裁兼EC責任者の娄伊琳氏
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