景品表示法検討会、責任主体の範囲拡大は「慎重に行うべき」。ステマ行為に対し「命令」以外の対応も検討か
景品表示法検討会は、今回、同法で規制対象にする「供給主体性」などの責任主体の範囲拡大に踏み込まない公算が高い。4月14日に行われた第2回会合で、消費者庁が「年内に取りまとめを行う工程表を前提にすると、このような大きな話は遡上に乗せることはありえるが、解決には時間を要する」(南雅晴表示対策課長)と言及した。
「直ちに対応できる問題ではない」。規制対象の範囲拡大見送りか
責任主体の範囲は、今年2月に報告書をまとめた「アフィリエイト広告等に関する検討会」でも議論の遡上にあがった。ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)やアフィリエイターなど「商品等の供給者」以外を直接規制するものだ。
今回、議論の対象になっているステルスマーケティング、サクラレビューの問題も同様に「商品等の供給者」以外が行う行為が含まれる。
ただ、規制対象の範囲拡大は、「商品、サービスの供給者による不当な顧客誘引の規制」という景表法の目的に関わる改正を前提にする。
消費者庁は、「(アフィリエイト広告の)報告書で、規制対象の拡大は景表法の目的を超えるという意見をもらっている。課題として捉えているものの、直ちに対応できる問題ではないという結論を得ている」(同)とした。
アフィリエイト広告に関する報告書は、規制対象の範囲について、「慎重に検討すべき」として法改正を含む結論を見送った。一方で、取りまとめた規制の方策で表示適正化が進まない場合、「供給主体、責任主体の位置づけの見直し等も検討すべき」と触れている。
景表法検討会は、ヒアリングを踏まえ、6月中に検討の方向性を整理する。7月以降、改めて関係者へのヒアリングなどを行い、年内に取りまとめる。
月1回のペースで議論した場合、検討期間は残り8か月(8回)。景表法の目的に関わる議論は難しいとみられる。
第3回会合では「命令」以外の対応について検討の可能性あり
一方、デジタル化の進展を背景に、「表示主体=商品等の供給者」という前提は崩れている。ステマなどへの効果的規制として、第1回会合でも言及された「命令」以外の対応について検討する可能性はある。
次回会合は5月12日。「命令」以外に「確約手続き」などの行政措置を持つ独占禁止法について、公正取引委員会からヒアリングを行う。また、海外の広告規制を学識経験者からヒアリングする。
第2回会合では、国民生活センター、日本広告審査機構(JARO)からヒアリングを行った(JAROは非開示)。国センは、増加傾向にあるデジタル広告の相談状況、トラブル事例を説明した。
委員間では、景表法の法的効果が表示是正にとどまるため、返金の根拠にならないなど被害回復に課題を残す問題意識が共有された。被害回復の観点から、課徴金制度の見直しに言及する意見もあった。
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