再配達を1割削減した「ウケトル」はパンク寸前の宅配業界を救うか
宅配荷物の追跡や再配達を依頼できるアプリ「ウケトル」を提供しているウケトルは3月8日、アプリの利用によって不在配達率が約1割減ったと発表した。
10万人を超えるアプリユーザーを抱えており、アプリの利用データなどから不在配達率の推移を分析したという。
「ウケトル」とは?
「ウケトル」は荷物の追跡や再配達依頼を行う無料アプリ。ヤマト運輸と佐川急便、日本郵便と連携しおており、ユーザーは配送状況の確認や再配達依頼を行える。楽天市場やAmazonのアカウントに連携すると、配送ステータスを自動追跡できるほか、届く直前にプッシュ通知を受け取ることもできる。
2016年4月のリリースから約11ヶ月でダウンロード数は10万DLを超えた(同社の公表数値)。
「ウケトル」の主な機能
- 荷物状況通知(すぐそこ通知、不在通知、発送通知)
- ワンクリック再配達
- 荷物追跡(配送リスト)
- 履歴管理(配達完了、再購入、Googleアカウント等と連動した履歴保存)
- 再配達依頼
- Amazon、楽天の商品再購入
ウケトルは、ECやカタログやTVなどの通販企業など、年間1億3700万個を出荷する荷主グループが集まって2014年に発足した「宅配研究会」が起源。宅配研究会が再配達問題を解決するプロジェクトの1つとして「ウケトル」をリリースした。
宅配研究会は「宅配が、安定的供給と安定的価格が続けられるよう、健全な宅配事業者間の競争下で、事業者と荷主の健全なパートナーシップを築くために活動する」ことを目的とし、宅配事業者と連携して物流の安定供給・安定価格をめざしている。
宅配ドライバー不足でアプリに注目
ネット通販の利用拡大に伴い、宅配便の取り扱い個数は右肩上がりが続いている。「ウケトル」を運営するウケトルは、宅配便の数が2034年までに60億個に拡大すると予想。
2015年度(2015年4月~2016年3月)のトラック運送の取り扱い個数は37億447万個(航空等利用運送を含むと37億4493万個)だったことから、同社の予測通りに推移した場合、配送個数は約20年で約1.6倍に増える。
近年、配送業界では人材不足が露呈。特にドライバー不足が顕著になっており、ヤマト運輸などが配送料金の値上げに踏み切るとする各メディアの報道も目立つ。こうした状況をから「ウケトル」の再配達削減効果に注目が集まっている。