エイベックスのEC売上は124億円(2019年度)、withコロナ見据え「音楽配信+EC」などデジタル強化
エイベックスが公表した2020年3月期連結決算によると、「Eコマース」事業の売上高は前期比15.6%減の124億5300万円だった。DVDやブルーレイなどの販売が落ち込んだことなどからECの売り上げが減少した。
DVDやブルーレイなどを販売している「音楽パッケージ」事業の売上高は同37.8%減の258億7800万円。前の期(2019年3月期)に安室奈美恵さんのライブDVDを販売した反動もあり、売り上げが減少したという。
「音楽パッケージ」事業の売上減少の影響で「Eコマース」の売り上げも減少したとしている。
また、2020年3月期はライブの公演数が前の期と比べて約2割減ったことに伴い、グッズなどの企画・制作・販売を行う「マーチャンダイジング」事業の売り上げが減少したこともEコマースの売り上げに影響した。
CDやDVD、アーティストグッズなどはオンラインショップ「mu-moショップ」で販売。グループ会社のエイベックス・エンタテインメントが運営している。
ライブ配信と併せて記念グッズをECで販売も
新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴うイベント自粛を受け、2021年3月期はデジタル事業を強化することで収益確保を図る。15日にオンラインで実施した決算説明会で、黒岩克巳社長がデジタル事業強化の具体策を示した。
たとえば、ライブを無観客で開催し、ライブ映像を有料で配信することなどを検討する。配信前に記念グッズをECで販売するなど、デジタルの利点を生かした収益化の方法を模索するとしている。
ライブ映像の配信後は、「見逃し配信」のような形式で秘蔵映像も加えたコンテンツを提供するなど、新たなファンコミュニケーションによって収益確保をめざすという。
エイベックスのYouTubeチャンネルを中心にライブ映像の配信にも力を注ぐ。大規模なライブイベントが今後も中止される見通しであることから、多数のアーティンストが出演するオンラインイベントも検討するという。
黒岩社長はデジタル事業を強化する理由について、「ウィズコロナ、アフターコロナの市場環境を予測したときに、確実に重要になってくるのは映像や音楽の配信」と説明。「デジタル配信という手法は今後必ず求められると認識しており、今期はそこに重点を置くべきと現時点では考えている」と話した。
デジタル強化へ事業部再編
デジタル事業を強化するため組織体制を変更した。
従来、「音楽事業」に含まれていたEコマースやファンクラブ、チケットサービスを「デジタル事業」に統合した上で、「デジタル・プラットフォーム事業」に再編した。