角井 亮一 2014/6/27 13:00

アマゾンが先日、自社製のスマートフォンを発売しました。私がアマゾン製のスマホで一番ホットだと思う機能は、「検索」です。商品をカメラで撮影したり、音を認識させたりすると、その商品が掲載されたアマゾンのページに遷移し、購入することができる「ファイアフライ」が搭載されています。これは、まさしく「検索機能+購入機能」です。そして、別の視点から見ると・・・検索における明らかなGoogle外しなのです。

 

AmazonとGoogleは、検索で「ド競合!」になる

米国ではこんな数字があります。これは米国の消費者がネットで買い物をするときに、どこで検索するかという数字です。これを見ると、2010年には、Googleが43%(Amazon11%)で圧倒的な規模でしたが、翌年2011年には、Googleが11%と大きく低下。一方でAmazonが43%と大きく躍進しています

2010年43% Google11% Amazon
2011年43% Amazon11% Google
2012年53% Amazon11% Google

 

事実、米国に住む私の友人に聞いても、ネットで買い物をするときには、Amazonのトップページから検索すると言っていました。

グーグルにとって、検索ページでの広告は最大の収入源ですので、利用者の低下は大問題。そのため、買い物をする人に対して便利なサービスをリリースすると同時に、Amazonからではなく、Googleから買い物を始めてもらえるように頭を使っています

食品や日用品を数時間で当日宅配するサービス「Google Shopping Express」は、その1つ。例えば、オーガニックなどを販売する人気スーパーのホールフーズ・マーケットで商品を買うと、当日配達してくれます。しかも、トイザらスなどの企業が販売する商品など、複数店舗から購入できます。さらに、会員メンバーになると送料無料です。生鮮食品宅配サービス「AmazonFRESH」の上を行くサービスと言えるでしょう。

グーグルが手掛ける物流サービス

グーグルが手掛ける宅配サービス「Google Shopping Express」での配送の様子

グーグル以外にもeBayも宅配事業に進出し物流をコントロール

グーグルだけではありません。米国マーケットプレイス大手のeBayも宅配事業をしているのです。それは「eBay NOW」というサービスで、アメリカ合衆国の住宅リフォーム・建設資材・サービスの小売チェーン「The Home Depot」や世界最大の家電量販店「Best Buy」などから当日配送しています。

マーケットプレイスのeBayは、アマゾンと競合します。宅配サービスでアマゾンに対抗しようという考えは、すぐに理解できます。しかし、グーグルは買い物に関する検索シェアの低下で危機感を覚えたため、宅配サービスを開始しているのです。

さて、こうした米国市場に対し、日本はどうでしょうか。実は私、食料品を届けるカタログ宅配サービス「楽天マート」と、それを支える「楽天物流」に期待していました。なぜならば、多くのEC事業者にとって、企業のEC事業を助けてくれるサービスになる可能性があったからです。そのため、楽天の上層部に秘策をアドバイスしようと考えていましたが、叶いませんでした。

しかし現在は、事業の展開スピードが早すぎたため、失速してしまいました。戦略の修正で、また伸びて欲しいと思っています。

日本の大手宅配会社は今、繁忙期対策で頭を悩ましています。今後、物量が多いピーク時はきちんと荷物が運べなくなるため、集荷できませんという集荷制限も発生することでしょう。それを回避するためにも、全国を網羅する宅配サービスを補完する取り組みとして、店頭受取や地域宅配が普及してくることを期待しています。それらは、大手宅配会社にとり、ピーク時の対策になるため、事業者から見ると助かるサービスにもなってくることでしょう。


セミナー情報

このような話を含め、2014年7月2日に、米国で開かれた世界最大級のECカンファレンス「IRCE」やイー・ロジット主催の米国流通物流視察ツアーで得たことを報告するセミナーを開催します。リアルとネットの流通から俯瞰した現在の米国の状況と、そこから考える日本の未来を学んで下さい。

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