「Amazon Go」「Fresh」実店舗を閉鎖へ。食料品事業は「即日配送」と「Whole Foods」に集中投資、「スーパーセンター」型の新コンセプトを模索

Amazonが食料品戦略を転換。「Amazon Go」「Amazon Fresh」実店舗を閉鎖し、即日配送と「Whole Foods Market」への集中投資、レジなし決済「Just Walk Out」の外販強化に踏み切る。

鳥栖 剛[執筆]

9:00

米Amazonは1月27日、自社ブランドの食料品店「Amazon Go」「Amazon Fresh」の実店舗を閉鎖すると発表した。今後は、オンラインでの食料品配送、傘下の高級スーパー「Whole Foods Market」への投資に注力。また、「Amazon Go」「Amazon Fresh」の一部店舗は、「Whole Foods Market」へ転換する。

「Amazon Go」「Fresh」実店舗を閉鎖へ。食料品事業で「即日配送」と「Whole Foods」に集中投資
「Amazon Go」「Amazon Fresh」の一部店舗は「Whole Foods Market」へ転換

Amazonは20年以上前から「Amazon.com」で食料品や日用品を取り扱っており、現在の食料品関連の総売上高は1500億ドル超。その規模は米国でトップ3に入る食料品小売事業者という。年間1億5000万人以上の顧客が食料品を購入しており、日用必需品は「Amazon.com」で販売する全ユニットの約3分の1を占めるまでに成長しているという。

「Amazon Go」「Fresh」店舗を閉鎖、レジなし決済は外販を強化

Amazonは、顧客の利用動向やフィードバックを踏まえ、「顧客の生活を有意義に向上させ、より簡単にする分野」への投資を強化する方針を明確にした。その一環として、実店舗型食料品店である「Amazon Go」「Amazon Fresh」の事業継続を断念する。

「Amazon Go」は2016年12月に試験運用を開始し、2018年1月に一般向けにオープン。カメラやセンサーを活用し、レジを通らずに決済できる仕組みが特長だった。「Amazon Fresh」は2007年に生鮮食品の配達サービスとしてスタートし、2020年8月には実店舗をロサンゼルス郊外に初出店した。

Amazonは一定の成果はあったとしながらも、「大規模な拡大に必要な経済モデルと、十分に差別化された顧客体験を構築できなかった」と説明。事業全体を再評価した結果、実店舗の閉鎖と、「Whole Foods Market」への転換を決定した。対象地域の顧客は、引き続き「Amazon Fresh」のオンライン配送サービスを利用できる。

店舗閉鎖に伴い、従業員は社内の他部門への配置転換を進め、可能な限り雇用の維持を支援するとしている。

「Amazon Go」で導入してきたレジなし決済「Just Walk Out」は、実店舗閉鎖後も事業を継続し、外販や社内利用に注力する。

「Just Walk Out」は現在、5か国・360以上のサードパーティ拠点に導入しており、病院やスタジアムなどが活用している。導入事例として、病院では待ち時間を25分から3分に短縮、アリーナでは約30秒で購入できるようになったという。また、北米の40以上の物流拠点の休憩室にも導入しており、2026年にはさらに拡大する計画だ。従業員は支払い待ちを気にせず食事を購入できるようになるという。

「Whole Foods Market」は100店舗以上を新規出店へ

実店舗については、「Whole Foods Market」への投資を強化する。自然食品・オーガニック食品のパイオニアでもある「Whole Foods Market」は、2017年のAmazonによる買収以降、売り上げが40%以上増加し、店舗数も550以上に拡大している。

Amazonは今後数年間で、100店舗以上の新規出店を計画。あわせて、小型店舗「Whole Foods Market Daily Shop」の拡大にも注力する。小型店舗は、持ち帰り用食品やコーヒー、日用品などを扱う近隣型店舗で、現在は5店舗を展開。2026年末までに、さらに5店舗を追加する予定だ。

即日配送と「Amazon Now」を強化

オンラインでの食料品配送は、Amazonが「最も成長している領域の1つ」と位置付ける分野。現在、全米5000以上の都市や町で、「Whole Foods Market」「Amazon Freshオンライン」「Weis Markets」「Winn-Dixie」「Metropolitan Market」などの提携小売店を通じて食料品・日用品を購入できる体制を整えている。

2025年には、生鮮食品を含む「即日配送(Same-Day Delivery)」サービスを本格展開。農産物、乳製品、肉、焼き菓子、冷凍食品などの生鮮食品を、数百万点におよぶ日用品や家電などと一緒に注文でき、数時間以内に配送している。品質は「鮮度保証(Freshness Guarantee)」を掲げる。この即日配送を通じた生鮮食品の売り上げは、2025年1月以降で40倍に成長。生鮮の即日配送が利用可能な地域では、注文数の多い上位10品目のうち9品目を生鮮食品が占めるという。

2026年には、生鮮食品の即日配送をさらに多くの都市・地域へ拡大する計画。約30分以内で生鮮食品を含む必需品を届ける超高速配送「Amazon Now」のテストも一部都市で開始しており、「コンビニエンスストアの利便性を玄関先まで届ける」サービスとして位置付けている。

新フォーマットの実験は継続

Amazonは、実店舗の整理を進める一方で、「実店舗小売におけるイノベーションは継続する」としている。

シカゴでは、「Whole Foods Market」と並行して「Amazon Grocery」という新しい実店舗フォーマットをテスト。ペンシルベニア州の「Whole Foods Market」では、「ストア・イン・ア・ストア(店内の店)」としてAmazonの日用必需品を扱う売り場を設け、食料品とAmazon商品を一度に購入できる体験を提供している。

さらに、よりマス向けの実店舗フォーマットの開発にも取り組む。生鮮食品、日用必需品、一般商品を幅広く低価格で提供する「スーパーセンター」型の新コンセプトを模索しており、今後数年のうちに、顧客が「ワクワクするような新しい店舗コンセプト」を導入していく計画だとしている。

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